タイトル | ハチワンダイバー |
---|---|
原作・漫画 | 柴田ヨクサル |
出版社 | 集英社 |
華々しいプロとは違う、
もう1つの将棋の世界――『真剣』。
金銭を賭けた将棋。
『切れ負け』という
真剣ならではのルールの下、
プロとはまた違う将棋の世界が展開する。
プロ棋士を目指しながら果たせなかった
元奨励会員・菅田健太郎が
真剣師として挫折を取り戻すストーリー。
ハチワンダイバーあらすじ紹介
プロ棋士を目指しながら不合格が続き、
とうとう年齢制限を越えてしまった。
菅田健太郎は仕事をする気力もなく、
街で素人相手の賭け将棋をしては
小銭を稼ぐという無気力な日々を送る。
しかし『アキバの受け師』と
名乗る美少女に完敗。
彼女の棋風はまさに
『受け師』を名乗るのにふさわしい、
圧倒的な防御の将棋。
菅田は攻めの手を完全に
潰されてしまい投了する。
「背骨が折れる」錯覚をするほどに
プライドを打ち砕かれる菅田。
今度こそ万全の状態で挑むため
生活の立て直しを図る。
まずは部屋の掃除と散らかった
本や雑誌の片付けに取り組む。
しかし将棋ばかりで肉体労働に
慣れておらず、
すぐに体力が尽きてしまう。
派遣の清掃サービスを頼ることにしたが、
やって来たのはなぜかメイド。
しかもそのメイド姿の美少女こそ、
菅田が敗北した『アキバの受け師』だった。
「ボクと将棋しましたよね?」
と問い詰める菅田に対し、
美少女は一貫してシラを切るばかり。
重ねて迫るも
「この時間はメイドでいさせて」
と泣き顔をされて、
あっさりと菅田は黙ってしまう。
しかしながら納得できるはずもない。
あくまでメイドのサービスとして
将棋で勝負してくれとお願いする。
さらに菅田は賭け将棋で稼いだ全財産を
「本気でやってほしいから」
「勝ったらこの全財産を持っていっていい」
とまで宣言。
また敗北するも
「ご主人様も強かったですよ」
と笑顔で言われて、
だらしなく喜んでしまう。
しかし気がつけば全財産を失っており
絶望すると共に今度こそと
『アキバの受け師』への闘志を
新たにするのだった。
ハチワンダイバーネタバレ・今後の展開
再び『アキバの受け師』への再戦を
挑もうとする菅田。
全財産を失っているため賭けに
必要な金額が用意できずにいたところで
大金を賭けた将棋を持ちかけられます。
『アキバの受け師』も必要な額を
菅田の力量を信じて用意します。
持ち時間1分という極端な勝負ながら
見事に勝利した菅田。
自分の取り分を全て賭けて、
また清掃サービスで呼んだ
『アキバの受け師』に勝負を挑みます・・・
しかし、力およばず敗北。
落ち込む菅田に『アキバの受け師』は
「3人の棋士たちと勝負してほしい」と。
勝利するためこれまでの
プロを目指す将棋を捨て去る。
わざと負けたりまぐれ勝ちに
見せかけるなど真剣師の棋風を
泣きながら体得した菅田。
当然のように提案を受けます。
その3人とは、
かつて神とまで呼ばれた真剣師・・・
今はホームレス生活の老人、
対局中に駒としゃべりだす電波系のマンガ家、
そして病的なまでの人形マニア。
一度は敗北しながらも
過酷な修行を乗り越え
レベルアップした菅田。
やがて、奨励会員の時に師匠から言われた
「将棋盤に潜れ」との言葉を
実感できる境地に達します。
将棋盤81マスに潜る・・・
すなわち『ハチワンダイバー』。
これこそ菅田の真剣師
としての名前となるのです。
『アキバの受け師』が3人の棋士と
菅田を戦わせた理由・・・
それは『鬼将会』という真剣師集団を
潰すための駒として菅田を
育成することでした。
命さえ賭ける異常な将棋に
一瞬は尻ごみするような表情をするものの、
菅田は戦うことを即答します。
「だって好きなんだもん!」
恋心のためだけに菅田は
理不尽で危険な道を歩んでいくのです。
ハチワンダイバー読んでみた感想・評価
好きな女の子に頼まれたから、
というだけで命を賭ける菅田が、
この世界の全てを物語っています。
くだらないことに人生や
命を賭けるキャラたちが
共感してしまうのが
この作品の最大の魅力でしょう。
菅田だけではありません。
後に真剣師としての師匠となる
神野神太郎などは菅田との勝負で勝てば
「そよちゃん」=『アキバの受け師』の
オッパイをもむと宣言。
それに対する菅田も「ぼくもオッパイで」。
呆れる『アキバの受け師』ですが
次のページでは2人とも鬼気迫る本気の顔。
序盤で最も爆笑するシーンであると同時に、
読んでいて彼らの熱が伝わってくる
名場面でもあります。
他のキャラも負けていません。
菅田の師匠でもあるプロ棋士・鈴木八段も
説教を始めます。
ライバルとの再戦で
「なぜ私のシュークリームとった」と
怒り心頭の表情。
対局終盤では着物の袖からシュークリームを
次々と取り出し目の前で食べるのを見せつける。
また菅田がシュークリームを
ぺちゃんこにした時は今までないほど
本気で説教を始めます。
これらはギャグであると同時に
この作品全体の理念とも言えます。
『鬼将会』との対決で菅田は
『負けたら指を切り落とされる、
しかし勝っても何もない』
という勝負を受けてしまいますが、
損得勘定などここでは
まったく無意味なのです。
自分の指はもちろん、
対戦相手も負ければ
命を失うと聞いて固まる菅田。
「ボクには将棋しかないだろう!
将棋で引いて何様だ!」
と無心で挑む様は計算を超えた
生き様が出ているのです。
そしてまた『鬼将会』の面々も
バカと紙一重な突き抜けた人々で・・・
キャラたちの
人間模様だけでも楽しめます。
作風は違いますが
今話題の『3月のライオン』がおすすめです。
映画やアニメになっていて人気の作品です。
将棋好きにも、そうでない方でも楽しめる漫画です
将棋好きな方はもちろん、
将棋を知らない方でも
楽しめる内容になっています!
特にオススメなのが、
将棋を多少は知っているけど
あまり魅力を感じず止めてしまった方!
切れ負けというルールならではの
戦術・戦法は将棋の
新たな魅力を見せてくれます!