タイトル | ちぃちゃんのおしながき |
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原作・漫画 | 大井昌和 |
出版社 | 竹書房 |
小料理屋「みづは」の
女将として店を切り盛りするのは、
何とまだ小学生のちぃちゃん!
創作ならではの展開と、
リアルな居心地の良さの融合が
読んでいてなんとも心地いい、
読んでいて心がギスギスしない、
ハートフルな小料理屋物語です。
ちぃちゃんのおしながきのあらすじ紹介
小料理屋みづはを
切り盛りする親子。
お父さんがいなくなっても
頑張って店を続けようと
全力で働いていますが、
実はその店の女将は
まだ十歳のちぃちゃんでした。
明らかに小学生離れした
料理技術と情熱、気遣いで
皆から可愛がられるちぃちゃん。
一方彼女の母三葉さんは、
料理は苦手で勤務態度は
割とぐーたらな感じで、
ちぃちゃんに怒られることも
しばしばでしたが、
売り上げに貢献していました。
また親子の仲も良く、
そのおかげか店の雰囲気も
実に良い感じが保たれていました。
ちぃちゃんのおしながきのネタバレと今後の展開は?
小料理屋「みづは」。
チェーン店とはまた違う、
アットホームな感じの
敷居の低いお店です。
ただ一つ普通の店と違うのは、
その店の女将がまだ小学生の
「ちぃちゃん」であり、
母親である三葉さんが
普通の店員さんを
しているというところです。
実際、ちぃちゃんの料理の腕は
相当なものがあり、しかも
ムラっ気もなく熱心で、
常連さんたちにもとても
可愛がられています。
一方ぐーたらで料理も苦手、
営業中でもついついお酒を
お客さんと飲んでしまう、
三葉さんですが、
彼女もまた売り上げに貢献し、
店を切り盛りしています。
もっともあくまで「本業」は
小学生ですから、学校にも
行かねばなりません。
ただ、日頃から料理や接客を
鍛えているため
ちぃちゃんのセンスは、
普通の小学生をはるかに
超えており、時には文章題に
ツッコミを入れる回転の早さも見せます。
しかし一方で、ランドセルを
面白く活用したり、変に
対抗心を燃やしてみたりと、
子供らしいところも
まだまだあったのでした。
ちぃちゃんのおしながきの読んでみた感想・評価
ドタバタで定番的でありつつも
想像した「役割」とはまた違う
自由さが楽しい一作ですね。
コメディ系の四コマ作品は多く、
内容もまた非常に多彩ですが、
どうしても四つのコマの中で
区切りをつけるために、
役割が固まりがちです。
ボケキャラはずっとボケ担当、
ツッコミ役は常にツッコミ、
大人役はクールだったりと、
様々な変化をつけようとしても、
基本的な「イメージ」からは
抜けにくい部分があります。
ただ本作は小料理屋ものなのに、
小学生のちぃちゃんが女将役、
しかもちぃちゃんを支えるべき
母親の三葉さんはぐーたらと
意外な設定にまず驚きました。
ただちぃちゃんはとても元気で
しかも「大人」としての実力も
配慮もあるタイプであり、
単なる子供でも、大人が
外見だけ幼くなったのとも違う、
独特の魅力に溢れていました。
だからこそ三葉さんも安心して
店を任せることができ、
無理に「大人」でなくてもよく、
そこが「みづは」ならではの
不思議な接客となって、
売り上げに貢献もします。
仕事をサボったり、
あるいはお酒を飲んでしまうような、
普通に考えれば完全な悪癖が、
仕事にプラスになるなんて
とても不思議ではあるのですが、
本作世界ならば受け入れられます。
ちぃちゃんは本当に元気で面白く、
また愛らしい性格もしていますが、
いわゆる「萌え」的な定型が少なく、
店を離れたら普通の子供だったり、
意外とお茶目なところがあったりと
一面的でないのも良いですね。
ちぃちゃんのおしながきはこんな方におすすめな作品!必見
今では安くて早くてサービスが良い、
チェーン系の居酒屋が全盛ですが、
宅飲みという「原価」に上乗せするなら、
やはり自分一人で飲んでいては
味わえないアットホームな感じが
欲しかったりするものです。
しかしいかにもお酒大好きで
パワフルな感じのお店ですと、
気分は盛り上がる代わりに、
後々「消耗」する感じを
受けてしまうのもまた事実です。
その点本作の舞台「みづは」は、
明るく元気な三葉さんと、
しっかり者のちぃちゃんが、
とても良い感じに店を
切り盛りしており、
心底から癒される雰囲気があります。
また、小学生のちぃちゃんが
実質的に店を切り盛りしていたりと、
漫画ならではの展開も面白く、
ぐーたらな感じの三葉さんにも、
お客のお酒の相手などの
役割が用意されています。
フィクションとしての面白さを
たっぷりと堪能しつつも、
雰囲気の良いお店での一杯を、
追体験したいという方には
非常にオススメできる一作です。
レシピなども含まれていて、
「ちぃちゃんの味」を
自分でイメージできたりするのも、
ファンにとっては嬉しい点ですね。