タイトル | 指輪の約束 |
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原作・漫画 | こやまゆかり |
出版社 | 講談社 |
OLの遠藤ミチは、かねてからの恋人、
浩太郎からの求婚を受け入れ、
晴れて新婚生活に向かうが……。
誰かが一方的に悪いわけでもなく
深刻にすれ違ってしまう男女の、
どうしようもない難しさ、切なさを描いた、
リアル系恋物語です。
指輪の約束のあらすじ紹介
普通のOL遠藤ミチは、交際を経て、
会社のすぐ近くのビルの
企業に勤める浩太郎に求婚されます。
ミチが快諾したため、話はすんなり進み、
翌年早々には結婚式、さらには
新婚旅行に新生活と予定も沢山です。
しかし、結婚をするというので仕事に
よりいっそうやる気をみせた浩太郎が
チーフの座に就いて、今までよりも、
ずっと多忙になったことで、
話のすれ違いが生じて、
二人の間にも溝が生じてしまいます。
そこで別の会社員杉本と話す中で
意気投合してしまい、部屋で一夜を
過ごすことになってしまいます。
ミチに自制心があったことで、結局
二人は何もせず別れますが、
その現場を浩太郎に見られたことで、
二人はさらに深刻な状況に
置かれることになるのでした。
指輪の約束のネタバレと今後の展開は?
OLの遠藤ミチは、二十五歳にして
向かいのビルに入る会社に勤める
浩太郎から結婚を申し込まれます。
既に二年の交際を経て、互いの
信頼関係を築いてきた相手からの
求婚ということでミチは快諾。
両親への挨拶など、必要な
様々なことも済ませて、
翌年の二月には結婚という、
まさにバラ色の未来を
夢見られる状態になりました。
しかし新婚生活にミチが、
胸を膨らませている中、
浩太郎は仕事でチーフに就任。
結婚するという浩太郎の
状況も考慮された感じの
人事であり、彼はやる気満々、
ミチもそんな彼の姿は嬉しく
全力で応援しようとしました。
ところが仕事が忙しくなり過ぎ、
新婚旅行の話をしても、浩太郎は
上の空になってしまいます。
そんな中、浮気をされたという
同僚の話やチーフの離婚の原因など
色々な話を聞く中で、
ミチの心も少しずつ揺れていきますが
相変わらず浩太郎は仕事一筋、
ミチを顧みる雰囲気はありません。
ついにはデートの話をキャンセルし、
仕事に向かう浩太郎の態度にミチは怒り、
二人の間には不穏な空気が流れます。
指輪の約束の読んでみた感想・評価
王道のカップル物語ですが、
幸せから不和に至る過程がリアルで
怖さと面白さがありますね。
恋に落ちるまでを描いても、
結婚までを描いても、
結婚してからの家庭を描いても、
いい感じでおさまるのが、
オフィスラブ系の物語の
いいところと言えます。
しかし同じような関係に見えても、
恋人でいるのと同棲するのと
結婚するのはまた違いますし、
意識の上でも結婚となると
今までとは違う障壁が
絡んでいる感じがあります。
その微妙かつ確かな部分を
本作では非常に明確かつ
シビアに描き切っていますね。
だからこそ、仕事の行き違いや
性格やスタンスの微妙なズレなど、
実際気になる部分が、
トゲとして読者にも感じられ
非常にあるある話として、
楽しむことができましたね。
また、ついつい他の優しい人に
流されてしまったり、
弱った人を見過ごせなかったり、
一般的にはまずいと思われる
「不倫」にしても単純な
裏切りでない複雑さがあります。
された方としてはそんなものは
単なるいい訳だとなりがちですが、
読者側は客観的な視点が得られて、
大所高所から「分かる」のも
面白く嬉しいところですね。
他のドロドロしたサスペンスや
ミステリーに比べれば
導入の時点からかなり大人しく、
一見目立たない作品と言えますが、
読んでいけばいくほどに、
胸にくるシーンを堪能できました。
指輪の約束はこんな方におすすめな作品!必見
学校を卒業して仕事を頑張り、
出世も視野に入ったところで結婚。
恐らくは多くの人たちが取る選択肢ですが、
仕事で認められ部下を使う役職になると、
ほぼ間違いなく責任は重くなるものです。
加えて多忙にもなりますので、
当然特に男性は仕事重視な感じに
なっていく方が多くなりますが、
こうしたケースで問題なのは、
結婚式も一大イベントで、
夫の采配が大事だというところです。
仕事が忙し過ぎて式や新婚旅行には
まったく身が入らず、互いの気持ちにも
亀裂が入ってしまうのが本作の展開ですが、
どうしても「いいイベント」ならば
円満にもっていきたいという創作上の
「あるある」を気持ち良く打破し、
リアル感を前面に押し出した点で
結婚を控えた方にもオススメです。
予め本作を読んでおけば、
仕事に集中し過ぎて式の準備が
おろそかになるということが、
どれだけヤバい雰囲気があるのかが
非常に良く分かります。
また、うっかり流されてしまうと、
その後何もなかったとなっても、
相手側に疑念が生じることもあり、
言葉の重要さや難しさという
日常生活で大切なことも、
明示されているのもいいですね。