タイトル | Derby Queen |
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原作・漫画 | 芦原妃名子 |
出版社 | 小学館 |
かつて騎手だった父を事故で亡くし、
競馬とは縁のない生活を送っていた
大友緋芽が、
父の葬儀の際に衝突した、
荒川仁の活躍を見て、
一念発起し女性騎手を目指す、
競馬の厳しさや馬の怖さも
隠さずに描き切った、
少女漫画としては異色の意欲作です。
Derby Queenのあらすじ紹介
かつてダービーでの事故で
騎手の父親を亡くしてしまった
大友緋芽。
そのため以降、まったく競馬とは
関わりのない生活を送っていましたが、
自分の父親の葬儀でも衝突した、
荒川騎手の息子、荒川仁が、
見事にダービーに勝つところを目にし、
自分も競馬騎手を目指すことに。
小柄で運動神経の良い彼女は、
難関と言われる試験を突破し、
母親からも何とか認めて貰い、
競馬学校に入ることになりますが、
乗り越えなければならない問題は
まだ無数にあったのでした。
Derby Queenのネタバレと今後の展開は?
普通の女子高校生として
学校生活を送っている
大友緋芽ですが、
実は彼女にはお父さんを
不慮の事故で亡くしてしまった
過去を持っていました。
緋芽のお父さんは競馬の騎手で、
日本ダービーに出場できると
大いに意気込んで、
家族で緋芽を応援に連れて、
もう少しで勝てるという時に
インを割って入ろうとして失敗し、
強烈な事故を起こして
そのまま大友騎手は
亡くなってしまったのです。
緋芽は、葬儀の場で、
もう一方の当事者である
荒川一騎手をひどくなじり、
それ以来競馬とはまったく
縁のない生活を送っていました。
しかしある日の放課後、
声をかけられた男性が持つ
スポーツ新聞の記事から、
荒川騎手の息子である
荒川仁が騎手となり
ダービーに挑むことを知ります。
レース当日、緋芽は
競馬場まで足を運んでいました。
日本一を決めるレースらしく
熱戦が繰り広げられる
ダービーですが、
荒川仁はかつて自らの父たちが
事故を起こしたような
超インサイドからの差しを決め、
見事ダービーを制してしまいます。
しかしおさまらない思いを抱く緋芽は、
荒川仁に飲み物を引っかけ
あいつには負けたくないと、
プロの騎手になる決心をしますが、
そこに至るには様々な関門を
クリアしなければならなかったのです。
Derby Queenの読んでみた感想・評価
この題材が少女漫画になるのかと
感慨深くなってしまいましたね。
元々競馬と言うと、強烈に
シビアな勝負の世界であり、
勝者は栄冠を抱き、敗者は
比喩的ではなく死までもが迫る、
合法ギャンブルの中でも強烈な
要素が満載されるジャンルです。
だからこそ、なかなか
少女漫画的な風土には
馴染みづらいとも思ったのですが、
父親の事故死という重大事を背負い、
まだトラウマも払拭されていない
経験すらない状況で、
女性騎手を目指していく緋芽の姿は、
脆さがありながらもハンサムであり、
一方で少女漫画的な内向性もあり、
読み手を馴染みの薄い世界にも
グイグイと引っ張っていけるような
強力なパワーを感じました。
実際、乗り手からすると馬は
単に可愛い動物というだけでなく、
怖いイメージがついて回りますが、
とても臆病な馬に乗るには
そのイメージを払拭せねばならず、
非常に難しい部分なども、
本作ではボカさず描かれていて、
かえって競馬にに対する丁寧さを
感じることができました。
全体として展開は素早く、
難関であるはずの競馬学校への
入学までもスムーズですが、
逆に言うならその程度は
簡単に突破しないと
未経験者でプロの騎手として、
成功はおぼつかないという
厳しい現実もあるわけで、
、
語られていない部分にも
厳しさが含んである感じですね。
Derby Queenはこんな方におすすめな作品!必見
腕力があまり関係がない、軽量の方が
乗り手として有利というのが馬術の世界。
そのため男女問わず乗馬をする人は多く、
今ではカジュアルな趣味としても
有名になりつつありますが、
一方でプロの競馬は極めて厳しく、
一昔前までは女性騎手という
存在そのものが空想的でした。
何人もの優れた女性騎手が
その常識を打ち破ってきましたが、
やはり現在でも競馬界はほぼ完全な
「男社会」であり、女性が戦うには
かなり厳しい環境でもあります。
本作は、女性騎手への挑戦という
当時からすれば「ファンタジック」な
内容であるにも関わらず、
主人公の父親の死という
冒頭の惨事やそれに伴うトラウマ等々、
かなりシビアな展開を挟んでいて、
ご都合主義が嫌だという方にも
安心して読める内容と言えます。
一方で今まで馬に触りもしなかった
少女がエリートである競馬学校の
レッスンについていったりと、
才能と適性がうまく進路への道を
助けていってくれているので、
かなりいい感じのテンポで
物語が進んでくれてもおり、
停滞感がない展開は
むしろ少年誌を
思わせる潔さがありましたね。