タイトル | CLAYMORE |
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原作・漫画 | 八木教広 |
出版社 | 集英社 |
人間を捕食する『妖魔』が跋扈する世界。
『妖魔』を倒すためだけに
人であることを捨てた女性たち
=『クレイモア』。
人の喜びを捨て
人からは忌避され
それでも人を守る・・・
『クレイモア』たちが
残酷な運命に立ち向かう
ダークファンタジー。
CLAYMOREのあらすじ紹介
妖魔の被害は捕食された人間のみならず
生き残った者にも及ぶ・・・
誰が妖魔かわからない状況で
周囲から疑いの目で見られ、
例えば幼い子どもだと
1人生き残っても厄介者とされる。
妖魔に家族を惨殺された少年・ラキも
兄に妖魔が擬態していたことから
村に居ることができなくなり
その妖魔を倒したクレイモアである
クレアの旅に同行することに。
豊かな街でラキを保護してもらうまで。
その予定の2人旅だったが
『暴走』しかけたクレアを
ラキが救う局面もあり
2人は次第に絆を深めていく・・・
CLAYMOREのネタバレと結末(最終回)は?
クレイモアは妖魔に対抗する力を得るため
妖魔の血肉を体に混ぜた女性たち、
ということは初期から明かされていますが
そのために大きなケガをしたり
闘いの中で限界を超えると暴走し、
身も心も妖魔と化してしまいます。
暴走の予兆を感じたクレイモアは
親しかった別のクレイモアに
自身の殺害を依頼する・・・のですが
間に合わずに完全に妖魔として
『覚醒』してしまうことがあります。
優秀なクレイモアが覚醒すると
そこいらの妖魔とは桁違いの力を得て、
組織も討伐を断念し放置するほど。
実は組織が公表していないだけで
こうした覚醒者はすでに複数おり、
その中の1体こそ
クレアの恩人の仇であり、
その覚醒者を倒すためだけに
クレアはクレイモアとなったのでした。
クレアの過去と同時に
明らかになっていく世界の真実――
妖魔さえも駒として
無慈悲に計画を進める組織――
先の見えない熾烈な闘いにおいて
勝利のカギを握るのは
たくましく成長したラキなのです。
CLAYMOREの読んでみた感想・評価
序盤の印象はとにかく悲痛、の一言。
妖魔から身を守るために
子どもさえ見捨てる村人たち。
人であることを捨ててまで
妖魔から人々を守りながらも忌避され、
やがては自身も妖魔と化して
仲間に討たれるクレイモアたちに、
任務第一で情を捨て去った生活の中
数少ない友人たちを
自身の手で殺めなければならなくなった
討伐する側のクレイモア。
希望のない未来に向かって
ただひたすら命を消耗する
世界の姿が
いずれ妖魔と化して
討ち取られる側になる、と承知しつつ
魂を削るクレイモアたちの姿と重なります。
中盤になると
それぞれの過去や世界の真実が
明かされ始めていきますが
妖魔を倒して人々を守る、という
唯一の存在意義さえ脅かされるような
残酷な事実に
ますます展開は暗くなる一方。
では本作は
鬱展開を楽しむ?作品かというと
意外とそういう印象はなく
運命があまりに悲惨だからこそ
日常のちょっとした平和が
とても幸福だと実感できる・・・
そんな構成になっています。
明日には消えてしまうかもしれない
だからこそ
自身の気持ちを決して偽らない・・・
敵キャラも含めた懸命な生き様に
強く生きる美しさを感じこそすれ
意外と嫌な気分にはならない、
そんな不思議な作品でした。
こんな方におすすめな作品!必見
他に類を見ない独特な世界観で
ファンタジー好きなら絶対に
楽しめること間違いなしです。
特に妖魔や覚醒者の容姿!
美しさと醜さを伴った
何ともいえない独特なデザインが
美麗な筆致で描かれており
イラスト集と思って眺めても
充分に楽しめる出来栄え。
覚醒者だと、
生前(?)のトラウマが
容姿に影響を及ぼしている節があり
その辺りを考察するのも
面白い読み方でしょう。
もちろん絵柄だけでなく
重厚な設定や予期できない展開、
それぞれのキャラたちが織り成す
心に響く物語も
この作品の醍醐味です。
粗暴に見えるキャラが
闘いの中で健気な献身を見せたり
半端な強さのキャラが
それでも懸命に役割を果たす様が
何度か出てきたりと
残酷さを前面に出した作品ながら
優しい視点が根底にあります。
このキャラへの愛情は
作品のジャンルこそ真逆なものの
同じ作者さまの『エンジェル伝説』と
相通じるところです。
前作のファンの方で、
明らかなジャンルの違いから
読むのを躊躇していた方も
多いと思いますが
『エンジェル伝説』での感動に
決して劣らないものが
この作品で味わえるはずです。