タイトル | オークが女騎士を育成してみた |
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原作・漫画 | くま |
出版社 | 集英社 |
オーク族に捕らえられた女騎士。
しかし彼女は騎士と呼ぶには
あまりにも怠惰で迫力のない
存在でしかありませんでした。
その脆弱さに呆れたオークたちは
一念発起して女騎士を育成することに……。
ダイエットと異種族交流を軸にした
新感覚ファンタジー作品です。
オークが女騎士を育成してみたのあらすじ紹介
素朴で優しいオークたちが暮らす村で、
一人の女騎士が囚われました。
しかし、捕らえたオークたちは
拍子抜けしてしまいます。
敵間に攻めて来た割にはこの女騎士、
ひどくレベルが低かったのです。
小柄な割に太りかえってしまった肉体、
何か理由をつけて
すぐ投げ出そうとする性格、
まともに剣が振れる様子もありません。
そんな彼女にオークたちは
呆れるとともに、訓練マニアとも言える
オークの若たちは、女騎士ちゃんを
鍛え直す決意を固めるのでした……
オークが女騎士を育成してみたのネタバレと今後の展開は?
人間やエルフ、オークなどの種族が
混在するファンタジー世界。
ある国の女騎士がオーク族に囚われました。
しかし捕らえたはいいものの
あまりに弱く怠惰な女騎士の姿に呆れた
オークたちは、女騎士の育成を決意。
具体的にはダイエットを軸とした
トレーニングを課すことで、
肉体改造をはかります。
一方の騎士も今まで散々冷遇されてきた
経緯から生まれ変わることを決意。
しかし、怠惰を積み重ねてきた
女騎士をその気にさせ成果を出すのは、
訓練マニアとも言える
オーク族の若たちでもかなり大変です。
とは言え、純粋にいい人たちが多い上に、
人間族との関係修復のきっかけを
探していたオーク族たちは、
追放したり処刑したりすることなく、
気長に女騎士ちゃんと
付き合っていくことになります。
一方、素朴で心優しいオークさんサイドとは
対照的にきな臭いのが人間界です。
女騎士を向かわせたこともさることながら、
いつまでも救出に向かわないことと言い、
オークを滅ぼす口実を狙っているような
雰囲気が見え隠れします。
ただ、人間族ではあるものの、
そうしたむき出しの政治的悪意とは
無縁の女騎士ちゃんは、今日も
様々なメニューに挑んでいくのでした。
オークが女騎士を育成してみたの読んでみた感想・評価
女騎士がオークに返り討ちにあって
捕まった、というような、
まるでネット上のエロ話のような
シチュエーションで始まる
タイトルなだけに、読む前は
さほど期待していませんでした。
加えて、「育成」というのですから、
身柄を拘束したオークたちが
ひたすらヤバいだけの物語だと
想像してしまったものでした。
しかし、蓋を開けてみると
実態はまったく違いました。
職業柄と言うにもあまりにも太い
(しかも体格が良いわけでもない)
女騎士ちゃんは有能にはほど遠く、
加えて性格もワガママかつ
怠惰といった具合でひたすら残念、
一方のオークたちは皆紳士的で
容姿の面でも優れている上に、
とても頼れる能力を
持っているという集団です。
そんな彼らが何故
女騎士ちゃんの捕らえるということを
やったのかですが、色々な恨みを乗り越えて
人との友好の足がかりを
築くためなのですから、思わず
オークサイドに肩入れしたくなります。
一方の人間側は、明らかに
無能だということが分かり切っている
女騎士ちゃんに敵中に突撃させたり、
すぐに救援交渉の人間をよこさなかったり、
明らかに怪しい動きをしており、
良い印象を持つことはできません。
書いている私も人間族でありながら、
別世界とはいえ同じ人間族に
不信を抱くわけですから、
「彼ら」の危険度は相当高いと
推測せざるを得ませんでした。
強力な人間族がオークに対して
何を仕掛けるのか、
実に興味深いものがあります。
オークが女騎士を育成してみたはこんな方におすすめな作品!必見
オークに女騎士が囚われて……、
というシチュエーションが
近年ネットで話題になったのは、
アダルト向けのファンタジー作品の
影響が強いからだろうと思いますが、
本作に登場するオークさんたちは、
エルフの近縁というだけあって
とても紳士的で、それこそ
理想的なほどに囚われた
女騎士ちゃんに良くしてくれます。
女騎士突入や捕縛の経緯などの
シリアス感はありますが、基本的には
ダイエットと種族間友好をテーマにした
ホーム・ドラマの色が強いので、
凄惨なシーンやエログロを
心配されている方でも安心して
読み進めることができるかと思います。
一人で捕まってしまった女騎士ちゃんが
容姿、性格ともに残念ですが、
オーク族の若君をはじめとした
サブキャラたちが、彼女の短所を補って
あまりあるほど素晴らしい
人格をしているので、不快感は
きっちり中和されています。
各キャラクターが破綻なく立っているので、
正統派ファンタジーとしても
十分な面白さがあると言えます。
本来正義のはずの人間側に、
やたら影がある感じなのも印象的ですね。