タイトル | 紅いハンドル |
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原作・漫画 | 伊庭晋太郎 あきやま耕輝 |
出版社 | グループ・ゼロ |
まだ珍しい自動車学校に
おける女性教官のはるか。
しかし彼女は
客寄せなどではなく、
丁寧な指導と
親身な心意気、
そして熱いハートで
生徒にぶつかっていく。
スパルタ系の雰囲気が
強かった頃の教習所の
イメージを一変させるような、
爽やかで明るい
はるかの頑張りが印象的な、
自動車教習所物語です。
紅いハンドルのあらすじ紹介
珍しい女性の自動車学校の
教官として、
日々頑張るはるか。
もっとも、
男勝りというわけではなく、
むしろ清楚な美人といった
タイプですし、
力が強いわけでもありません。
しかし彼女には、
他の教官にはない
気遣い力があり、
はるかの優しく親身な態度に、
今までなかなか
うまく学べないでいた生徒たちも、
次第に心を開いていきます。
とは言え、ただ決められたコースを
走っていればいいというわけではなく、
時には教習生とともに
絡まれてしまうといったことも
起きてしまいますが、
はるかは持ち前の
ガッツで切り抜けていくのでした。
紅いハンドルのネタバレと今後の展開は?
自動車教習所の教官として
初の仕事をした、はるか。
教導することになった
青年はやや内気そうな
雰囲気はありますが、
非常に丁寧で、
ずっと詰まっていたとは思えない
技術レベルでした。
しかし彼は、
いかつい男性の教官と
同乗になると、
まったく運転が
できなくなってしまいます。
わざとやっている風でもなく、
どうしても気になった
はるかですが、
再び彼と同乗した時に、
事情を聞くことになります。
小さな頃から内気で
引っ込み思案だった彼は、
中学時代に、
スパルタ系の教師とそりが合わず、
ひどくいびられ体罰を受けて、
顔を切ってしまうという
大怪我を負ってしまったのです。
後々まで傷跡が残るほどの重傷に、
彼の親は教師を訴えましたが、
完全に決着がつかないまま
和解となり、
彼はトラウマを
抱えたままになってしまいましたが、
実はその「元暴力教師」が、
はるかが在籍する教習所に
教官として所属していたのでした。
しかも折り悪く試験の際に、
その元教師と彼は
同乗することになってしまいます。
紅いハンドルの読んでみた感想・評価
今まで順調に人生を
歩んできた人でも
壁にぶつかって
しまいがちなのが「教習所」。
また、何とかして
壁を突破せねば免許が取れない
といった現実もあり、
「教習所もの」の作品は
結構多いですが、
生徒ではなく
指導する立場の教官が主人公で、
しかも美しい女性が
教官という作品は珍しいですね。
しかも、はるか教官は
実に丁寧で分かりやすく、
かつ威圧的でもなかったので、
教習所にそれほど
良いイメージを持っていなかった私も、
グイグイと
読み進めることができました。
一方、生徒たちの中にも
しっかりとした人間ドラマが存在して、
たった一枚の免許の中にも
「人生」を感じる巧さもあり、
胸が熱くなる時もあれば
笑いもあり、
教官と生徒の関係が
温かいのもいいですね。
理想の教習所と
言われて、
妙にセクシーな教官が
接待してくれるような
オイシイ状況だったり、
というのは
想像しやすいですが、
本当に生徒が教習所に
求めているのは、
はるか教官のような
先生なのかも知れません。
紅いハンドルはこんな方におすすめな作品!必見
現代社会に生きていると、
どうしても避けて通りにくいのが
「運転免許取得」ですが、
自動車学校には
独特の雰囲気があるのも
また事実です。
学校や塾では様々な
「先生」についたことがある
多くの人も、
教習所では「教官」と会って
ものを教わらなくてはなりません。
しかし、
人の命がかかっている技能を
教えているためなのか、
教官たちはパワフルかつ
威圧的だったりして、
なかなか馴染めないことが
少なくありません。
中には、関係がうまくいかなくて
免許を断念してしまったという方も
いようかと思います。
その点、
本作のはるか教官は違います。
いつも一生懸命で
親身に生徒のことを
考えてくれて、
しかも威圧的ではなく
丁重極まります。
良い意味での「女性らしさ」が
男女問わず、
頑なになった心や
行き詰まった状況を
解きほぐしてくれるような感じで、
免許獲得で嫌な思い出がある方にこそ
オススメしたい一作でしたね。
また、AT限定など、
従来よりずっと簡単になった
現在とは違い、
マニュアルを乗りこなせなければ
ダメな頃の話ですので、
そうしたことを考えながら
読んでいけるという点では、
車好きな方にも
オススメできる一作と言えます。