タイトル | キミと楽園ROOM |
---|---|
原作・漫画 | 織田綺 |
出版社 | 小学館 |
会社での不倫の恋に疲れたように、
1LDKのマンションの一室を購入した、
設計士染井沙耶。
しかしそのマンションは、
天才設計士九条葵の、熱い思いが
たっぷりと詰まった空間であり……。
恋愛系にせよ仕事系にせよ、
ビジネス物では軽視されがちな、
居住スペースに重点を置いた、
ワイワイ騒がしくも心に染みる、
不器用な恋愛も楽しめる、
新感覚会社物語です。
キミと楽園ROOMのあらすじ紹介
不倫の恋に破れ、1LDKの
マンションの一室を買った、
若手設計士染井沙耶。
しかしそこの共有スペースには、
馴れ馴れしいイケメンである
九条葵がいたのですが、
実はその九条こそ、
まだ若年ながら、
もの凄い腕利きの設計士でした。
しかし九条は高圧的というより
むしろどこか子供っぽい性格で、
一人になりたい沙耶にも、
閉じこもるなと激を飛ばします。
その強引さに驚く沙耶ですが、
その共有スペースとマンションに
かけた葵の情熱は本物で、
またマンションの同居人たちも
個性的で気の良い人たちで、
徐々に沙耶も交流を深めていくのでした。
キミと楽園ROOMのネタバレと今後の展開は?
設計士として働く染井沙耶は、
ある事情から1LDKの
マンションの部屋を購入。
ところがその建物の
共有スペースには
やたら馴れ馴れしいイケメンが。
すっかりペースを崩されて、
気分台無しになった沙耶ですが、
不倫の恋はうまくいかず、
同僚からは陰口を叩かれ、
職場でも上手くはいきません。
そんな中、先日会ったイケメンと、
社内で顔を合わせた沙耶は、
彼が腕利きの設計士なことを知ります。
しかしその彼九条葵は、
実力は最高なものの毒舌家で、
周囲からも煙たがられていましたが、
会社から戻った沙耶は、
その葵と大喧嘩して、頬を
張り飛ばしてしまいます。
ですが葵は再び社内で顔を合わすと、
元不倫相手と話をする沙耶に、
「パーよりグー」との、
謎めいたアドバイスを送ります。
何のことか分からない沙耶ですが、
男のあまりの不誠実な態度に、
すぐに「理解」するのでした。
そうして傷ついてしまった沙耶ですが、
事情を知る葵の態度は優しく、
さらに戻ってきたマンションには、
騒がしくも楽しい面々が
顔を出してきたのでした。
キミと楽園ROOMの読んでみた感想・評価
パワー系の天才と一緒にいる中で
シビアな仕事になるかと思いきや、
意外とアットホームな展開があり、
心がほっこりする作品でした。
本作の軸となっているのが、
何と言っても「居心地」ですね。
多くのオフィス系の作品では、
会社という存在は単なる舞台か、
あるいは全てを懸ける場所で、
自室というのは帰って寝るか、
彼氏や彼女と「熱い夜」を
過ごす場所という感じでした。
もちろんそのマンション等々の
設備など注目はされず、
単なる箱的雰囲気もありました。
しかし本作では冒頭から、
皆で打ち解けたり、
状況を前に進めたりするのは、
葵一押しの公共スペースで、
そこでは色恋さえ時に脇に置いた、
精力的なやり取りがあります。
メイン役の葵にしても
確かに俺様系ではあるものの、
その振る舞い方は、
強い権力者と言うよりも、
いわゆるガキ大将的で、
愛嬌があったのも良かったです。
確かに恋の話が中心ですが、
恋に至るにはまた続けるには、
人として信頼できる必要がある、
そんな原則を守ったような
やり取りや関係が微笑ましく、
ついつい読み耽ってしまいました。
キミと楽園ROOMはこんな方におすすめな作品!必見
近年、女性に対しても強く出る感じの、
オラオラ系主人公が非常に隆盛を極め、
中にはやり過ぎじゃないのかというほど、
押しが強い人たちも見られます。
しかし鬼軍曹や鬼上司を
相手にしているわけではない以上、
やはり思いやりというか真摯な心が、
容易に見える方が、キツい態度にも
対応しやすくなるというものです。
その点本作の九条葵は、
一見毒舌かつ有能といった感じで、
俺様系キャラの典型のようですが、
その実は祖父がやっていたような
アットホームな居場所を
求めている淋しがりな一面があります。
だからこそ、正論を突きつけられて
ぐうの音も出なくなるだけでなく、
母性本能をくすぐられる部分もあり、
より自然な形で強い系のキャラに
萌えてみたい方には、非常に
オススメできる作品と言えます。
また、そんなマンションに集う
個性豊かな面々は、皆かなり
風変わりではあるものの親身で、
一昔前の漫画や現実で見られた
「下宿」や「長屋」の良さが
全面に滲んでいるのもポイントです。
強い系のキャラとの恋愛となると、
振り回されないように必死なため、
恋愛相手以外目に入らない感じに、
どうしてもなりがちですが、
本作は健康的な人付き合いの点でも
十分に楽しむことができます。
成果やノルマに追われ、しかも
つまらない噂すらあるのが
作中の職場だけに、
「葵の空間」の良さが
じわじわと身に染みるのが良いですね。