タイトル | KACHIRI カチリ |
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原作・漫画 | 加藤唯史 |
出版社 | 日本文芸社 |
コンビニチェーンの社長として
日々仕事に励む福原 錠太郎には、
かつて裏の鍵師として
泥棒をしていたという過去がありました。
ある日錠太郎はかつての仲間から
声をかけられ、再び裏の
「仕事」をすることに……。
異色の犯罪モノ作品です。
KACHIRI カチリのあらすじ紹介
大手コンビニチェーンの若社長として
辣腕を振るう福原 錠太郎。
しかし彼は父親から勘当されていた頃、
凄腕の鍵師として泥棒をやっていたという
過去を持っていました。
しかし、呼び戻され社長となった今、
それは過去の話でした。
しかしそんなある日、錠太郎は
かつての仲間から現役復帰の
誘いをかけられます。
平穏な日々に物足りなさを感じていた
錠太郎は彼らとの「仕事」をスタートさせ、
日常では得られない快感や
緊張を満喫していくのでした。
KACHIRI カチリのネタバレと今後の展開は?
大手コンビニチェーン「パーソン」の
若社長として、攻めの経営を
繰り広げる福原 錠太郎。
しかし、彼はかつて凄腕の裏鍵師
ジョーとして、数多くの金庫を開き、
金を盗み去っていました。
平穏な日々にどこか物足りなさを
感じていたこともあり、かつての仲間、
「スッポンの哲」の誘いを受け、
錠太郎は現役復帰することに。
かつて鳴らした腕は相変わらず健在で、
難解な鍵と向き合い開錠した彼は、
強烈な性的快感を味わうことになりました。
これによっていよいよ「仕事」に
熱を入れだした彼は、夜になると
社長としてではなく泥棒として
腕を振るっていくようになります。
お金にはまったく困っていないながらも、
まったくペースを緩めることはありません。
ある時は女子校の金庫の中から
書類を盗み出し、またある時は
お金を抜く代わりに、標的にとって
不都合な証拠をその奥さんに送り、と、
大活躍を見せる錠太郎たちは、時に
鉢合わせになった同業者から
弟子入りを申し入れされるほどの
腕の冴えを見せていました。
KACHIRI カチリの読んでみた感想・評価
いわゆる泥棒もの、犯罪ものを痛快に
楽しむための要素が、すべて
詰まっているかのような作品です。
主人公の錠太郎は大企業の社長であるために
一切お金には困っていませんし、そもそも
鍵開けに快感を覚えるタイプです。
血生臭い抗争も、金を巡っての暗闘もなく、
作品の展開も読後感も良い意味で軽く、
サクサクとエピソードを読了していけます。
また、錠太郎のチャランポランさが
作品の特徴に拍車をかけている感じで
良かったですね。
「本業」は大手コンビにチェーンの
社長である彼ですが、まっとうな商売人が
泥棒なんてしていいのか、とか、
社会に還元しなくていいのか、とか
真面目なことは考えません。
鍵明けで興奮を得て、その後
懇意にしている女性と逢ってスッキリ、
的なサイクルで、公私ともに至って
ノンストレスなものですから、
読んでいてもまったく肩こりはしません。
キャラクター同様作品のテンポも
実に素早く、難しい課題をスイスイと
クリアしていきます。
簡単なようで難しい絶妙の
ペース配分で、読者に楽しさを
もたらしてくれているように思いました。
KACHIRI カチリはこんな方におすすめな作品!必見
いわゆる「犯罪もの」、アウトロー系の
作品は少なくありませんが、
鍵を開けるのが専門の鍵師を
主人公とした作品は珍しく、しかも
その正体が大企業の社長というのは
大胆な設定ですが、そうした設定に
引きずられて「出オチ」にならず、
しかも一般には難解な鍵開けの
世界をテーマにしながらも
理屈っぽくならないで、鍵という
ハードルを突破するカタルシスを
味わえるように気を配っている展開は、
明快な作品を求めている読者に
評価されることでしょう。
また、人のいないところに忍び込んで
「仕事」をしていく関係上、
鉢合わせになってヤバいことになる
リスクが少なく、また、錠太郎は
大企業の社長なので一切お金にも
困っていたいため、凄惨な展開や
ドロドロした状況にもならず、
娯楽作品としての軽さを保ってくれている
という安心感もあります。
良心との葛藤やら分け前での揉め事など、
ありがちなシリアス展開が嫌だ、
という方には特に向いている
一作ではないかと思われます。