タイトル | 雲にのる |
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原作・漫画 | 本宮ひろ志 |
出版社 | 講談社 |
人間の子にして仏の意志に翻弄される
仁王丸が、幼い頃に生き別れた
妹に会う為、はるか雲の彼方にあるという
須弥山を目指して旅立つ冒険漫画。
サラリーマン金太郎で有名な
本宮ひろ志が仏教の世界を
圧倒的スケールで描く!
全6巻完結。
雲にのるのあらすじ紹介
仁王に育てられた人間、仁王丸は
二千年も眠りについていた巨鳥、
魁を目覚めさせる。
目的ははるか彼方にあるという
須弥山に行くためであった。
旅の途中、風神の娘である嵐、
魁に寄生していたシラミ、
四魔の関の天将を従える。
しかし、須弥山への道は険しく人間である
仁王丸では寿命が尽きてしまう為、
近道である地獄へと向かう。
また、仁王丸の邪魔をするべく須弥山の長、
帝釈天は配下の神将達を差し向ける。
果たして、須弥山に到達する時
何が起きるのか?
仏の意図するものはなんなのか?
雲にのるのネタバレと今後の展開は?
育ての親である仁王が、ある日雲の上で
飛行機にぶつかり事故を起こしてしまう。
その飛行機には、幼い仁王丸と妹、
両親が乗っていた。
全滅したかに見えたが、妹を助ける為に
その身を犠牲にして助ける
仁王丸の姿を発見する。
仁王はせめて生き残った仁王丸兄妹を
助けるため、傷ついた仁王丸に
禁断の実を食わせてしまう。
この実が、後に仁王丸に
ある変化を及ぼすことになる。
そして、その事を知った帝釈天は激怒し、
仏に仁王の裁定を懇願する。
兄を仁王の元に、妹を須弥山に置く
ことを命じる仏の意志。
その意志は、全ての神々の
宇宙からの撤退であった。
そんな仏の意志など知らず、
本能のまま須弥山を目指す仁王丸。
天井の神々、地獄、人間界を巻きこみ、
仁王丸は、旅の途中で力を付けていく。
須弥山に近づくにつれ
風貌が変化していく仁王丸。
そして須弥山に辿り着いた仁王丸は…?
また、必死で仁王丸を阻止しようとする
帝釈天の隠された野望とは?
須弥山と仁王丸の動向を静観する
阿修羅王の目的は?
雲にのるの読んでみた感想・評価
本宮ワールドが炸裂する痛快冒険漫画。
天地を喰らうでも三国志を舞台に
天上界が登場するが今回、
触りではあるがそれを匂わす場面が
あるのがファンにはたまらない。
決して絵が上手いわけではないが、
迫力ある画風で仁王丸の活躍を描いている。
巻数は6巻と少ないが、須弥山への旅という
テーマと仏教を絡めて中身は
ボリュームがあり、見ごたえがある。
漫画を読みながら仏教の世界観も
知ることができる。
現代劇だけでなく、壮大なストーリーも
描けるのは見事である。
好きなエピソードは、国を守る為に
その身を犠牲にしたある女性を救うべく
腐った池の水を口で全て吸い上げる
仁王丸と女性の絡みである。
その女性は、池の底で髪を巻きつけ
自害して数千年経っている為に
ミイラと化していた。
しかし、男の精を受け入れると
元の美しい姿へと戻る。
また、四魔の関を越えるために、
その関の番人と嫁を探すという条件を
受け入れる仁王丸は
全力で嫁探しをする。
そんな仁王丸に対し、自分達に
真剣に向き合ってくれたのは
仁王丸が初めてだと
番人達は涙するシーンも印象的だった。
雲にのるはこんな方におすすめな作品!必見
本宮ひろ志ファンなら
間違いなく楽しめる作品。
当然、ファンでなくても仏教など
神話的な話が好きな人も楽しめる。
作者の他の作品もそうだが、
基本的に男とは!とか人間とは!
というテーマが根底にあるので
哲学的な話が好きな人にもおすすめ。
しかし、男女の絡みが頻繁に出てくるので、
少年には向かない。
また、戦の合戦シーンでは陣形の話が
出てくるシーンがあり、そこでは
関ヶ原の戦いに触れている場面がある。
有名な陣形なので知っている人も多いと
思うが、そういう歴史的な部分も
織り交ぜている為、
歴史好きにもおすすめできる。
巻数も少ないので話が頭に入りやすく、
一気に読むことができる。
読んで損をすることは絶対ないと
言い切れる漫画である。
他に、作者の作品で天地を喰らうも
少なからず関係があるので、そちらも
合わせて読むとより作品を楽しめる。
他の作品が有名すぎて、
雲にのるは陰に埋もれがちだが、
この作品も名作だと思うのでとにかく、
ぜひ一度は読んでほしい作品である。