タイトル | はいからさんが通る |
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原作・漫画 | 大和和紀 |
出版社 | 講談社 |
お裁縫より剣術が好きで、
学校には自転車で駆けていく
「はいからさん」花村 紅緒。
急な婚約騒ぎに驚きますが、
紅緒はいつも皆を惹きつけます。
勝気系ヒロインが登場する
草分けにして今なお大人気の
大傑作ラブコメディです。
はいからさんが通るのあらすじ紹介
伝統ある花村家の娘ながらも、
女子らしい遊びには興味がなく、
剣術の腕前は一流という紅緒。
元気で活発な彼女は、
自転車で女学校に通う途中
毛虫に驚いて転んでしまい、
それを見ていた美形の軍人が
紅緒のことを笑ったために、
腹を立てた紅緒は彼を
思い切り張り飛ばしてしまいます。
授業では宿題を忘れて立たされ、
すりむき傷も痛む、と、
ついてない紅緒は
蘭丸と一緒にたこあげをしますが、
そこでもバランスを崩して落下。
危ないところを助けてくれたのは、
その日の朝会った軍人でした。
しかも彼は花村家に招かれていて、
紅緒にとって大事な客でした。
はいからさんが通るのネタバレと今後の展開は?
いきなり婚約者を紹介された紅緒。
あまりにも急な事態に当然猛反発、
鼻息荒く親友の環に不満を述べます。
しかしその環と婚約者伊集院は、
兄妹のような幼馴染の関係で、
環は伊集院を慕っていました。
そんな中紅緒は、幼馴染の蘭丸から
かねてからの思いを告げられ、
いっそのこと駆け落ちしようと
危ない提案を持ちかけられます。
弟のような蘭丸の決心を断れず、
流されるように品川まで家出した
紅緒は、そこで車引きを
返り討ちにし、さらに飲酒するという
ハチャメチャな一夜を過ごしましたが、
そこ軍人仲間と飲みにきていた
伊集院と鉢合わせになり、
そこでかばわれる形で帰ることに。
彼の見た目とは違う意外な逞しさに、
驚きと若干のときめきを感じる
紅緒でしたが、まだ好きにはなれず、
倒した車引きにはなつかれ、
何だかんだで付き合い続け、
環には伊集院との婚約のことが
鉢合わせが原因でバレてと、
なかなかに波乱万丈な展開が、
相次いで起こることになるのでした。
はいからさんが通るの読んでみた感想・評価
とても有名でアニメも観ましたが、
改めて読み直してみると、
良い意味で発見が多かったですね。
紅緒がキャリアウーマンとして
どんどん頭角を現す中で、
ちょっとした行き違いで
反政府主義者と誤解をされ、
投獄されてしまうという
コメディ寄りの少女漫画には
珍しいほどの大事件が起きますが、
それでも一切変わらなかった
紅緒が実に頼もしかったですね。
ただ主人公が元気で笑える、
あるいは色々あっても楽しい、
だけでなく芯が強いのが最高です。
今時の女の子ヒロインの走り、
といった感じの紅緒ですが、
後の作品にもこの域に迫った
ヒロインは決して多くありません。
お相手役の少尉だけでなく、
幼馴染の蘭丸など親友も多く、
恋愛で視野が狭くならない
紅緒の気さくな性格は、
今読み返しても素敵でした。
嫌な人が少なく相手を下げて
主人公を上げる展開が
多くないことも高評価です。
今では古典に近い扱いですが、
古さはまったく感じません。
むしろ今だからこそ、
紅緒の明快さは必要なのかも。
はいからさんが通るはこんな方におすすめな作品!必見
今でこそ男勝りな女の子が主人公という
作品はカテゴリーを問わず多くありますが、
かつては夢見がちで「女らしい」女の子が
少女を主人公にする際の定番でした。
「リボンの騎士」等々の名作でも、
主人公の女性は男装していたりと、
女の子のままで勝気というのが難しい、
そんな時代だったとも言えます。
しかし本作においては、紅緒は、
あくまで完全な女の子であり、
かつ男衆と渡り合えるほどの
体力と気力があります。
しかも「はいからさん」は、
婚約者と別れ、仕事をし、
さらには投獄までされてしまいますが、
持ち前の元気は一切そのままで、
良い意味での型破りを続けています。
この辺りは、親や組織に守られた、
言わば「子供の世界」で元気に
頑張っている多くの主人公とは
明らかに次元の違う芯の強さがあり
難しい分爽やかな生き方です。
発表されて数十年経っても、
まったく変わらない人気を誇るのは
この難しさを貫いた故でしょうか。
元気な女子主人公が活躍する
だけでなく、より強く確かな
女性像が描かれた作品です。