タイトル | マリーマリーマリー |
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原作・漫画 | 勝田文 |
出版社 | 集英社 |
若い女性鍼師のリタ。
毎日出張もやるという
積極的な働きぶりを見せていましたが、
森田というギタリストとの出会いにより、
彼女の毎日はより賑やかになっていく。
自由で奔放でオシャレで、まったく
「らしく」はないものの、
独特の穏やかで明るい雰囲気を楽しめる、
新感覚夫婦漫画です。
マリーマリーマリーのあらすじ紹介
若手鍼師のリタは、偶然から
究極の自由奔放タイプの森田と
知り合ってしまうことに。
常に軽口を叩く森田ですが、
その実無駄なカッコ付けはなく
精神もすこぶる健康であり、
緩い態度を崩すことがありません。
その後も徐々に森田の
良いところを知りつつも
翻弄されていたリタですが、
婚姻届を渡してから
ふらっといなくなった森田が
帰るなり旅行に誘ってきました。
そのガタガタした道中で
さらに互いのことを知った二人は、
車への落雷を機に、
リタが婚姻届にサインしたことで
晴れて夫婦になるのでした。
マリーマリーマリーのネタバレと今後の展開は?
出張で鍼灸治療を行うリタ。
まだ若い女性ですがその施術は
誠実かつ的確で、多くの支持を
得ていました。
しかしある日車で動いていると、
ちょっと妙な感じの男性を
ひきかけてしまうことに。
しかしその男性、森田は
まったく動じずに車に乗り込むと、
リタの愛車のミニ・クラシックを
大絶賛してから結婚しようと
軽口を叩くなど、とにかく
自由奔放に振る舞います。
しかし、そんな森田に対して
リタの師匠は、どこも悪くなく
見目がいいと絶賛します。
その森田は、店に
通い詰めたかと思うと
いきなり姿を消しという感じで、
相変わらず自由な感じでしたが、
様子を見に行ったリタは、
ドサクサで部屋に連れ込まれます。
もっとも森田に下心はなく
そもそも部屋も居候しているという
ある意味安心な状況でしたが、
すぐに森田は追い出されたとかで、
リタの部屋に居ついてしまいます。
迷惑な雰囲気ではあるものの
料理の腕が立ち、何より究極的に
ストレスなく健康な彼に、
リタも興味を惹かれていきますが、
一方の森田はと言うと、婚姻届を
リタに預け、旅に出てしまうのでした。
マリーマリーマリーの読んでみた感想・評価
通常の結婚物語とはまた違う、
奔放なまでの自由さと
爽快さが味わえる一作です。
結婚するというのは原則として
同じ家庭に入ることも意味します。
しかし本作の主人公、ギター一本で
世間を巧みに渡り、気ままに
旅を続ける森田さんは、
まだ知り合いですらない状態から
何度も結婚を申し込んでいますが、
自由な生き方はまったく変えません。
一方のリタさんは、若手鍼師として
地元で着実に実績を重ねている
コツコツタイプの女性です。
この二人の結婚となると
絶対に合わないように思いましたが
意外や意外、相性バッチリです。
究極の自由人である森田さんは、
当然リタさんを束縛などせず、
折に触れて新たな風を、
彼女にプレゼントする形ですし、
リタさんの方も、自由な彼に
キれたりせず仲良くやっています。
しかも森田さんは奔放なだけでなく、
上品さや心の芯を感じさせるタイプで、
だからこそ「勝手」にはならず、
読んでいても鼻につく感じは
なかったのだと思います。
展開は早くスラスラと進んでいきますが、
どこか余裕があり、読んでいて
気ぜわしくなることもありませんし、
リタさんのキツくない真面目さは
素直な好感をもって
受け止められるものでした。
リタさんのおじいさんなど、
強烈なキャラを秘める人も多く、
良い意味でゆったりしている雰囲気に、
良いアクセントを示しているような
緩急の利いた部分もあります。
マリーマリーマリーはこんな方におすすめな作品!必見
就職や進学、そして仕事上の大勝負。
人生には避けがたいイベントがあります。
その多くは当人にとってハードなもので、
キリキリと追い詰められてしまう人は多く、
中には潰されてしまう人もいます。
もちろんそれもハードルの高さ故で、
責めるにはあたらないことですが、
常にひょうひょうと人生の楽しむ、
そんな自由さに惹かれるのも
また抗いがたい事実です。
本作の森田さんも、ギタリストという
華やかな職業ながら名声とは無縁で、
常に自分のペースで演奏生活を
続けていく気ままさと、底知れぬ
大らかさを持っていて、真面目な
リタさんを困らせています。
とは言え森田さんのスタンスは
お茶目と言えるレベルであり、
リタさんもしっかりしていますから、
安心して大人の洒落がきいた
ラブコメを読みたい方には
とても適している一作と言えます。
また、リタさんのおじいさんも
ビートルズの超ファンという洒落者で、
単なる頑固者とはまったく違うような
独自の世界を展開させてくれたりと
脇を固めるキャラたちも
素晴らしいものがあります。
ライブだけではなく、
真の意味で音楽好きな方にこそ、
本作の充実感を味わえるでしょう。