タイトル | 岸和田博士の科学的愛情 |
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原作・漫画 | トニーたけざき |
出版社 | 講談社 |
「天才の行ったことは天災である」
国際法により
天才の行為はすべて不問となる世界で
超天才が知的好奇心のままに起こす
トンデモナイ所業と
その犠牲となる人々とによる
あまりにシュールすぎる
グロ寸前のシュールギャグ!
岸和田博士の科学的愛情のあらすじ紹介
世界トップの科学力を持つ
超天才・岸和田博士は
国際法で保護される存在であり
首都が壊滅するレベルでなければ
どんな被害を出しても許される。
※他の誰かが責任を負わされる。
その特権と頭脳をフルに使い
岸和田博士は地球の危機を何度も救いつつ
助手のチャーリー安川を含む
一部の人間には
深刻な被害をもたらしていく。
たとえば
安川くんを地底に置き忘れてしまう。
たとえば
安川くんを改造したまま
元に戻し忘れてしまう。
たとえば
安川くんを冷凍睡眠させたまま
存在を忘れてしまう・・・
岸和田博士の科学的愛情のネタバレと結末(最終回)は?
助手の安川くんの不在に困った博士は
「だったら安川くんを作ればいい」
の精神で安川2号を製造。
思考も記憶も完全に本物同様な
安川2号のおかげで
何事もなく日常回が過ぎていきます
・・・が、
安川2号が不在で不便な時に
「だったら安川くんを戻せばいい」
の精神で本物の安川くんを救出。
放置されていた安川くんが
無事に研究所に生還しますが
今まで本物の安川くんだと
自己を認識していた安川2号にとって
これは精神崩壊レベルのショックです。
錯乱した安川2号は
マザーコンピューターを乗っ取り
都市を制圧、博士に反逆します!
この、まさに人類の危機に対し
博士はとても楽しそうな表情。
自分の生み出したものが
自分に反逆するほどの自我を持ち
そして自分を乗り越える――
科学に魂を売り渡した博士にとって
安川2号の反逆は
科学者の本懐なのかもしれません。
あと1歩のところで
博士に敗れた安川2号は
廃棄炉に処分されます。
・・・しかし
博士には及ばずとも安川2号は
優秀な頭脳を持つ安川くんのコピー。
闇の中で自己を改造し
復讐の時をじっと待っているのです――
岸和田博士の科学的愛情の読んでみた感想・評価
ぶっ飛びすぎてて言葉がない!
マンガ上で天才キャラは数多いれど
もっとも本物の天才に近いのは
この岸和田博士ではないでしょうか。
一般人の戸建ての地下に
勝手に秘密基地を建造し、
さすがに問題があると文句を言われても
前もって話したら
『秘密』基地じゃないと平然な顔。
重症で倒れた人間がいると
「倒れたなら起こせばいい」
と無理にひきずり起こす。
短絡的すぎて逆に凡人には不可能。
天才と馬鹿は紙一重って
こういうことか、と何だか納得。
ところで
宇宙人はいるかいないか
科学的に考えて正解は何でしょう?
ヒント。
テレビのUFO特番から
答を導いてください。
答。
「絵が下手な人のところに
宇宙人はやってくる」でした。
言われてみればなるほど!
特番に出てくる目撃者のスケッチは
絶対にみんな絵が下手すぎる!
まずはこの確かな条件を整えないと
宇宙人がいるかいないかは
議論できないのです。
この非凡かつ確実な発想に触れて、
このマンガはギャグを超えて
もはや哲学にも思えてきます。
こんな方におすすめな作品!必見
ギャグがあまりに激しすぎて
哲学の域にまで達しているという
稀有なマンガです。
喜劇が哲学的要素を帯びると言えば
フランスの古典文学でしょうか?
激しい下ネタも含みますが、
そういう意味では
文学好きの方にも合うと思います。
タイトルに科学と冠するように
量子論や相対性理論を
斜め上に解釈したギャグも豊富!
たとえば
観測者効果をトンデモに解釈したギャグ。
博士たちがリンゴを凝視していると
リンゴが喘ぎだして
変態的独白を放ちだすのですが、
難解な物理法則を
まさかの下ネタに落とし込むセンスは
他では絶対見られないものでしょう。
しかし何といっても
この作品の魅力は、
気色悪さを覚えるほどの
独特なデザインやキャラ造形!
都市での戦いが多いため
国防軍は『都市型迷彩』として
ボディコンの格好をしていたり
同じ理由で
巨大人型ロボが
ブリーフ一丁のスキンヘッド!
人間の想像力の限界を垣間見るような
圧倒的アイディアの数々だけでも
楽しめること受けあいです。