タイトル | ボンボン坂高校演劇部 |
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原作・漫画 | 高橋ゆたか |
出版社 | 集英社 |
時計坂高校に通い始めた、純菜 正太郎。
高校で素敵な体験を夢見ていた彼は、
出会った少女に一目惚れするものの、
彼女を追って入った演劇部には、
強烈な部長、徳大寺 ヒロミがおり……
ヒロミをはじめとする個性的なキャラと、
ヒロインの真琴さんたち美形なキャラが
絶妙なバランスで同居している、
現代の「日常もの」にも通じるセンスと
古典的な様式を両立させた、
、
90年代の少年ジャンプにおける
ラブコメギャグ漫画の傑作です。
ボンボン坂高校演劇部のあらすじ紹介
時計坂高校に入学した、純菜 正太郎。
名前通りピュアな彼は、高校で
いい出会いを夢見ていました。
そんなある日登校中、とても美人で
明るく優しそうな女生徒に会った彼は
たちまち恋に落ちてしまいます。
しかし、告白をしようと後をつけると、
それは、彼女に擬態した演劇部部長の
徳大寺 ヒロミでした。
ヒロミは、正太郎の思いを逸らせて
煙に巻くような会話を展開しつつ、
隙をついてぶん殴り、椅子に縛ります。
してやられた正太郎は、さらに強烈な
ヒロミから要求を突きつけられるものの、
そこに正太郎が見た少女、真琴が現れ……
ボンボン坂高校演劇部のネタバレと今後の展開は?
淡い期待を持ちつつ、高校生活に臨む
新入生の順菜 正太郎。
そんな彼は登校時、とても美人な
女の子を見て恋に落ちます。
どうやら彼女は演劇部員らしいと
突き止めたものの、
彼女に化けた演劇部部長の
徳大寺 ヒロミにハメられ、
鈍器でぶん殴られた挙句、
椅子に縛られてしまいます。
ヒロミは無茶苦茶な言い分で
正太郎に言い寄りますが、
そのタイミングで正太郎が
一目惚れした彼女が登場。
しかし、その彼女日比野 真琴は、
正太郎が告白する前に、
ヒロミと正太郎の関係を誤解。
そのために真琴に触れても大丈夫な
関係になれた正太郎ですが、
肝心の告白はできません。
せっかくお近づきになったものの、
完璧に「男」ではないという
ポジションです。
とりあえず無事入部した正太郎ですが、
それから先もヒロミは強烈で、
さらには個性的な仲間も加入。
こうなると真琴と恋人にはなれず、
頼れる一年生として
ヒロミたちにビシバシツッコむ、
半ば縁の下の力持ち的な
ポジションになっていくのでした。
ボンボン坂高校演劇部の読んでみた感想・評価
当時、まさに黄金期だった少年ジャンプ。
私も毎週楽しみにしていたものです。
徐々に長期連載が終わり、
何となく雑誌全体が寂しくなる中で、
いつしか私は本作にハマっていました。
主人公というかジョーカーのヒロミや、
ナルシスなどの色々ぶっ壊れ系のキャラと、
彼らに翻弄されつつも自分を保ち続ける
主人公の正太郎くん。
そして、明るくて真面目で優しくてと、
まさに理想の先輩である一方で、
男性と触るとぶん殴ってしまう真琴さんや、
色々と積極的で作品を彩るリサちゃん、
魔性ぶりを発揮するねねさんなどのヒロイン。
彼らは皆魅力的なキャラで、個性的でもあり、
しかも確かな「自分」を持っていて、
ブレることも悩み過ぎることもありません。
その明快さは、90年代末から流行した
「セカイ系」的複雑さとは真逆でしたが、
その後に流行した「日常系」に通じる
雰囲気の明るさがあって、
健康な笑いを楽しむことができました。
携帯やスマホが全盛の今日では、
なかなか難しい微妙な距離感もありますが、
だからこそかえって新鮮な部分もあります。
絵柄も非常に先進的で、今読んでも、
まったく古さを感じさせない一作であり、
本作のどこかスカッとした笑いは
現在においても参考になるかと思います。
リバイバルブームもありますし、
再評価される可能性が高い作品の一つに
挙げることができるのではないでしょうか。
ボンボン坂高校演劇部はこんな方におすすめな作品!必見
まだ「萌え」系が流行し出す前の頃ですが、
ギャグ漫画とシリアス漫画ではまず、
キャラの造形から違っていました。
シリアス漫画であれば二枚目なところに、
ギャグだとデフォルメさせてみたり、
あえて美しくない造形を選んだり……、
そうした「分化」の利点は、ジャンルが
ひと目で明らかという面がありますが、
「意外さ」がない欠点もありました。
1990年代半ば、ジャンプ黄金期が
いよいよ最終を迎えるあたりの時代に
登場したこの「ボンボン坂」は、
真琴さんや正太郎くんといった
典型的な美形キャラを主軸にしつつ、
色々と異形と言ってもいいヒロミを
強力なジョーカーに据えることで、
両者の長所を活かしています。
美形で性格も良いがクセがある、
という真琴さんたちヒロインの描写は、
現在の日常系に通じる部分もあり、
性別を超越するキャラが多い等々、
現在の流行を先取りした面もあるなど、
バランスの良いギャグ漫画という以上に、
開拓者としての雰囲気が強い一作です。
当時の半端でないほどに競争が激しかった
週刊少年ジャンプで、独自性を出しつつ
長期連載を達成したのも納得の作品で、
忘れ去られるにはあまりにも惜しい、
今でこそ評価されうると言えますが、
かと言って今似たような作品が出ても、
ボンボン坂高校のトボけながらも
どこか温かみのある雰囲気は
なかなか出せないだろうなとも思います。