タイトル | 青春ロケーション |
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原作・漫画 | 田島みみ |
出版社 | 集英社 |
幼馴染で仲良しの、モアと雅は
同級生のひきこもり、
山田蛍君に教材を届けるべく、
家に勝手に上がり込んだことで
二人の関係が変化する
ある「事件」が起こり……。
真逆のタイプを軸に、
三角関係が巻き起こっていく、
新感覚青春ストーリーです。
青春ロケーションのあらすじ紹介
モアと雅は幼稚園の頃からの、
幼馴染で大の仲良し。
しかし、ひきこもりで学校に来ない、
山田君に教材を渡すべく、
勝手に家に上がり込んだ上、
ノリノリで髪型などいじったり、
話し込んだりしているうちに、
山田君から思わぬ提案が。
それは、
キスしてくれたら学校に来るという、
ムチャクチャなものでしたが、
モアが応じようとしたことで
雅が激怒し、それをきっかけに
山田君はひきこもりを止めます。
しかし、周囲にビビリまくりで
モアに妙になつく山田君に、
雅の方はちょっと不満があり、
そこで自分の本音を伝え、
関係を進めるために、
モアにキスしてしまいます。
青春ロケーションのネタバレと今後の展開は?
高校生の小夏モアは、担任から、
ひきこもっている同級生、
山田蛍の家に行き、
教材を渡してやってくれと
頼まれてしまいました。
面倒な話ではありましたが、
そこに居合わせた如月雅が
一緒に行くからと言い出して、
プリントを届けにいくことに
なってしまいます。
雅とモアは幼稚園の頃からの
幼馴染でずっと仲が良く、
いつも一緒でしたが、
恋人ではなく、モアは
素敵な恋に憧れていました。
さて、二人でやってきた山田家。
呼び鈴を鳴らすものの
まったく反応がありませんが、
山田君はひきこもりだから、
絶対に家にいると踏んで
モアたちは勝手に家に入ります。
二階から聞こえてくる音を頼りに
進んでいった二人は、
美少女ゲームにハマる山田君と、
「本名プレイ」を示す
ゲームの画面を目撃することに。
もちろん、いきなり上がり込まれ、
しかもゲームを満喫する姿を
ガッツリ見られた山田君としては、
機嫌が良くなるはずもなく、
その上髪型まで勝手にいじられ、
雅に毒づいてしまいます。
するとモアは怒って正論を言い、
もう帰ると外に出かけますが、
教材を渡し忘れていました。
そこで再び会った山田君が
「キスしてくれたら学校に行く」と
唐突に言い出し、
何となく引っ込みがつかないモアが
キスをし出したところに
雅が助けに現れます。
雅は山田君の行為を「卑怯」と責め、
その日はお開きとなりますが、
翌日山田君は学校に顔を出します。
明らかに学校には不慣れで
遂には倒れてしまう山田君ですが、
モアには妙に懐いてしまうのでした。
青春ロケーションの読んでみた感想・評価
本当にまさかの展開で、
冒頭から驚いてしまいました。
本作の主要人物は、幼稚園から
ずっと一緒というモアちゃんと
雅君のコンビ。
いつもとても仲が良く、
登下校も一緒というほどの
親密さを保っています。
こうした二人の関係を変えたり、
ヒビを入れたりするのは
多くの作品では部活の先輩や
担任の先生だったりしますが、
逆に言えば、それぐらい近くないと、
二人に割って入れないわけですね。
しかし本作ではその「相手」は、
ひきこもり系男子の山田君で、
揉めた後に謎の律儀さを発揮して、
学校に出てきてからは、
何だか妙な感じで、二人との
距離を縮めていきます。
本作のもう一つの特徴は、
男性陣の「面倒臭さ」にあります。
山田君は元々こだわりが強い上に、
ひきこもっていたためか
まったく他者との距離がつかめず、
妙なことを言ったりやったり、
語られない部分でも学校生活が
キツそうな雰囲気があります。
一方の雅君も、クールなのに、
時と場合によって強烈に辛辣さを示し、
山田君がガチヘコみしてしまうような
言動をチョイスしてしまうなど、
モアちゃん好きが高じて
視野が狭くなっている感じもあります。
だからこそ恋愛以外の部分で、
妙にハラハラドキドキしてしまいますが、
その分モアちゃんがとてもいい子で、
山田君と雅君を、うまく調和させる
役割を担っているので、
殺伐せずにほっこりできましたね。
青春ロケーションはこんな方におすすめな作品!必見
男女の三角関係を描いた作品は定番ですが、
時代の変化もあっては、最近では
色々とバラエティが豊かになっています。
本作の場合、幼馴染のモアちゃんと雅君に
さざ波を起こす形になったのは、
ひきこもり系男子の山田君。
しかも半ば興味本位でいじりまくり、
機嫌を損ねてしまってからの揉め事で、
山田君が悪者という感じでもありません。
学園ものなのに、そもそも学校に
来ていない人との三角関係が
始まっていくというのはとても斬新で、
今までとは変わった展開を見たい、
しかし三角関係の醍醐味はしっかりと、
味わいたい方にオススメの展開です。
また、最近の作品ですと
ヒロインの相手方は完璧超人や
オラオラ系が多かったりしますが、
本作の山田君はかなりいい感じに
面倒臭く、雅君も結構辛辣で、
良い意味で学生らしさがありますね。
しかし、タイミングが違えば
絶対に交わらない三人が、
何となく衝突しつつも徐々に、
仲良くなっていく構図は、
非常に今風でありながら、
伝統的でもありますね。
また、ガチオタの山田君という、
いかにもITに強そうな人物が
中心にいる物語なのに、
「趣味」やSNSなどオタク系の
アイコンが導入になっていないのも
注目すべき部分です。
学校からの配布物を生徒が
直接届けるという導入からも、
やはり対面が大事だという、
本作の主張が見えてきて、
コミュ力に悩む若者への
一助になる感じもありました。