タイトル | オハナホロホロ |
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原作・漫画 | 鳥野しの |
出版社 | 祥伝社 |
翻訳家の麻耶が同居しているのは、
かつて「同棲」していたみちると
その息子のゆうた。
恋人のような友人のような
はたまた家族のような関係が、
過去の思い出と温かく絡んでいく、
極めて独創的でハートフルな、
ホームドラマ作品です。
オハナホロホロのあらすじ紹介
翻訳家として仕事をしている、
インテリ系女性の麻耶は、一人用には
やや大きな部屋に住んでいます。
麻耶は、親友のみちると
その息子のゆうたと一緒に暮らしており、
ゆうたの迎えに来るほど、
彼女たちのことを大事に思っています。
一方で麻耶とみちるはかつて、
単なる友達とは言えないような「関係」を
持っていたりもしたのですが、
立場も変わり時間も経った今、
昔のような情熱を発揮するのは、
難しい現実はありました。
しかしそれはともかくとして、
麻耶はみちるを親友として
極めて大事にしていましたし、
ゆうたのことも大事にしており、
毎日が充実しているのは
紛れもない事実でありました。
オハナホロホロのネタバレと今後の展開は?
プロの翻訳家として
仕事をしている麻耶は、
他の女性と同居しています。
彼女はみちると言い、
五年ほど前までにも同居、
あるいは「同棲」を、
していたような仲でしたが、
再開した彼女には、
ゆうたという息子がいました。
そのため母子と麻耶が
改めて同居する形で
今に至るわけです。
元々子供っぽいみちるは
ゆうたと張り合ったりと
なかなか騒がしい上に、
上階からニコという
イケメン男性がゆうた目当てに
遊びに来たりもします。
つまり麻耶の部屋はとても賑やかで、
とても寂しがり屋で、いざとなると
相手の性別も関係なくなるような、
みちるにも最適な空間ですが、
時間が経ちそれぞれ立場が変わった
みちると麻耶は恋人にはなれません。
実際に「母親」になったみちるは
麻耶が予想もしなかったような
反応を返したりもします。
しかしそれでも麻耶がみちるに対して
全幅の存在を抱いていることには
昔同様一切の変わりがなく、
みちるもまた、麻耶自身が
気付かないほど分かりにくいピンチに
駆けつけるほどの熱意がありました。
オハナホロホロの読んでみた感想・評価
変わり種系のホームドラマですが、
インパクトだけではない深みと
大人ならではの葛藤があり、
誰に視点を合わせるかでも
随分と印象が変わるような
深さを持った作品でした。
本作のカギとなるのは、
誰か一人と言われればみちるでしょう。
元々は好色、と言うよりは、
常に人肌の温かみがなければ
落ち着かないタイプの人であり、
そのため、性別の壁すらも、
問題にしないほど自由だったのが、
「母親」として戻ってくるんですね。
そして立場が変われば当然、
何をするにも立ち位置が変わり、
やりにくくなるところですが、
可愛くて場を和ませてくれる
ゆうた君がいることもあり、
皆うまくやっていきます。
この辺りの決して建前ではない
微妙な距離感ややり取りは、
他の作品でもある要素ですが、
本作の場合は関係がやや
特殊なために、距離感もまた
独特で新鮮でした。
しかし、いくつかの問題や
心の交流を経験する中で、
「先」がないように見える、
麻耶とみちるの関係にも
変化が出てきたりする点など、
救いがあるのも良かったですね。
また甘えん坊で子供っぽい
みちるが、萌え的でないながらも
人を惹きつけていたりと、
ドキッとさせられる展開が、
ふとした折に挟んであるのも
刺激的で良かったですね。
オハナホロホロはこんな方におすすめな作品!必見
とても仲が良く時には人生の一部を
分け合うように生きてきたという親友が、
時を経るとかなり立ち位置が変わることは、
決して珍しくはありませんが、
何かのきっかけでまた近くなると
一気に親密になっていくものです。
その意味では「親友」というのは、
時に恋人よりも近いのかも知れませんが、
本作での麻耶とみちるの関係もまた、
友人ともまた違う、しかし恋人とも
少し違いがあるかも知れない、
微妙な部分があると言えます。
しかし性的な志向がどうだろうと、
大事にするべき子供が生まれれば、
人間は「変わる」ものですが、
一方で「立場」だけでは
割り切ることができない思いも
内包しているものです。
本作は「同棲」していた二人が、
数年後「同居」するという
他では見られない微妙さがあり、
しかし複雑ではあっても過度に
ドロドロして関係をすぐに
ぶち壊したりしません。
極めて独創性が強く、また、
目立つだけの出オチではない
深い人間味をもった関係を、
じっくり満喫したいなら
最適の作品だと思います。
また全体に落ち着いた筆致で、
麻耶とみちるの関係も
実に落ち着いていますが、
みちるには表面的な容姿や
スタイルだけではない色気があり、
そうした部分も必見と言えます。