タイトル | ラブ30 |
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原作・漫画 | 雅亜公 |
出版社 | 芳文社 |
編集者小橋は、結婚式当日、
婚約者真弓が、乱入者と
駆け落ちしてしまい、
完璧にフラれてしまうことに。
人知れず傷付く小橋だったが、
そんな彼の前に、
優しい年下の娘、泉が現れる。
恋愛もののラストでは
王道な展開の裏にある、
残された側の辛さを描きつつ、
心温まる描写も満載の、
ほろ苦くてやっぱり甘い
アダルトラブストーリーです。
ラブ30のあらすじ紹介
三十二歳、出版社に勤める編集者として、
漫画家からも評価されている小橋哲也は、
大西真弓との結婚式に臨んでいました。
しかしその席の最中、突然男性の
乱入者が現れて真弓への思いを述べ、
真弓も応じて駆け去ってしまいます。
よりによって式当日にフラレた小橋は、
会社では社長以下全員に同情され、
真弓の父親からは平謝りされるものの、
やはり自分の娘だからと、
手切れ金を渡されるなど、
実に冴えない状況が続いていました。
しかしそんな小橋に対して、明るく、
さらには真剣に寄り添い
慰めてくれた娘もいました。
小橋とその娘、泉は、たまたま家が
とても近かったこともあり、
どんどんと関係を深めていきますが、
小橋だけでなく泉にもまた、
難しい事情があったのでした。
ラブ30のネタバレと今後の展開は?
芳文出版で編集者をしている、
小橋哲也三十二歳。
腕利きの編集者として知られ、
漫画家の成功のためには
厳しさを全面に出すこともありますが、
本質的には温和で誠実、
優しいタイプの男性でした。
しかしそんな小橋は、結婚式当日に、
婚約者の大西真弓に、
逃げられてしまいます。
乱入してきた男性に言われるまま、
花嫁姿で自分から去っていく真弓を
引き止めることもできなかった小橋は、
事情を知る同僚には全力で気遣われ、
社長からも直々に優しく、
言葉をかけられるという事態に。
しかし先月から派遣に来たばかりの
女の子にからかわれ、
小橋は一瞬むっとしますが、
腫れものに触るような雰囲気は消え、
またその派遣の子、泉の態度から、
気遣ってくれたのだと知ります。
そして帰宅後、泉と小橋は、
家が隣同士だったこともあって、
偶然鉢合わせになり、
泉の申し出を受ける形で
二人は小橋の家で飲み始めます。
当初は楽しい雰囲気でしたが、
真弓が用意してくれていた
手編みのマフラーを見つけてしまい、
小橋は耐えられなくなり号泣します。
すると泉は優しく寄り添い慰めてくれ、
小橋もそれに応じ、結局二人は、
裸で抱き合うようにして目覚めるのでした。
ラブ30の読んでみた感想・評価
王道かつ定番で燃える展開の
「裏」にある物語や当事者の
心の動きを巧みに描き、
読んでいる方まで切なくなる、
男の悲しさが満喫できるのが
魅力の一作です。
本作の面白さは、何と言っても、
その設定の独自性にあります。
結婚式の直前で花嫁が
好きな相手と駆け落ちする、
冴えない男はフラれる展開は、
恋愛漫画とすれば非常に
王道なものの一つですが、
本作はフラレた側が主人公です。
しかし、将来を誓い合い、
式まで挙げようとしていたのに、
落ち度もないにも関わらず、
一方的に関係を切られた側とすれば、
その場で悔しがるだけでは、
到底終わりませんね。
多くの漫画ではあまり
クローズアップされてこなかった
「負けた側」のお話だけに、
その辛さや悔しさは新鮮で、
胸に染みるというか、
感情移入できる部分がありました。
一方、主人公の小橋は、
仕事に関しては実に優秀で、
事を成すための厳しさもありますが、
肝心の真弓さんにはその必要な
厳しい目を向けられないなど、
フラレた理由も確かです。
とは言えそんな優しい小橋と
小橋よりもさらに優しい
泉ちゃんという組み合わせだけに、
読んでいても素直に応援できるのは
確かという部分もありますね。
ラブ30はこんな方におすすめな作品!必見
結婚というのは大イベントなだけに、
様々な問題が発生するものです。
新たな「家族」との不仲や、
過去の関係の精算などなど、
考えられる部分は多いですが、
中でも有り得そうで特に、
ダメージがきついのが
「結婚相手の脱走」でしょう。
まるでドラマのような展開ですが、
両家の顔は潰されて、多額の
結婚式代金も問題になり、
何よりやられた側は耐え難いほど
傷つくことが容易に想像できます。
その点本作では、結婚直前の
男性側の視点から徹底的に
フラレた側の描写をしているので、
他の多くの作品のように、
「爽やかな駆け落ち」には
まったくなっていません。
しかしだからこそ、
傷ついた「男心」に、素直に
胸に染みるものがあり、
繊細で優しい男性の姿を
堪能したいという方にも
オススメできる内容です。
また、弱っているところに
近付いてくる人は大体、
下心があったりするものですが、
本作では基本的に「悪人」が少なく、
素直に差し伸べられた手を取れる
安心感があるのも見所です。