タイトル | ぼっちアルバム |
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原作・漫画 | ひらいたけし |
出版社 | 講談社 |
声優として活躍する川久保 要は、
仕事上の方針で「ぼっちキャラ」を
打ち出していました。
しかし彼のクラスには強烈なほどの意思で
ぼっちを貫き続ける前園 新奈という
少女がいて……。
主要な登場人物が皆「ぼっち」という
異色のコメディ作品です。
ぼっちアルバムのあらすじ紹介
新人声優の川久保 要は個性を
出すべく「ぼっちキャラ」を前面に
押し出していました。
そこでさらにきっちりと「仕上げる」べく、
孤高が過ぎて「エーデルワイス」と
あだ名されている同級生、前園 新奈に
「取材」を試みることに。
新奈は通常想定される「ぼっち」の枠から
強烈にかけ離れたキャラだっただけに
「取材」は失敗に終わりますが、彼女の
行ったことを活用してラジオで
トークしてみたところ、想定外の
大評判になります。
そうこうしているうちに、学校を休んでいた
川久保は、新奈とともに
卒業アルバム委員に
任命されます。
断るわけにもいかずに会合に
向かってみると、そこには、新奈にも
引けを取らないほどの個性を持った
「ぼっち」たちが集っていたのでした。
ぼっちアルバムのネタバレと今後の展開は?
平凡な高校生として学園生活を送る
川久保 要。
クラスでは完全なぼっちキャラですが、
実は新進の声優としてアニメにラジオにと
多忙な日々を送っています。
「ぼっちキャラ」を前面に押し出すことで
ファンを取り込もうという大人の
事情もあり演出しているわけですが、
よりキャラに磨きをかけるべく
同級生の究極の「ぼっち」
前園 新奈を「取材」することに。
しかし、川久保のことはすでに
不自然なほどに新奈に知られていた上、
超ポジティブかつマイペースな彼女の
スタイルは取材の対象には
成りえませんでした。
失敗かとも思われましたが、ラジオで
川久保が新奈に言われたことを
喋ってみたところ、とてつもない
好評になりました。
川久保は新奈に「ぼっちの神か」
とまでの衝撃を受けるのですが、
ひょんなことから卒業アルバム
制作委員として一緒に
「仕事」を始めることになるのでした。
食事一つ取っても独特過ぎる
こだわりを持つ新奈ですが、彼女の話は
不思議に説得力があり、川久保の仕事も
彼女に刺激を受ける形で好調を
維持していくのでした。
ぼっちアルバムの読んでみた感想・評価
周囲には「隠れ」た属性を持った少年と、
黒髪ロングという清楚な見た目で
ありながらボーイッシュでハンサムな
物言いと、堂々と「ぼっち」を楽しむ
潔さがある少女を軸にしている、
良い意味で現代的な雰囲気のある
作品でしたね。
今ではすっかりお馴染みになった
「ぼっち」キャラを主役どころか
メイン全員に設定し、その上で学校の
「仕事」という細い線上で絡ませて
いくという新しさは、今までありそうで
なかったものではないかと思います。
私的にイチオシのキャラは、やはり
「エーデルワイス」とまで呼ばれている
前園 新奈さんですね。
彼女が脆弱な連帯を拒み、あらゆる
局面で孤高を貫いて状況を楽しんだり、
時には色々と難解なたとえを持ち出して
ビシっと説教したりとまさに大車輪の
活躍を見せるだけでなく、他者に一切
コンプレックスを持っているわけでも
ないのですから、まさしくなるべくして
なった孤高といった感じですね。
作品全体として、そのテーマにも
関わらず暗さがなく、無理して人と
つるむことでの解決を一切提示していない
芯の太さが個人的には
とても良かったですね。
ぼっちアルバムはこんな方におすすめな作品!必見
近年、ゲームやアニメ、ネットなどの
ジャンルが隆盛を極め、他の人と
接することが少なくても「リア充」ライフを
満喫できるようになりましたが、
その一方で友達とうまくやれない、
コミュニケーションが取れないという
状態に陥るリスクも増えているように
思えます。
フィクションの世界でも「ぼっち」系の
キャラが目立ってきたのもそうしたところが
原因なところがあるかも知れません。
さて、創作世界の「ぼっち」キャラは、
多くの場合その状態から
脱しようとするものです。
人間的な成長と絡めて物語の
主題に据えることすらありますし、
実際問題として、人と組まないと
話が進行しづらいという現実もあります。
しかし、本作に登場するのは、
結局のところ「ぼっち」にあまり
困っていない面々です。
主人公の少年は、芸能人であることを
ひた隠しにするために能動的に
選んでいるわけですし、
「エーデルワイス」と呼ばれるほどに
孤高を貫きながらも自らの意思で
人と接することを避け、距離を作り
マイペースな毎日を楽しんでいる
少女や、面倒事を避けるために
不良キャラを演じ続ける少女など、
色々なタイプの「ぼっち」が登場し、
しかも満足していながら
卒業アルバム委員として一緒に
仕事をしているあたりが斬新です。
彼ら彼女らは、他作品の「ぼっち」キャラに
ありがちなパターンである
「社会に絶望している」、
「他者を嫌い抜いている」といった
条件にはハマリ込んでいないため、
悲壮感がまったくありません。
その辺りのドライな感じも、いかにも
現代的な雰囲気があるとも言えます。
本作は単一テーマの四コマ作品という、
言わば小品的な立ち位置ですが、
現代社会とシンクロしたり、今後の
キャラ造形に一石を投じるような
要素を持っているようにも感じました。