タイトル | ドリー・マー |
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原作・漫画 | バコハジメ |
出版社 | 小学館 |
空からフワフワ、モコモコした
無数の「羊」が降ってきて、
人類は皆夢の中に!?
とにかく可愛くて癒される
従来のイメージとは真逆の
恐ろしい「羊」たちが、
目覚めたマサトたちに
襲いかかってくる、
新感覚パニック・アクションです。
ドリー・マーのあらすじ紹介
2015年、日本、長野県。
ある過去が原因で負の感情を常に
持っていた少年、マサトは
空から雪に良く似た「何か」が
降ってくるのを目撃します。
その後も苛立ちを感じていた
マサトですが、
実は彼が生活していたのは、
夢の中の世界であり、
既に日本政府は、
「羊」によって壊滅していました。
そこでマサトは、自分を
目覚めさせてくれた謎の存在、
ドリーが持っていたノートに従い、
シェルターのある東京を
目指すことにしますが、
その道のりは険しいものでした。
ドリー・マーのネタバレと今後の展開は?
2015年、長野県松本。
少年マサトは、
何やらモコモコした妙な物体が、
空から落ちてくるのを目撃します。
その後も彼はイライラを感じ続け、
線路に寝そべって電車を通過させたり、
ワルと大喧嘩しても、
気が済むということはありませんでした。
するとそこに現れた、羊のコスプレを
しているような子供、ドリーが、
マサトを夢から覚ましにきたと、
笑顔で寄ってきます。
もちろんマサトには何のことか
まったく分かりませんが、
ドリーがニコニコ笑いながら出した、
いかにもオモチャっぽい銃から
本物の銃弾が出てきたために、
マサトは怒ってドリーを殴ります。
するとドリーは泣いて逃げ始め、
わけが分からないマサトは
「彼」を追いかけますが、
そこでマサトは車に
ひかれてしまいます。
しかしそのショックで
マサトは目を覚まし、
「現実」に気付きます。
マサトたちがいるのは、
「羊」と呼ばれる謎の物体が
無数に降りてきては、
人を眠らせ空に連れていく
怪現象が起こり続けた世界で、
日本もその機能を失っていました。
当然にわかには現実だと
思えないマサトでしたが、
再びの「羊」との接触で、
ようやくこれが現実と気付きますが
謎の存在であるドリーとは
親しくする気にはなれませんでした。
ドリー・マーの読んでみた感想・評価
こう切り込んでくるのか、と
思わずビックリしつつも
熱い展開にハマりました。
様々な動物が好きですが、
特にふんわりモコモコで
優しい感じが好みな私としては、
空から羊が落ちてきて、幸せな
夢を見せてくれるという展開は、
まさに理想的なものでした。
どんなのんびり空間を
味わえるのかと読み進めましたが、
本作にあるのは甘く優しい夢ではなく、
恐るべきほどの「悪夢」だったんですね。
動物のそれとは似ても似つかない
グロテスクで迫力満点の「羊」たちに、
人が消えたことで廃墟になった世界。
豪雪地帯を思わせる白一色の都市には
人の気配はまったくなく、
完璧に荒廃を続けています。
この意外で危険な世界観には、
正直読んでいて恐ろしさを
感じてしまったのですが、
そんな現実に立ち向かい叩き壊す、
マー少年のタフさが素敵でした。
かつて事故と外の吹雪の恐怖で
身動きが取れなくなってしまった
重い過去を持つ彼は、
だからこそ足を止めずに、
恐怖の羊に対して全力で
ぶつかっていくんですね。
また、マー少年のパートナー的存在の
ドリーは人型ながら、
可愛らしい外見と臆病で優しい性格で、
動物の「羊」を形にしたような雰囲気で
見ていて癒される部分があります。
緩い雰囲気がなく殺伐とした世界観ですが、
全体に筋が通った一貫性があり、
映画を観ているような充実感がある作品です。
ドリー・マーはこんな方におすすめな作品!必見
人間にとって縁が深く、様々ないわれが
ある動物は少なくないですが、
「眠り」と密接に関わる「羊」は、
よく考えてみると異彩を放っています。
本作はそんな羊のイメージと
人が見る「夢」をリンクさせて、
非現実的な作品に仕上げていますね。
他方、「羊」はモコモコで
可愛らしくて人懐っこく、
とにかく人気の高い動物で、
特に創作の世界では、羊に
イメージが重なる女の子も
何人も思い浮かぶほどです。
そのためなかなか羊と殺伐を
両立させることは難しいのですが、
本作では「羊」をまったく別の
危険な存在としてみることで、
羊とホラーとアクションを
絶妙に両立させています。
その意外性はまさに斬新そのもの、
タイトルやあらすじだけ見ても、
まるで予想がつかない新鮮な怖さは、
他作品ではまったく見られない
独特のものであり、新機軸の
作品を楽しみたい方に最適です。
また、主人公のマーは
クールかつ熱い少年であり、
パートナーのドリーは、
臆病で可愛らしい、本来の
羊らしい性質を持っていたりと、
キャラ描写も優れています。
受動的に流されるのではなく、
きつい状況にあっても前に
進み続ける、良い意味で
典型的な主人公像を
満喫できるのも本作の
素晴らしいところですね。