タイトル | バカビリーバー |
---|---|
原作・漫画 | 市川マサ |
出版社 | 講談社 |
大物になると思って、芸人を目指し
相方と頑張る袴田。
しかし自転車泥棒をきっかけに
格闘家と喧嘩になってしまい……、
多くの作品とは違うレベルの
本格派の「バカ」が
読み手に笑いと熱さをもたらす、
ハードインパクトな格闘漫画です。
バカビリーバーのあらすじ紹介
かつて「大物になる」という
皮肉を言われたのを真に受け
お笑い芸人を目指す袴田。
しかしお笑いのセンスは皆無で、
うっかりプロデューサーを
締め落としてしまうほどの
メチャクチャな性格でもありました。
そんなある日袴田は、
いかつい男たちから呼び止められ
自転車泥棒と言われてしまいます。
実際袴田は疑いようもないほど
完璧に盗みを働いていたのですが、
まるで悪びれることがなかったため、
喧嘩に発展してしまいます。
いかつい男たちは格闘家だったのですが、
ただならぬ身体能力を持つ袴田は、
玄人たちを驚かせていくのでした。
バカビリーバーのネタバレと今後の展開は?
犬の散歩をしていたという理由で
学校を大遅刻してしまい、
教師に「大物になる」と言われた
袴田もついちは、その言葉を胸に
お笑い芸人を目指していました。
しかし異様なほどの体力を誇る割に
お笑いのセンスはゼロ。
しかも強烈な「バカ」であり、
内輪の発表で着ぐるみを着用し、
審査員に生卵をぶつけ、
「0点」としたプロデューサーを
首を絞めて落としてしまうほどの
暴れっぷりを見せてしまいます。
これには相方のさとしも激怒、
しかし袴田はそんな状況でも
自伝を書き続けるという自由ぶりで、
さとしから「解散だ」と
言われてしまいますが、
一方で袴田の乗る自転車には、
コンビ結成に至る絆が詰まっており、
その自転車を見てさとしは考え直しますが、
しかしそれに乗って帰る途中、
いかつい男達に声をかけられます。
実は「絆の自転車」は
袴田が盗んだものであり、
当然男たちは激怒しますが、
袴田は異様なほどに悪びれず
持ち主の真岡と喧嘩になりますが、
袴田は恐るべきセンスを発揮し、
無傷で場を切り抜けるどころか、
奇襲で真岡に怪我を負わせます。
そんなある日袴田は、
幼馴染であり、殺されかかったと
勝手に思い込んでいる女性、
川尻優那と再会します。
優那と長年文通していた袴田は
彼女との出会いに驚きます。
実際、長年袴田が優那に
送っていた手紙の数々は
完璧なホラでしかないのですが、
またも袴田は悪びれず、
ハグしてきた優那に
あの世に送られかけたものの、
気を取り直して歩いていくうちに
テレビカメラを発見するのでした。
バカビリーバーの読んでみた感想・評価
爆笑必至の超強力キャラに
完全にハマってしまいました。
色々な天然系、もっと言えば「バカ」な
主人公が登場するのが漫画の世界ですが、
その中でも本作の袴田君は
異様とさえ呼べるほどの「本格派」です。
お笑い養成所のレッスン、街での会話、
そして文通相手との再会といった
日常的なエピソードの数々も、
袴田君が登場することで、そのすべてが
強烈な「バカ」エピソードに変化し、
笑いを抑えるのにかなり苦労しました。
何しろ、明らかに普通ではない選択肢を
平気でチョイスしていくのですから、
割と「リアル路線」な他の登場人物も
かなり大変です。
何故なら普通は盗みという悪を行った
犯人の側が罪悪感がなく、
しかも返そうともしないといった
リアクションは想像すらしないし、
テレビカメラに誘われて
街で喧嘩した相手が乱入するとも
考えることはないからです。
もっともそのあたりは
読んでいる私も同じで、
だからこそ爆笑を抑えられませんでした。
袴田君の文通相手である優那ちゃんも
相当の逸材であり、可愛いのに
ちょっとヒロインっぽくない感じで、
とにかく全力でバトルしているのに、
日常パートがそれを上回る
超インパクトを持っているような
パワーが溢れる作品であり、
予想も時に理解すらできない
袴田君の行動の数々には、
強烈な驚きとともに
頼もしさと痛快さを
感じてしまいました。
バカビリーバーはこんな方におすすめな作品!必見
多くの場合羨望の眼差しを受けるのが、
「天才」ですが、一方で「バカ」は、
周りからの評価が低くなることが多く、
大多数の漫画などの作品でも、
ウィークポイントとして描かれています。
しかし一方で、周囲から「バカ」を評される
主人公は非常に多く、読者からの支持も
十分に得ているわけですが、
万事理論と合理的な展開が良いとされる
昨今の作品では、「バカ」は、
単なるキャラ付け程度の感じにまで
大人しくなっているような感じです。
しかし本作は色々と「本物」です。
主人公の袴田君は、超型破りの
芸を見せた挙句プロデューサーを
締め落としてしまったり、
他人の自転車を盗んだ挙句、
あまりにも悪びれなさ過ぎて、
格闘家と大喧嘩になったりと、
とにかく大暴れしまくりですが、
そこには「計画性」はなく、
「悪意」もまったく見えません。
少しでもそうした要素があると、
単なるワルになってしまうところで
純粋な「バカ」を描いた本作は、
近年の「賢い」作品とは
根本的に違った何かを堪能したい、
理屈抜きの「話力」を味わいたい方には
最適の一作だと思います。
一方、画力は先進的で、
バトルシーンも理にかなっており、
現代的な面白さも損なわれておらず、
とにかくサクサク読めます。