タイトル | 椿荘101号室 |
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原作・漫画 | ウラモトユウコ |
出版社 | マッグガーデン |
彼氏と同棲しているものの、
仕事はせず家賃も払わず、自堕落に
時を過ごしていた春子は、
唐突に別れを告げられ、
ボロアパート椿荘で、個性的な面々に
囲まれて一人暮らしを開始するが……。
変わってはいるものの面白い住人たちの
いい感じの距離感と優しさが胸に染みる、
ハートフル系アパートコメディです。
椿荘101号室のあらすじ紹介
仕事をせず、またその気もなく、
家賃も彼氏に払わせて寝坊する、
自堕落な生活をしていた春子は、
ある日突然彼氏から、別れを
切り出され、一人暮らしを
始めることになります。
しかし大家さんから試しにと
紹介されたのは、やたらにボロく、
しかもとても住人が個性的な、
椿荘というアパートでした。
外観はもちろん、部屋に
トイレも洗面もないという
状況に春子は驚くものの、
他に行くところもない中、
住人たちは個性的ながら親切で、
春子は色々な経験を積んでいきます。
椿荘101号室のネタバレと今後の展開は?
学生時代から知り合っていた彼氏に
いつの間にか頼り切りになり、
仕事もせず家賃も払わないでいた春子。
しかしある昼目覚めた春子は、
食卓に並んだ好物たちとともに
彼氏から別れを告げられます。
都合よく話を解釈し、
元気に彼の家を出た春子ですが、
入った不動産屋さんで、思わず、
涙を流してしまいます。
まったく生活力がなく、
手続きも良く分からない様子の春子に
大家さんは「特別サービスだ」と、
一週間「椿荘」で暮らせるように
鍵を差し出しますが、
まるで探偵のように種々の物件を、
すり抜けてみつけたその建物は、
やけに古びたアパートでした。
畳の匂いは懐かしかったものの、
部屋にトイレも水道もない状況は
今までとはあまりに違っており、
そこでもまた戸惑いますが、
鉢合わせた隣室の磯谷さんに
食事を振舞われることになります。
色々と親身に話を聞いてくれた
磯谷さんでしたが、実は食事は
「有料」であり、さらには、
電気に至るまでお金を取るなど
磯谷さんはかなりがめつく、
春子はまたもビックリします。
しかし、親友の鈴子の助けや、
大家さんからの親切、そして
「現金」ながらも色々と、
世話を焼いてくれる
磯谷さんたちは、春子にとって
大きな助けになっていくのでした。
椿荘101号室の読んでみた感想・評価
急転直下からの一人暮らし、
パワー系日常ものの定番ですが、
ハードな展開にはならず、
割と緩く快適に
暮らせていけてるのも、
なかなかいい感じですね。
本作の魅力は、春子を取り巻く、
個性的な面々になります。
もっとも春子も、仕事はせず、
料理も彼氏が作ったりしてと
「他人」と同棲している割には、
相当にユルくて生活力も
足りない感じなのですが、
案外暮らしていけているんですね。
と言うのも友達の鈴子は世話焼きで、
大家さんはいつも見に来てくれ、
隣室のおばさんもお金は取るものの、
いつも料理を作ってくれたりと、
ある意味学生寮より手厚いですが、
それでも「いい人」にはなりません。
恩に着せるというわけでなくても、
普通そこまでしてしまうと、
なかなか「お金」などを全面に、
出したりはできなくなりがちですが、
彼女たちは躊躇なくそれをやるから
春子は後ろめたくならないんですね。
この距離感の取り方は、大人として
本当に素敵だなと思えますし、
やれることでもないでしょう。
しかし色々と足りないまま
ここまで来てしまった春子には、
愛嬌と面白さに満ちた彼らが、
どうしても「必要」だったのだと
読み進めるごとに強く
思えるようになってもいきました。
また、磯谷さんや加納さんなど、
とにかく逞しく個性的ですが、
不思議とアクのない面々は、
春子抜きであっても魅力的で
話したら色々楽しいんだろうなと
しみじみ思ってしまいましたね。
椿荘101号室はこんな方におすすめな作品!必見
最近は建物もぐっと近代的になり、
さほど家賃をかけずとも、快適な感じの
お部屋に住むことができますが、
だからこそ外観から昭和の匂いがする、
いわくのありそうなアパートには、
他にはない「雰囲気」を感じるものです。
本作はそうした雰囲気あるアパートを
舞台に繰り広げられるホームコメディで、
創作としては定番な感じもありますが、
可愛らしい子役たちだったり、
美しい女性だったりと
春子がいて違和感がないのが特徴です。
こうした「安アパートもの」の作品は、
多くの場合タフな男たちが多く、
全体的にワイルドなのが定番ですが、
本作の雰囲気はそういう野性味が
どうも苦手という方にも
オススメできる感じです。
だからこそサクっとフられた
春子にも向く感じと言えますし、
女性の一人暮らしならではの、
あれこれと細やかな難しさも
きちんと描写しているのが
実にいい感じですね。
とは言え外観から丸分かりな
「古い故の面白さ」に関しても
きっちり表現されているので、
作品の中で、イマドキとは違う
面白い物件での騒動を
満喫したい方にもオススメです。
ある意味では、今流の物件と
古式ゆかしい感じの物件の
良さを組み合わせた感じですね。