タイトル | コネクト |
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原作・漫画 | 鈴木マナツ |
出版社 | 集英社 |
音楽一家に生まれ育ち、オタク趣味を持つ、
少年、和奏が、ネットへの投稿をきっかけに
様々なプロと向き合うことに。
極めて現代的な感覚やジャンル選択と
時代を経ても変わらない音楽への
ピュアな情熱が融合した、
新感覚の音楽傑作漫画です。
コネクトのあらすじ紹介
父も母も兄もプロの音楽家という
完全な音楽一家に育った和奏。
楽器を弾き作曲ができる能力を持ち、
プロのCDに収録されるという
実績を持ちながらも、
イマイチ自信が持てないでいました。
しかし、クラスでオタクバレしかけた時に
一緒に音楽を聞いた藤子さんの
漫画を読んだ和奏は、
インスピレーションのままに曲を作り、
その曲をネットにアップしたことで、
有力な歌い手が歌詞と歌を付けてくれたり、
藤子さんの作品が映像化する歳の
主題歌を作る約束をしたりと、
彼を取り巻く状況は急変していきます。
コネクトのネタバレと今後の展開は?
父親は幅広いジャンルをこなす作曲家、
母親はピアニスト、兄も新進気鋭の
音楽関係者という、
根っからの音楽一家に生まれ育った
和奏は、家族が凄すぎるために
劣等感を味わうこともありますが、
作曲自体は大好きで、特に
アニメやゲームに出てくるような
音楽を手がけたいと思っていました。
ある日、学校で音漏れして、
「オタク系」の音楽が好きだと
周りにバレてしまいますが、
その時、クラスメイトの
藤尾 藤子さんがやってきて、
ぴったりとくっつく形で、
二人して音楽を聴くことに。
しかも藤子さんは
普通の女の子ではなく、
プロの漫画家だということを知り、
その作品を読んでみた和奏は、
感動を味わったことにより
すぐさま曲を完成させてしまいます。
しかし予想外の友人のおせっかいで、
その曲はネットにアップされることに。
しばらくはほとんど反応がなく、
藤子さんと好きな曲を語ったりと
平穏で温かい時間を過ごしますが、
kanonさんという歌い手が、
曲に歌詞をつけて歌ってくれたために、
アップした曲の人気は爆発。
しかし和奏には、自分の実力とは
違うものだという葛藤がありましたが、
藤子さんと話していく中で、
和奏は自分の素性と、
曲ができるまでの過程を告白し、
藤子さんの作品が映像化された際、
和奏がその主題歌を作る約束を
交わすことになるのでした。
コネクトの読んでみた感想・評価
本格的に音楽に触れたことが少なくても、
共感できる部分が多い、斬新で
面白い作品でしたね。
こういった才能やセンス勝負の題材で、
主人公が周りに劣等感を抱くことは
少なくありませんが、
そこで無理に張り合うのではなく、
あくまで自分の好きな音楽に
一生懸命に向き合うという、
言わばお客さんの方に軸足を置く
和奏の姿勢には好感が持てました。
また、同じ道を行く間柄だと
得てしてライバル的に
ギスギスしがちなのですが、
本作の場合はそういった部分が少なく、
あくまで自分が楽しみたいという
衝動に従っています。
こうした良い意味でのアマチュア感が、
作品全体に良い意味での緩さを生み、
若いから許される挑戦ができる土壌を
作り出してもいました。
一方で、実力あるプロへの敬意もあり、
報酬を貰っているとは言え
まだアマチュアな和奏と、
新人ではあるものの既にプロとして
成功の道をひた走っている藤子の
ステージの違いなども描いていますが、
あくまで音楽は楽しいものとして
徹底しているところが素晴らしいです。
プロ的とアマ的な価値観という、
とかく対立しがちな要素を融合させ、
作品をより高みに持っていく、
本作の調和力の高さには
読んでいてほっとする楽しさを
味わうことができました。
コネクトはこんな方におすすめな作品!必見
音楽や歌の流行は時代により変わりますが、
最近もっとも熱いジャンルの一つに、
アニソンを挙げることができます。
昔のように、内容に直結したような
作品は少なくなっていきましたが、
にも関わらず物語を盛り上げ、
キャラクターを掘り下げてくれる、
そんな曲が多くなった気がします。
音楽をテーマにした作品は数あれど、
なかなかアニソンが主題にならない中、
本作は待望と言えるかも知れません。
今や一つのジャンルとして確立された
ネット音楽ですが、やはりプロの世界と
色々違いがあることも事実で、
しかし自己満足の領域でもない中、
やりたいという意欲と、
どうなるか分からない不安が交錯する。
お金が一切絡むわけでもない段階で、
視聴者の数が意識できる、意識してしまう、
非常に現代的と言っていい感覚と、
才能と実績に溢れた家族に囲まれ、
自分の評価を低くしてしまうという、
はるか昔から存在する葛藤を、
巧みに作品の中で融合させている点も、
青春ものとして非常に優れています。
他のジャンルから受けた感動を
音楽にフィードバックして
まったく新たな作品を作る部分も、
他の音楽作品ではあまりない構図ながら、
感情が伝わってくる描写でした。
ゲームやアニメ等から感動を得ていく
現代風の創作現場を追体験できる、
新感覚が楽しい作品でもありますね。