タイトル | 初恋限定。 |
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原作・漫画 | 河下水希 |
出版社 | 集英社 |
色々な恋の形はあっても、
一生に一度なのが初恋。
その人生初のドキドキは、
時に甘酸っぱく、時に予想外に
若者たちを翻弄していく。
「いちご100%」の河下先生が、
「初恋」にテーマを据えて描く、
アニメ化もされた傑作ラブコメです。
初恋限定。のあらすじ紹介
クールでスタイル抜群な娘や、
ツンデレ委員長タイプなど、
様々な美少女がいる教室で、
漫画家志望の上村君は、
フワッとしている感じの
江ノ本夕さんをモデルに、
ノートにキャラを描き始めますが、
そのイラストをよりによって
本人の江ノ本さんに見られてしまいます。
どんな罵りが待っているかと怯える
上村君でしたが夕ちゃんは意外にも
漫画が大好きであり、
絵が描ける上村君を褒めてくれました。
こうして上村君と夕ちゃんは
意気投合し、色々な話で
盛り上がることになりますが、
夕ちゃんはとても男友達が多く、
告白という雰囲気にはなりません。
しかし夕ちゃんは上村君に、
最優秀賞が五百万円という
強烈な漫画賞があると紹介。
やる気になる上村君ですが、
実は本格的な画材を
一つも持っていませんでした。
そこでゆうは売ってそうな場所に
行こうと彼に提案、
思わぬデート気分に
上村君はいよいよ乗り気になります。
(「全方位性彼女」)
初恋限定。のネタバレと今後の展開は?
一度でいいから告白されたいと
友達に語る、中学二年生の
有原あゆみ。
恋に恋する様子のあゆみは
告白されたらOKすると
テンションが高い感じでしたが、
その時、まるで怪獣のような
いかつい巨漢が、
あゆみたちの前に現れます。
いきなりの鉢合わせに
恐れおののくあゆみですが、
その巨漢財津操は、
彼女に思いを告げる
手紙だけを残して
大人しく去っていきます。
理想と現実は違うとは言え
あまりにも強烈なお相手に
あゆみは拒否反応を示すものの、
断られたら逆にどうなるかという
友達の助言もあって、
悩みに悩みます。
拒否したらヤバ過ぎるが、
付き合ったとして無事ではとても
済みそうにない体格差があり、
しかも操は外見通り恐れられており、
相談したあゆみのお兄さんも逃げ出す
実力の持ち主です。
しかし悩んでも結果は出ず
いよいよ弱っているところに
イケメンの少年が登場し、
あゆみをお姫様抱っこのような形で、
保健室に連れていきます。
まさに王子様といった感じの彼に、
あゆみはすぐさま恋に落ちますが、
よくよく考えてみると彼の苗字は財津。
つまり操の弟なわけで、もし彼と
結ばれることがあっても
操がお兄さんになってしまうので、
結局離れられないという状況になります。
とは言えともかく兄財津への対処は
取らねばならないと、あゆみは
必死の思いで操に迷惑だと告げますが、
逃げていった先で男性に刃物で脅され、
連れ去られてしまうことになります。
初恋限定。の読んでみた感想・評価
とにかく明るく楽しく、
しかもテンポが良いのが素晴らしいですね。
冒頭から次々に、まったくタイプの違う
素晴らしい美少女たちが
紙面で躍動するのですから、
見ていて久しぶりなほどの
ドキドキ感を味わってしまいました。
しかも全体のテーマは初々しくも
明るく朗らかな初恋であり、
登場人物の表情も動きも明るく、
いわゆる「日常系」とは
ちょっと感じが違いますが、
本質的な暗さというか、
冒頭から不幸の影が
見えないのも
個人的には本当に良かったです。
重く辛いこともあるのが恋ですが、
人生で初めての恋なら、
満喫して欲しいと思っているので……。
作中に出てくる女の子たちが、
男性目線でも女性目線でも
本当に可愛らしい上に、
細かな表情や仕草が
本当に生き生きしていて、
この娘たちが同級生だったら、
人生が変わっていたかもと
考えてしまうほどのレベルでした。
一方でお話の方は日常の枠に
決してとらわれることなく
インパクトある展開満載で、
純粋なコメディ漫画としても
心底から笑えて楽しめました。
初恋限定。はこんな方におすすめな作品!必見
恋愛は漫画で超定番のジャンルですが、
中でも初恋を扱った作品は多く、
名作と呼ばれるものも非常にありますが、
少年の目線か少女の目線かで、
大きく切り口が変化してしまうものであり、
その食い違いで「盛り上がれない」ことも
少なくない、読者にとっても
なかなか難しいジャンルとも言えますが、
本作「初恋限定。」は、女性の繊細さと
男性目線の勢いが同居しており、
どちらの側からも楽しめるだけでなく、
そのシチュエーションも個性的であり、
ドタバタとしても決して飽きさせない
センスの良さがありと、
様々な部分で「規格外」の仕上がりを
楽しむことができ、多くの方が安心して
手に取れる安定感があります。
「いちご100%」や「りりむキッス」での
男性目線でのドキドキ感と大胆さ、
そして女性も納得の細やかさは
本作でもまったく健在な上、
各キャラクターも実に魅力的であり、
彼女たちが動き回るワクワク感やテンポ感は、
名作美少女ゲームである
「キミキス」「アマガミ」シリーズにも
通じるような力強さもあり、
普段はあまり漫画を読まない方にも
満足して頂けるような華やかさを、
モノクロの紙面から感じ取ることもできます。
恋愛漫画好きであるならもちろん、
そうでなくとも楽しめる
非常に完成度の高い一作ですね。