タイトル | プリンシパル |
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原作・漫画 | いくえみ綾 |
出版社 | 集英社 |
東京から北海道に転校した糸真が、
新天地で会ったのは、
人懐っこい大型犬と、
タイプの違う二人の美少年。
しかし周りとの摩擦もあり……。
王道展開のラブコメに、
微妙かつリアルな人間関係の
繊細さも加えて描かれた、
2018年映画化予定の、
傑作本音系恋愛ストーリーです。
プリンシパルのあらすじ紹介
地元では、家庭でも学校でも
かなりうまく行かず、北海道へ
引っ越すことになった糸真。
転校して入ったクラスは
皆優しそうな感じで、
大型犬のすみれや、
その飼い主である和央とも
知り合うことができましたが、
東京で仲間ハズレにあった糸真は、
そのトラウマから、
せっかく上がった和央の家から、
ダッシュで立ち去るという
ひどい態度に出てしまいます。
その後のやり取りで過去を払拭し、
心機一転生きることになる糸真ですが、
人間関係は決して簡単ではなく、
ちょっとした態度から和央を傷つけ、
あるいは同級生から反感を買う
事態にもなってしまうのでした。
プリンシパルのネタバレと今後の展開は?
東京での母との生活も
学校生活もうまく行かず、
お父さんがいる北海道に
転校することになった、
住友 糸真。
皆いい人そうだと
安心した感情を
同級生たちに抱きますが、
髪の長い美少年だけは、
「そこはわおを席だから!」と
糸真に噛み付いてきます。
そんな彼に、
「私は言われた所にいるだけ」と
言い返してやると、
クラスメイトたちは笑顔で
受け入れてくれました。
そんなやり取りを経て
糸真が家に帰ると、
そこには「すみれ」という、
見慣れない大型犬の姿が。
近所の家で勝手に来るらしいと
父親と話をしていると、
そこに黒髪の美少年が現れます。
長髪の美少年、弦と親友と
和央というその男子生徒は、
校内でもファンが多く、
「抜けがけ禁止」という
暗黙のルールがあることを
聞いてしまった糸真は、
もう会ったことがある糸真に
「はじめまして」と挨拶し、
彼を遠ざけてしまいます。
傷付けたようでもありましたが、
再び家にきたすみれを返すため、
和央の家に向かうと、
彼は意外にも優しく、
弦と糸真を迎え入れます。
しかし、家で談笑しているのを
同級生に見られたと思った糸真は、
脱走するように家から飛び出し、
途中ですみれに止められたものの、
自分の辛い経験や思いを発露し、
大泣きしてしまうのでした。
プリンシパルの読んでみた感想・評価
多くの恋愛もの、
あるいはラブコメでは、
主人公たちが、恋一本槍で、
周りからの嫉妬や評判を
雑音として切り捨てて
我が道を進んでいくことがあります。
その態度も潔さの面では
大いにアリなのですが、
現実問題としては、
友達や同級生から嫌われれば
学園生活は楽しめませんし、
いくら異性と仲良くしても、
バラ色の青春とはなりません。
その人間関係の難しさや
大変さの部分が、本作では
遠慮なく描き出されていて、
「目標」に沿っていれば
絶対大丈夫なんだという
単純さがないため、
かなり考える部分が
あったように思いますね。
それぞれ個人では「悪人」が
いたりしないだけに
かえって物事は厄介で、
楽しいだけでは済まない
現実的な問題が
浮き彫りになってもいました。
とは言え、ハブられて
辛い目に遭った糸真に
人を好きになる気を起こさせた、
和央や弦は、タイプは違うものの
本当に「いい奴ら」でありますし、
北海道の自然の美しさや、
犬のすみれちゃんの可愛さも
非常に満載されており、
心が温かくなれる作品でもあります。
正統派の恋愛ものながら、
色々な要素が盛り込まれ、しかも
互いを活かしている感じがあり、
男性でもとても楽しめる、
上質な面白さがありましたね。
プリンシパルはこんな方におすすめな作品!必見
学校でも話題の美女と急に付き合い、
あるいはイケメンと仲良くなることで、
同級生からやっかみと嫉妬の視線を浴びる、
そんな感じの描写は多くの作品にあります。
大体の場合はちょっとした優越感を満喫、
といった感じで済むシーンなのですが、
実際は友達と過ごす時間は長いし、
恋人よりも当然数も多いわけで、
嫌われるとかなり厄介な事になります。
本作はそうした「リアル」を、
むしろラブコメ的展開よりも
赤裸々に描いていて、
さらに主人公の糸真も、
かつていじめられたことへの
トラウマを持っているなど、
人間関係の「怖さ」が切実なのが、
他の作品とは違う斬新さを示しており、
「つくり」のない人間関係を
じっくり観たいという方にも
納得の描写となっています。
また、真っ直ぐなようでいて、
かなりデリケートな面を持ち、
漫画的に都合良い展開にならない
和央の性格や家庭の事情など、
複雑な部分が多く含まれており、
だからこそ予期せぬ行動なども、
納得のいくものとして
とらえていくことができます。
犬のスミレちゃんなどの
脇役たちや風景など、
本筋とはそれほど関係ない、
様々な部分についても
非常に丁寧に描かれており、
特に動物が好きな方には、
良い気分になれる部分も
多いのが嬉しいですね。