タイトル | 酒のほそ道 |
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原作・漫画 | ラズウェル細木 |
出版社 | 日本文芸社 |
酒好きの会社員、岩間。
彼の楽しみは業務時間外の
様々な「酒巡り」。
しかし彼は格式にはこだわらず、
チャンスがあればあらゆる場所で
酒を楽しみ続ける……。
現在ブームのお酒漫画の
先駆者的位置付けながら、
独特の存在感を有し続ける、
「飲み系」コミックの傑作です。
酒のほそ道のあらすじ紹介
中年会社員岩間の楽しみは、
何と言っても「お酒」。
それも、皆で騒ぐのではなく、
一人でじっくり飲んだり、
店を開拓したりするのが好きな、
本物の「酒飲み」でありました。
そんな岩間ですから、色々な
楽しみ方を自分で見つけて、
居合わせた人とも時には、
仲良くやったりもしますが、
そこはやはり「酒」の世界。
お客はもちろん店主たちも
色々とマイペースな面があり、
中にはプロも唸るような、
アンティークが満載された
粋なお店もありましたが、
岩間はあくまで自然体でした。
酒のほそ道のネタバレと今後の展開は?
四十代会社員の岩間宗達。
彼の仕事外での楽しみは、
何と言っても「お酒」です。
基本的には人とつるまず、
チェーン店には頼らずに、
様々な店を開拓していきます。
しかし単に好奇心旺盛な
情熱家というだけではなく、
じっくり落ち着いてお酒を楽しみ、
その店の「良さ」を出してしまう、
不思議な魅力があったりもします。
そんな岩間だからでしょうか、
彼に酒を供する店主たちもまた、
非常に個性的な一面を見せます。
今日は大根が良く出てしまって、
残り一つしかないと言いつつ、
おでん入れの底の方に、
奥さんのための大根を
こっそり隠している店主もいれば、
古道具屋のような店主もいます。
自分がお酒を我慢しているため、
やたらときつい態度を取る
焼き鳥屋の店主に遭遇したりと、
ちょっと面白いパプニングもありますが、
岩間は岩間で人の目が気になり、
変装して立ち飲みに行ったりもします。
もっともそんな岩間でも、うっかりと
ハメを外してしまうこともあり、
同僚と行った飲み屋で、
ビールを色々ブレンドして
飲みまくって潰れてしまい、
ぶっ倒れてしまうのでした。
酒のほそ道の読んでみた感想・評価
最近大流行の
グルメ・飲み系漫画の
先駆者的立ち位置ですが、
主人公岩間の絶妙さは
他では見ることのできない
面白さに満ちていますね。
本作のポイントは、
お酒をうまく飲むための
「本質」からはズレないだけの、
深い経験と知識がありつつも、
それを表の武器として出さない
「慎ましさ」にあると思います。
評論家やライターではない
「普通」のお酒好きへの愛を
全面に示している本作は、
主人公の岩間が日々入る店を
ランク形式で比べたりは
基本的にしていません。
もちろん個人営業、自営業が
中心の「町の居酒屋」では、
時々良くも悪くもとんでもない、
「要素」を持つ店があるので
その点は無視できませんが、
客としての立場を徹底しています。
だから、初見で奇抜な店構えには
素直に驚き評価しますし、
わざわざ仕事のように、様々な
ウンチクの類を
延々と披露したりはしません。
聖人君子ならぬ普通の
サラリーマンですので当然、
何かにつけて「毒」は出しますが、
その客としての立ち位置が
非常に明快なので、
うっとうしい感じがないんですね。
お酒好きな方とともに、
いっそう楽しくおいしく飲めるような、
配慮が行き届いた良作だと思います。
酒のほそ道はこんな方におすすめな作品!必見
一人で飲んでも楽しいけれど、
皆で飲んでも、家で飲んでも、
お店で飲んでも楽しいのがお酒です。
つまり楽しむ気があれば、どこでも
いい感じに楽しめるのがお酒の
良いところなのですが、
店主なり飲み仲間なり、お酒なり、
常に「他者」がいるわけですから
いつも楽しめるとは限りません。
そんなお酒にまつわるよもやま話や、
楽しむためのちょっとした工夫、
エッセンスなどのお話を、
折々の場に触れてし続けているのが
本作だと言えるでしょう。
大長編ですが姿勢は一貫しており、
変わらぬお酒の楽しさを
満喫したい方にはオススメです。
また、主人公である岩間が、適度に
「毒」のあるタイプでもあるので、
品行方正な楽しみ方だけでなく、
嫌な酔客に対する本音や、
露骨に態度が変わる店主への
ビシリとした視線もいいですね。
また、各話の間には、レシピ有り、
コラムもありと、ただならぬ知識が
秘められているのですが、
本作では非常に抑制的で、
ウンチクっぽくなっていないのも
実にいいところだと思います。
また、忙しい中でも、決して
楽しみを忘れない岩間の姿には
本当の意味での粋があり、
日常漫画としても読めるのが
本作の妙味でもあると
言えるかも知れません。