タイトル | キングダム |
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原作・漫画 | 原泰久 |
出版社 | 集英社 |
戦国時代の中国が舞台。
大将軍を目指す奴隷・信と
若き秦王・政が中華統一を
果たすまでを描く歴史スペクタクル。
史実の未詳部分を作者の
大胆な仮説で再構築し、
ドラマティックに描き出す。
秦の始皇帝による中華統一。
歴史上、誰もが知っている
一大事業がドラマティックに描かれる。
キングダムあらすじ紹介
紀元前、後に戦国時代と
呼ばれる頃の中国。
秦・楚・燕・斉・趙・魏・韓の
6カ国が互いに覇を唱え、
戦乱が絶えなかった時代。
多くの兵を従える若い男が
「李信将軍」と呼ばれる場面から
物語はスタートする。
戦災孤児の信は身寄りもなく
片田舎の村で奴隷として蔑まれ、
衣食住も粗末な厳しい生活を送っていた。
同じ震災孤児から奴隷となった
親友・漂に感化されます。
『武功を立てて大将軍に出世する』
という夢を共に抱き、武芸を磨き合う。
やがて子ども離れした激しい鍛錬が
王の側近でもある昌文君の目に留まり、
漂だけが仕官のために引き取られる。
抜け駆けする形に戸惑う漂を、
信は後で必ず追いつくと
約束して笑顔で送り出すが・・・
漂を笑顔で送り出し、
その後も1人鍛錬の日々を過ごす信。
そこへ全身に傷を負い
血だらけになった漂が戻る。
漂はとある人物を
守るよう遺言を残し、息絶える。
果たして漂の指示した場所へと向かうと、
そこにいた者は
漂と瓜二つの顔立ちの少年。
この少年こそ若き秦王・政であった。
漂が影武者であったことを悟り激昂する信。
だが漂の遺言もあり道中で仲間になった
河了貂という、鳥の模した蓑を被った
不思議な子どもと合流。
その3人で追っ手を振り切り、
昌文君との合流地点を目指すことになる。
漂を囮にしたことで激しく政を憎む信。
だが強敵との戦いでは政の助言で
窮地を救われるなどするうちに、
次第に信は違った目を政に向けるようになる。
始皇帝の中華統一。
歴史に残る一大事業は、
3人の少年たちの冒険からスタートした。
キングダムネタバレ・今後の展開
史実を基にした作品ですので
当然ながら結末はわかっています。
政は中華統一を果たします。
信は冒頭でチラッと出てくる
実在の武将・李信でしょう。
姓を貰える身分になり大将軍?
かどうかはわかりませんが、
将軍の1人として名を連ねるまでは確定。
しかしながら史実での李信は
大軍を率いながら敗北します。
しかも他の将軍が少数で出動したら勝てた、
という言い訳の余地もない
特大ミスをやらかしています。
それが作中ではどのように描かれるか、
が一番気になるポイントでしょう。
さて、昌文君と合流した信と政。
政の兄弟によるクーデターと
明らかになり王族ならではの
陰惨さや過酷さが浮き彫りになります。
さらに王弟の背後にはもっと巨大な、
王族よりさらに強い権力を握る
宰相・呂不韋(りょふい)の
存在がほのめかされます。
呂不韋とは元は商人でありながら
王族の後継者争いに大きく貢献して
一気に出世を成し遂げた人物。
政と王弟とを争わせて混乱を作り、
下克上しても問題ない状況を作り出すのが
呂不韋の企みと昌文君たちは推測します。
つまりただ王弟に勝てば良い
というものではないのです。
王としての資格を見せつける形で
圧倒的に勝利。
混乱した国を立て直さなければ
ならないわけです。
しかしながら現状は
昌文君の部下たちしか手勢がないわけで。
政は「山の民」を
味方につけることを宣言します。
中華の外で生活する異民族たちで、
過酷な環境で生き抜く
彼らの実力はまさに一騎当千。
しかしながら秦と山の民は
長らく不和の状態が続いており、
味方に付けることは難しい。
逆に殺される可能性も高いのです。
昌文君は反対しますが、
それしか道はないと
政は山の王へ会うことを決めます。
政の王としての資質が
いきなり試されるわけです。
キングダム読んでみた感想・評価
情報が少なすぎて興味を
まったく持てなかった
中国の戦国時代。
それを鮮やかに
描き出してくれています。
資料がなさすぎて
一見無理にしか思えない試みでした。
しかし情報がないということは
それだけ想像の翼を広げる余地が多い
ということでもあるのですね。
氏素性どころか性別すら不明な人物を
女性キャラとして物語に
華やかさを加えます。
けっして堅苦しくなく
読んでいて楽しい構成になっています。
成長した河了貂を筆頭に可愛い、
または美人なキャラが多くて
目の保養になります。
信と政の友情は王と臣下という形も含んでおり
独特なものです。
同時にそれぞれの役割分担が
明確なことで互いが
必要な関係にもなっています。
当時の王であれば当然後継者を
作ることも責務なわけです。
それを信が、死闘を繰り広げている最中に
あいつはやることやってやがった
と騒ぐシーンは爆笑しました。
事象を羅列して、権勢欲とかおごりだとか
ありがちな説明を並べて
納得してしまいがちな歴史物。
しかしそれぞれの人物に血を通わせ背景を立てて
ドラマに仕立てていることに深く感動します。
どうしてこんな面白い時代を
スルーしていたのかと
今では思えるほどです。
史実ではただ「王が命令した。
行った。
負けた」
しか書かれてないような部分も
実際には激しいドラマがあったのですよね。
一方で、作中通してのラスボスとなりそうな
趙の将軍・李牧のキャラが深いです。
趙王が史実上でもダメ王な分、
李牧は王の器さえ備えた最強の将として
信たちの前に立ちはだかります。
この李牧との闘いがどうなるかが、
今後の一番の見所になるでしょう。
三国志や水滸伝が好きな方に是非読んでほしい漫画
歴史に興味のある方、
特に三国志や水滸伝が好きな方。
うっかり世界史を選択してしまったけど
内容のイメージが湧かなくて
困っている高校生の方。
いろんな気苦労が重なっていて
元気が欲しい方。
熱い主人公が好き!な方。