タイトル | プラネテス |
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原作・漫画 | 幸村誠 |
出版社 | 講談社 |
現在アニメ化も決定したヴィンランド・
サガの作者である幸村誠氏の前作で
デビュー作. 全4巻と
公式ガイドブックが現在までに
出版されている.
アニメ化もされており
NHKで全26話放送されていた。
またアニメ作品は文化庁メディア
芸術祭10周年企画アンケート日本の
メディア芸術100選にも選ばれている.
プラネテスのあらすじ紹介
時代は近未来の2075年.
人類の活動領域はついに宇宙にまで
広がっており, 月面都市や大型宇宙
ステーションが完成して
恒常的に一般人が
居住するようにまでなった.
しかし人類が進出することで
宇宙にはゴミが多く排出されるようになり,
宇宙ゴミ専門の清掃員という
職業まで誕生するようになった.
この物語はこの宇宙ゴミ専門の
清掃員であるハチマキという青年の
宇宙船の船乗りとして,
そして人間としての成長をえがいた
物語である.
プラネテスのネタバレと今後の展開は?
2075年人類はエネルギー資源を求めて,
ついに木星往還宇宙船まで
完成するに至る.
しかし人類が宇宙資源を用いて
貧富の差がさらに
広がっていくこと,
石油資源が枯渇してしまったことの
反省が生かされていないとして,
人類は宇宙に進出すべきではないという
テロ集団宇宙防衛戦線が発足する.
彼らは中型宇宙機を
宇宙ステーションに向けて
突撃させることで
地球と宇宙を宇宙ゴミで断絶させる
ケスラーシンドロームの発生を目論んだが
主人公ハチマキの上司フィーの
活躍によって阻止される.
その後ハチマキはこの木星往還宇宙船の
パイロットに選ばれるのだが,
これまたこの宇宙船を破壊しようと
宇宙防衛戦線の残党
と対峙することになる.
この戦いの中でテロ集団のトップと
対峙し人類は宇宙に出ることは
どうなのか悩むことになるが,
仲間たちとの対話の中で
自分がやりたいと思うことそして
大切にしなければならないことを
知ったハチマキは決意を持って
木星往還宇宙船のパイロットとして
木星に向かうのであった.
プラネテスの読んでみた感想・評価
非常に一つ一つの設定がしっかり
していて面白かった.
宇宙船の形や宇宙服の仕組みも
ちゃんと工学的な見地に立って
描かれているし,
2075年というのが決して
現実離れしていないような
まるでJAXA(宇宙航空研究
開発機構)がプランとして
出しているような設定なのが
本当に素晴らしい.
着目しているのが宇宙ゴミという
今まさに宇宙環境の利用において
ホットになっている話題を
取り上げているのが
意外性があってよかったし,
よく2000年代初頭にこれを
テーマにして書こうと
思ったなと凄く感心する.
公式ガイドブックがこんなにも
興味深いものになるのは
極めて珍しいなと思った.
ガイドブックには主要となる
キャラクターの哲学的な嗜好付けが
なされており
そのことに着目してもう一度
本作品を読んでみるとまた違った
世界観が見えてくるのでお勧めする.
また宇宙インフラ的にどのような
工夫がなされているのかも
ガイドブックには詳細に書かれているので
片手にガイドブックをもって
本作品を見ると構造物についても
興味深く思えてくる.
プラネテスはこんな方におすすめな作品!必見
宇宙について興味のある方は
ぜひとも読んでいただきたい作品.
また工学畑の人間にも一度
読んでもらいたい.
宇宙という環境をどのように
利用していくのか, またそれが
純粋に科学的な興味で
進められていいのかなど,
環境倫理や工学倫理的な立場から
みなおすことができるから.
また感想のところでも書いたけど
設定が細かくなされているので
一つ一つの描写をここは
こんな風な意図で描いているとか,
構造物はちゃんとこういうことを
想定して作られているのだなと
納得しながら読むことができるし,
自分の将来どういうことをしようか
という指針の一つとなってくれるはず.
本当にこの本を読んで損することは
まずないと思う.
この本に関連するとしたら
宇宙開発や夢の実現という
ワードからすると
宇宙兄弟をお勧めする.
主人公難波六太が宇宙飛行士を目指して
奮闘する姿が胸にくるとともに,
その宇宙飛行士のなり方というのが
全部JAXAの協力のもと描かれている
全部リアルな話なので,
非常に興味深いと思う.