タイトル | その女に恋するべからず |
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原作・漫画 | おおや和美 |
出版社 | 小学館 |
映画があれば大満足という
絶食系OLの麻琴は、
ひょんなことから新社長の卓巳と、
公私ともに一緒に過ごしていくことに。
ちょっと残念なイケメンたちが
独特の距離感からグイグイ攻めてくる、
妙なリアルさが面白い、
変則系の乙女系物語です。
その女に恋するべからずのあらすじ紹介
映画会社宝和グループの御曹司、
屋敷卓巳。
しかし海外で遊んでいただけあり、
顔はいいもののチャラ男な上、
母親には固くなりっぱなしという、
どこかダメさが漂う男ですが、
平凡なOL戸田麻琴は、
関わるうちに色々な変化を味わいます。
卓巳の母親、つまりグループ会長との
話の流れで普通のOLから秘書になったり、
母親が手を回したために、ホテルから
退去するハメになった卓巳が家に
転がり込んできたりと、
麻琴は常に振り回されていました。
その女に恋するべからずのネタバレと今後の展開は?
戸田麻琴26歳。
大の映画好きで、DVDがあれば
もう大満足という「絶食系」女子ですが、
つい最近、「宝和シネマ」から、
関連会社の「宝和アクターズ」に
転属させられていました。
しかも出社時に何やら失礼な
イケメンと美女と鉢合わせになるなど、
嫌なことも多いものの、
まあ満足と思っていました。
しかし新社長の屋敷卓巳こそ、
その失礼なチャラ男であり、
しかも彼は麻琴を見るなり、
胸が平たいなどと散々に
けなしまくってきました。
しかし卓巳の連れ合いの美女から
受け取ったスマホが突然なり、
しかもその相手は卓巳の母で会長。
反射的に電話を取った麻琴ですが、
午後七時からのパーティに卓巳を
まともな格好で参加させるべし、
もしできなければ会社での将来は
なくなるという、恐るべき
業務命令を受けるハメに。
麻琴は若社長が悠々と
高級ブティックでチョイスするのを
黙って見ている形でしたが、
同行するということはつまり
パーティに参加する形になるため、
もの凄いおめかしをすることに。
もっとも卓巳の方も、
体調が悪くなるほど母親に
苦手意識を持っていることが分かり、
麻琴は彼を乗せて会場に向かいます。
しかしそこで出会った強烈な母親と
卓巳の話の流れから、麻琴は
予想外の仕事に臨むことになります。
その女に恋するべからずの読んでみた感想・評価
有能社長とノーマル社員という
定番の組み合わせと思いきや、
想像以上に卓巳が全般的にヤバく、
先行き不安感が隠し切れないのが
リアルで面白かったですね。
本作の主人公麻琴さんは、
二十代後半にさしかかった
一般的なOLです。
しかも設定上普通なだけでなく、
可愛らしいけどいじりやすく、
胸が真っ平らなのも可愛らしくと、
他作品の秘書系キャラとは
かなり毛色が違う感じです。
そして、そのいじりがいがある彼女に
積極的に絡んでくる卓巳も、
血統ルックス申し分なしながらも、
俺様系社長の有能さとはまた違う、
会社を率いるにはアダになりそうな
各種のダメさが滲んでいるんですね。
社長としての「説得力」の関係上、
有能系キャラが多くなるところで
海外で遊んできたボンボンという、
経験の浅さからくるタイプの
「危険性」が実にリアルです。
結局麻琴は、実家からの圧力が
嫌になった卓巳と、受験のため
同居し始めたなっちと三人で、
暮らすことになるわけですが、
そこでも男性陣は、創作的でない、
微妙なギスギス感を展開。
多くの場合は男たちのカッコ良さや
熱さを前面に出していきますが、
絶妙にリアルな空気が楽しいんですね。
色々な男性に好かれる「ハーレム系」の
作品は多いですが、本作の面倒感は
極めて斬新で、だからこそかえって、
色々と厄介な卓巳たちが
魅力的に映りました。
その女に恋するべからずはこんな方におすすめな作品!必見
色々なタイプのイケメンや美女が
次々に登場するのが、多くの
恋愛ものの特徴と言えますが、
一方で「現実」に寄る形となると、
こちらに興味がなければかなり
面倒なものになるものです。
本作の麻琴さんもまた
DVDがあれば幸せな「絶食系」ですが、
男性陣がグイグイ来るんですね。
しかも「弟」的ななっちはともかく
今までずっとブラついていた若社長も、
クールな割にワガママ放題で、しかも
言葉が選べないタイプと、割と
面倒臭さ全開で「王子感」が少なめです。
フィクション的なキラキラ感だけでなく
恋愛感情の面倒臭さもじっくりと
堪能したい方には最適な一作です。
また、麻琴さんも冷静なようでいて、
いじられて光るタイプですので、
二十代後半であるにも関わらず、
無口系の学生キャラが翻弄されるような
ワタワタした感じを楽しめます。
特に作品上の秘書となると、
ルックスはもちろんスタイルも抜群な
「イイ感じ」の女性が多いですが、
そうした人とはちょっと毛色が違う、
でもそのズレが可愛い女性の挙動を
楽しみたい方にも最適ですね。
さらに、帝王学を施されていない風な
卓巳の面倒臭さがかなりリアルで、
他のおぼっちゃまキャラとは違う、
厄介なボンボン感が滲んでいるのも
なかなか見逃せないところです。