タイトル | リネンとガーゼ |
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原作・漫画 | あいざわ遥 |
出版社 | 集英社 |
アルバイトを辞め、手芸作家を
本格的に志した川乃。
しかし姉とその娘のここみが
家に来たことで環境は一変、
ハードな毎日に疲れた川乃は……。
好きを仕事にするリアルと
その充実ぶりが存分に描かれた
新感覚の家族物語です。
リネンとガーゼのあらすじ紹介
特技の手芸を活かし、
ネットショップでは
売れっ子作家な川乃さん。
売り上げも上がったことで
カフェでのバイトを辞めて、
「専業作家」を志しますが、
お姉さんが娘のここみちゃんと一緒に
実家に戻ってきたため「職場環境」は
今までとはまったく違うものに。
まだ幼いここみちゃんのパワーに
圧倒されつつも仕事をこなしていく
川乃さんでしたが、
ここみちゃんと多忙な仕事が原因で
疲れ切ってしまうのでした。
そしてある「事件」を起こした
ここみちゃんに川乃さんは
冷たい態度を取ってしまいます。
リネンとガーゼのネタバレと今後の展開は?
カフェで働きつつ、手芸を仕事に
自力で稼いでいる川乃さん。
しかし自分の作品を売り出す
ネットショップが忙しくて
カフェの方の仕事を辞めることに。
しかしこれでプロとして
専業の立場になると思いきや、
お姉さんが実家に戻ってきて、
落ち着くまでの間、川乃さんは
姪っ子のここみちゃんたちと
同居することになります。
可愛く優しいここみちゃんですが、
まだ小学生にも上がっておらず、
その天真爛漫さに川乃さんが、
疲れ切ってしまうこともしばしば。
環境を変えて仕事をしようと
外に出てみても、ここみちゃんは
ついてきてしまいます。
一方でちょっと目を離した隙に
勝手に出て行ってしまうクセも
ここみちゃんにはあり、
一度厳しく注意したのですが、
寝ている間にまた
いなくなってしまいます。
ここみちゃんは離れて暮らす
彼女のお父さんのところにいると
分かり安心した川乃さんですが、
お姉さんからは厳しく
責め立てられてしまうのでした。
その心無い言葉に傷ついた
川乃さんは戻ってきたここみちゃんに
笑顔を見せなくなっていました。
リネンとガーゼの読んでみた感想・評価
あらゆるクリエイティブな仕事は、
「プロ」になるまでも大変ですが、
それ一本で生計を立てるのは、
デビューよりもずっと大変だと
ジャンルを問わず言われています。
専業で生活できる人がひと握りな
分野も多くある中で、他のプロは
道を諦めるのかというとそうではなく、
他の仕事や実生活を、色々とうまく
やりくりして創作に打ち込み、
代価を得ているわけです。
しかしそうなると全般的に
とても大変になってしまいますが、
辛さが表に出ない分だけ、
何かあった時の矛先が、
いっぺんに向いてしまうような
損な役割だったりするんですね。
その絶妙なリアル感や周囲の人との
実感のある距離など、本当に
「分かっている感」が凄くて、
前提抜きでハマってしまいました。
色々なところで仕事を頑張り、
しかも自分の夢も着実に
実現させていく川乃さんの生き方も、
素直で優しいここみちゃんも、
分かりやすく特別ではないものの、
良い意味で爽やかな雰囲気があります。
ビックリするような成功を
お話の中で実現させる主人公や、
とてつもない出会いをするヒロインは、
案外珍しくありませんが、だからこそ、
地に足の着いた現実を生きる彼らが、
胸に染みてしまいましたね。
リネンとガーゼはこんな方におすすめな作品!必見
自分の技術を活かして仕事と言うと、
すぐ思いつくのが手芸などの技術職や、
小説や漫画などの芸術的な職業です。
いずれもマイペースで仕事ができ、しかも
自分の世界を「表現」できる部分があり、
時代を問わず人気がありますが、
実際はなかなか仕事に没頭するのは
大変だったりします。
いくら仕事をしていても家にいるので、
親戚の子のお世話や家事を任されたり、
逆に他の予定で潰れてしまったりと、
イメージとは裏腹、なかなか「専念」は
しにくい現実がありますし、
そのために消耗したりもします。
本作はそんな「夢の向こう側」にある、
シビアで面倒な現実を描いていますので、
プロも唸ると言うか、思わず
頷いてしまう一作に仕上がっています。
とは言え、単に辛いだけではなく、
やはり自分の力が認めて貰えるという、
何にも代えがたいやりがいや、
本気で子供たちと接するが故の
充実感などなども描かれています。
全体的な質も非常に高くリアルなので、
ホームドラマものが好きならば
必読とも言えるような一作ですが、
それ以上に文章や漫画などで
お金を稼いでいる方たちにこそ
読んで頂きたい作品と言えるでしょう。
シビアでない場面でも「甘さ」がなく、
そのために物語の流れや心理描写に
破綻がないのもいいですね。
「あるある」と思わず頷いてしまう、
考えさせられる描写が満載で、
物語に没頭してしまいまいた。
まず、「創作活動で稼ぐ」ことの
良くも悪くもリアルな立ち位置が
描かれているのが良かったです。