タイトル | 鬼灯の冷徹 |
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原作・漫画 | 江口夏実 |
出版社 | 講談社 |
現世で悪事を働いた
人間が落ちたる場所──地獄。
八大地獄と八寒地獄に分かれ、
二七二の部署を持つ、
悪人達の逝き着く終着点。
その地を収めたるのは、閻魔大王第一補佐官
である鬼灯(ほおずき)による
優秀な手腕によるものだった。
これは、慌ただしい地獄の日常を描いた、
職務にただ忠実な鬼の日々の物語である。
鬼灯の冷徹あらすじ紹介
古来より、現世にて悪行の限りを尽くした
罪人が堕ちる終着点は地獄である。
現世においての善行と悪行を
閻魔大王に審判されます。
善人は極楽へと導かれ、
悪人は地獄へと落とされる。
死後の裁きの仕組みはいまだに変わらず、
こと現代においては、
さらなる混乱を極めていた。
人口増加による罪人の増加に、
それを裁く極卒の人材不足。
悪霊などの凶暴化、
はたまた今では機能しない刑場の問題など。
地獄は多様な問題を抱えるも、
それを一人の鬼が仕切り、
事なきを得ていた。
その日。
今日も地獄の主である閻魔大王の元に、
様々な問題が流れ込んでくる。
天国の人手不足に、阿鼻地獄の川の氾濫に、
黒縄地獄の財政問題。
今日も押し寄せる罪人の波と、
地獄は今日も慌ただしかった。
天国の人手不足と、対応に頭を悩ます問題を、
自分の第一補佐官である鬼灯(ほおずき)に
相談しろという閻魔大王の言葉。
小鬼の新人極卒である唐瓜(からうり)は、
針山地獄を視察する鬼灯の元へと向かう。
面倒なことは自分にと、
さらりとしながら閻魔大王に悪態をつく。
天国の人手不足を考えるも、
桃源郷の桃農家に人手を貸してほしいと訴える
その内容に、あきれる鬼灯。
桃源郷の秘薬とも言える仙桃を
大量に確保したい天国の政策に貸す人ではない。
と一蹴するも、桃源郷は重要文化財として、
また天国の最大の観光スポットでもあるのです。
景観の維持にせめて芝刈りの人員だけでもと、
立場的に嘆願する唐瓜。
そんな中でまた一つの面倒事が
鬼灯の前に訪れてくる。
それは……桃太郎と御供である猿、犬、キジの
トラブルだった。
今日も地獄は騒がしく、暇の暇はない。
鬼灯の冷徹ネタバレ・今後の展開
地獄の鬼の日常を描いた作品「鬼灯の冷徹」は、
まるで現代社会の延長でもある。
摩訶不思議な世界でもある。
しかし、妙に現代社会の生活感のある
地獄での日常を描いていることに
定評のある作品でもあります。
亡者を裁く鬼達にも、
それなりの苦労があるのだと、社会人ならば、
ああなる程と思えるような。
そんな社会のあるあるな物語の展開が
面白い今作品。
地獄での問題が山積み。
それを解決へと導く立場にいる、閻魔大王の
第一補佐官である鬼灯。
いきなりやってきたトラブルに
冷静に対応します。
そのトラブルとは、桃太郎の来訪でした。
一番偉いやつを出せと、
地獄の鬼に食ってかかる桃太郎。
かつて日本を代表する御伽噺の主人公である
桃太郎に何があったのかと思います。
かつての栄光を思い出したく、
鬼退治に来たと、地獄の鬼相手に
一悶着を起こそうとする問題児になっていました。
鬼灯はそんな彼を冷静に分析しながら、
かつては鬼退治で活躍した事を誇るのはいいがと、
大義を見失っていないかと諭します。
でも桃太郎はそんな事は関係ない様に、
鬼退治をしてこその
桃太郎だと引き下がりません。
かつての御供も、
そんな桃太郎に不満をチラホラと漏らします。
色々と性格に問題のあるかつての英雄に、
鬼灯はどう挑むのでしょうか?
鬼灯の冷徹読んでみた感想・評価
現代社会の悩みを織り交ぜながら、
どことなく俗世の日常の一部
として描かれる「鬼灯の冷徹」
死後の地獄がテーマ。
閻魔大王の部下である第一補佐官の鬼を
主役にして描かれるブラックコメディを
折り込んだ、ファンタジー漫画です。
地獄と言えば、妖怪にお化けなどと
おどろおどろしいイメージが付きものな
日本漫画固有のジャンル。
でもこの中で描かれるのは、
そんなおどろおどろしい
昔ながらのイメージを払拭します。
地獄で働く鬼達の日々と日常。
現代社会人の悩みとして理解できる、
身近な日常を漫画の表現を織り交ぜている。
地獄も俗世とはたいして
変わらない悩みがあると、
親近感の沸く演出。
地獄で働く鬼達の苦労が
何気に理解できる内容に
面白みのある作品となっております。
主役となる鬼灯が織り成す、
地獄の経営に手腕を振るう。
それをあえて楽しんでいる雰囲気。
地獄の鬼としての矜持を守りながらに、
自分の楽しみの為に仕事をする様と、
その隙の無い働きっぷりが痛快です。
また地獄を終始コミカルに描いた
物語独特の展開なども
見どころとなっています。
普通ならば恐ろしい場所と描かれている地獄。
じつは以外に生活感のある世界です。
かつての妖怪や神代の神々など、
また御伽噺の英雄などが
働く世界として描かれている。
これまでの地獄のイメージを
変えた作品とも言えます。
地獄の日常をコミカルに、
またコメディタッチに描かれる、
妖怪と鬼と、御伽噺の登場人物達。
のんびりとした物語を楽しみたい人に
おススメな作品でもあります。
地獄の鬼の日常を描いたコメディ漫画!
学校や会社勤めで忙しくストレスが
溜まった時の気分を癒してくれる。
そんな漫画がこの「鬼灯の冷徹」です。
特に嫌な上司に文句を言われたり、
煩わしい人付き合いに頭を悩ましている時。
一度頭の中を洗いたいなと、思う時に、
そんな張りつめた気持ちを和らげてくれる内容が、
この作品にはあります。
この「鬼灯の冷徹」は、
仕事の出来る閻魔大王の補佐官の鬼灯が、
それとなくに活躍する事が
見どころの一つとなっています。
いい加減な仕事をする閻魔大王に
振り回される事なく、
逆に閻魔大王に制裁を加える。
テキパキと仕事をこなし、
我が道をひたすらに行く。
否、行き過ぎている、
そんなエリートな鬼灯の活躍が光っているのが、
今作の一番の見どころでもあります。
仕事をこなし、地獄の運営にと勤しむ彼。
時折に見せる動物好きな一面。
またかつての御伽噺の登場人物に
怜悧なツッコミを入れ、
あっさりといじり倒す。
他人に振り回される事なくに、
ぶれることなく自分の道を進んでいく鬼灯。
そんなエリートぷりな生き様が、
日々の生活で鬱積した気持ちを晴らしてくれる
内容となっています。
仕事で振り回されている人には、
実に痛快な見どころにもなっています。
地獄も現代社会の苦労があるのだと、
それをファンタジーを
交えて面白くした今作。
仕事と学業の合間にゆとりを持てる、
そんな作品です。