タイトル | お約束は、できません |
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原作・漫画 | 曜名 |
出版社 | 双葉社 |
ギフトショップで働くOL花衣子。
しかし彼女には実は、
「約束」という言葉がトラウマという
自分ではどうにもならない秘密が……。
表面的な仲の良さとはまた別の、
経験からくるトラウマの厄介さや
個性的なマスコット等々、
斬新な要素を多数含んだ、
意欲的な恋愛漫画です。
お約束は、できませんのあらすじ紹介
ギフトショップ「ステラ」に勤務する
OL花衣子。
店長も同僚も良い人たちで、
さらにはマスコットの鳥「綺羅」も
色々と喋ってくれたりと、
充実した日々を過ごしていましたが、
実は花衣子は「約束」がトラウマで、
単語を聞くことさえ辛い状況でした。
そんなある日、広告代理店勤務の輝と、
知り合うことになりますが、
実は輝もまた「約束」がないと、
生きるのが辛いという、
トラウマを背負っていました。
一見真逆な感じの二人ですが、
一方で人柄は認め合っており、
折に触れて仲良くなっていくなど、
徐々に関係を深めていくのでした。
お約束は、できませんのネタバレと今後の展開は?
「ステラ」に勤める乙菊花衣子は、
自由自在に言葉を喋る不思議な鳥
「綺羅」を従えて仕事をする、
個性的なOLですが、ある日、
カッコイイ紳士と鉢合わせになります。
広告代理店から取材に来たという
早倉井輝は、非常に爽やかで親切、
一緒に仕事を進めるにあたって、
実に素晴らしい感じの男性でしたが、
花衣子にはある問題がありました。
それは幼少の頃の経験から、
「約束」という言葉を聞くと、
トラウマのスイッチが入って、
一気に動転してしまうことでした。
もっとも輝はとても良い人で、
仕事上付き合うには
何の問題もない人でしたが、
実は輝にも、「約束」を
していないとダメという
トラウマが秘められていました。
そのことを知った花衣子は
真逆同士ではと、今後は
距離を置こうと考えますが、
逆に輝からは、付き合わないかと
思いがけぬ提案をされてしまいます。
その根拠となるのは、互いの
トラウマを解消したいという
強い思いでしたが、
花衣子の周りは協力的で、
輝の友達もまた、彼女たちの
心遣いには感激していました。
しかし輝はイケメンかつ有能、
そのため思わぬ形で「女難」が
巻き起こったりもするのでした。
お約束は、できませんの読んでみた感想・評価
オーソドックスな社会人ラブと思いきや
他では見られない要素が満載で、
グイグイと引き込まれました。
社会人同士が出会い親しくなり、
そして恋愛関係に至る作品は、
現実でのケースも非常に多いためか、
大人系恋愛漫画では、一番の
定番シチュになっている感じです。
しかしその一方で、定番なために
独創性を出すのがなかなか難しく、
埋没しやすいジャンルと言えます。
しかし本作では、花衣子も輝も、
幼い頃の「約束」に傷付けられ、
故に真逆の価値観を持っている、
しかし互いのことは嫌いではなく
誠実な雰囲気と性格を持つという
強い独創性が軸にあります。
誰しも一度は使ったことがあり、
しかも破ったこともありそうな
「約束」という言葉だけに、
かえって説得力があり、
一体どうなるのかと
ドキドキして読むことができました。
また、「対立関係」とは言え
花衣子と輝にはわだかまりはなく、
嫌な性格でもなかったのは、
読んでいて本当に嬉しい点でした。
ヒロインたちの脇を固めるキャラも、
皆個性的な上にいい人が多く、
しかもマスコットの「綺羅」など、
他では見られない仕掛けもありと、
読者を飽きさせない展開が、
実に楽しい一作とも言えました。
一般的な恋愛漫画が苦手でも、
本作であれば問題なく
読了できそうな感じでしたね。
お約束は、できませんはこんな方におすすめな作品!必見
恋愛ものからバトルものまで、何らかの
「人間関係」が重要になる物語では、
「相性の悪さ」が前面に出がちです。
そうして異様なほどにソリが合わない
主人公とライバルや恋愛相手が、
インパクトあるやり取りをしていきますが、
現実的なことを言ってしまうと、
よほどの「理由」がない限り、物凄く
拒絶する関係は生まれにくいものです。
「あいつの目つきがムカつく」、
「喋り方がウゼェ」、的な話で
喧嘩ができるのは精々不良学生までで、
互いに社会人だったりするのに、
強烈な緊張感を維持するというのは、
本来現実味のない関係性と言えます。
しかし本作では、誰もが口にする
「約束」というワードを一つの軸に、
どうしても「できない」側と、
「しなければ気が済まない」側の
両面を描いていくことでごく自然に
価値観の違いを示しています。
理性ではどうにもならない相性や、
表面的な感情を超えたわだかまりなど、
なかなか厄介な要素を、
妙なドロドロ抜きで楽しみたいなら、
本作はまさに最適だと言えるでしょう。
設定の独創性もさることながら、
登場人物が個性的な上にイヤミがなく、
マスコットキャラの「綺羅」君など、
ヒロインと相手の男性以外にも
見るべきところが非常に多いのも
本作の嬉しいところと言えるでしょう。