タイトル | 愛す男~ICEMAN~ |
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原作・漫画 | 村生ミオ |
出版社 | 日本文芸社 |
母親から虐待され続け、「女性」に
強烈な憎しみを抱くようになった流星は、
悪い本性を持つ様々な女性たちへ、
強烈な制裁を施していく……。
重みのある展開と描写ながら、
後味が悪くはならない、ハイテンポな
ハード・ストーリーです。
愛す男~ICEMAN~のあらすじ紹介
幼い頃母親に虐待され続け、
命さえも奪われかけたことで、
「女性」に恨みを抱く男、流星。
彼はそのルックスと話術、
そして様々なアプローチで
女性を完全に「攻略」し、
さらには陥れるという
恐るべき存在へとなっていました。
寿退社をして幸せいっぱいの元OL、
平凡だが幸せな主婦、
やり手の芸能関係者……、
いかにも真面目で品行方正な外面に
自分の醜い本性を隠す女性たちに向け、
流星の制裁が炸裂していきます。
そして彼の最大の目標は
他ならぬ母親への
復讐でもありました。
愛す男~ICEMAN~のネタバレと今後の展開は?
26歳の元OL、宮城真理子。
資産家の婚約者と結婚するべく
寿退社した彼女はある日、
ひったくりと揉めて、階段を
転落しかけたところで、
一人の若い男性とぶつかります。
その男性は真理子を見るなり
キスをしてきて、
「あなたが魅力的だから」と
言い訳してきました。
しかもさらに食事に行こうと
誘ってくる彼を真理子は
当然のように拒絶しますが、
男性は土下座までして
彼女の気をひこうとしました。
理屈では説明できない
彼の行動でしたが、真理子は
実は悪い気はしていませんでした。
そこに昼間の男性から
「携帯が紛れ込んだ:と連絡が。
いかにも運命を感じさせるような
展開できたが、再会した男性は
お茶の誘いすらしてきません。
あまりの態度の変わりように、
真理子は違和感を表明しますが、
彼は「世界一魅力的な女性」と、
デートするのだと言い残し
立ち去っていきます。
おさまらない真理子は
彼の入っていった部屋に
上がり込んで確かめますが、
そこには女性の姿はなく、
男性は鏡に写った真理子を
「世界一魅力的だ」とたたえます。
このアプローチに警戒が解けた
真理子でしたが、
結婚目前という状況から、
新たな恋には踏み出せませんでした。
しかし、繰り返し真理子に
アプローチしてきた男性、流星には、
彼女の結婚が完全な資産目当てなことも、
真理子の本性に潜む黒い部分も
完全に見抜かれていたのでした。
愛す男~ICEMAN~の読んでみた感想・評価
タイトルとあらすじだけを見ると
もっと悲惨な感じかと思いましたが、
カラっとしていたのが良かったですね。
物語の基本線は、暗い過去を持つ
流星の女性に対する「復讐」が
主となっていますが、
その標的となる女性たちも
色々な意味で相当「食えない」
部分を持っています。
何しろ資産目当ての結婚に
「妊娠詐欺」などは序の口で、
何の恨みもないはずの流星に
一服盛って逆に「標的」にし、
しかもお金を得るなど、
とにかくやりたい放題です。
一方の流星も情熱的で
計算高くはあっても
スーパーマンではないので、
結構簡単に罠にかかったりと
後腐れがなく先の見えない展開が
かなり面白かったですね。
男性が女性に制裁を下すという、
キツい構図にも関わらず、
「勝負」のような乾いた感じが
全編に共通してあったので
読後感も悪くありません。
何より流星自身が自分の行為に
確信を持っている上に
言い訳をすることもないので、
悪いながらも筋が通った感じが
消えないのが良かったですね。
ストーリーはシンプルかつ
ハイテンポで画力も高く、
全体的に良質なエンタメ系
作品だと思いましたね。
愛す男~ICEMAN~はこんな方におすすめな作品!必見
友人や家族の関係とは異なり、急激に
生まれ、変化し、終わったりするのが
恋人の関係ですが、
運命的な出会いを創作でやったりすると、
かえってあざとくなったりして
感情移入しづらくなることがあります。
しかし本作の「愛す男」である流星は
とにかく圧倒的な行動力と情念により
全てを計算で女性を「罠」にかけます。
彼の存在は紛れもなく「悪」ですが、
流星は一切言い訳をしないし、
行動に迷いが生じることもありません。
だからこそ彼の生き方には
ある種の「潔さ」が宿っており、
不思議と後味の悪さはありません。
また、標的になる相手も、
混じりっけなしの資産目当てな上、
「妊娠詐欺」をかけてきたり、
ワインに眠り薬を混ぜ、
流星を弄び代価を得るなど、
自分の欲望に忠実な人たちです。
そのため作中全体に
食うか食われるか的な緊迫感があり、
制裁というより勝負の色彩が強く、
パワー系かつハードな「男女話」を
読みたい方にとっては最適の
一作に仕上がっています。
もちろん数十年にわたって
魅力的な女性を描き、支持を得てきた
村木先生の意欲作なだけに、
画力は極めて高くテンポも抜群で、
バリバリと読んでいけるだけの
総合力も備わっています。