タイトル | ルルとミミ |
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原作・漫画 | 萩尾望都 |
出版社 | 小学館 |
萩尾作品のデビュー作「ルルとミミ」ほか、
12作品で織り成す珠玉の初期短編集。
恋愛・SF・コメディ・サスペンス、
そして現代ドラマ等、
幅広いジャンルで描かれた作品の数々。
あとがきは漫画家・山岸涼子が
エッセイを寄稿。
ルルとミミのあらすじ紹介
「ルルとミミ」
2人の女の子ルルとミミは、
ケーキのコンクールが開かれることを知り、
一等を目指しケーキ作りに挑戦する。
「すてきな魔法」
奇術好きな女の子アンが一人の男の子
ジョーイと出会い不思議な体験をしていく。
「クールキャット」
一匹の白い子猫を家に招き入れるが、
その猫にネリーブライス一家は
振り回される。
「爆発会社」
少女ディビーのモデルデビューの瞬間、
爆発騒ぎが起こる。
原因は爆発会社という会社だと
判明する。
「ポーチで少女が子犬と」
周りの人間とは違う考えの少女を
大人たちは疎み、
衝撃の結末を迎える。
「モードリン」
少女モードリンはクレーじいやの
死体を発見し、その場で
ウィルおじさんの時計を拾う。
「かたっぽのふるぐつ」
スモッグに包まれた街で生きる
少年少女たちの日々。
「花嫁をひろった男」
青年オスカーは、夜のハイウェイで
花嫁姿の女性をひろうが、
その女性は花婿を殺したと言う。
「小夜の縫うゆかた」
少女小夜(サヨ)は浴衣を縫いながら、
亡くなった母の記憶を思い出す。
「ケネスおじさんとふたご」
幼いふたごがケネスおじさんを
様々な騒動に巻き込んでいく。
「ごめんあそばせ!」
グループ、ザ・キーロックスの
ドラマー募集のビラを見てやって来たのは、
小さな女の子エマだった。
「毛糸玉にじゃれないで」
一匹の子猫を拾った女子高生の、
進路や家族に悩む日々と決断。
ルルとミミのネタバレと今後の展開は?
ルルとミミはケーキ作りに挑戦しますが、
失敗続きで風船のようなケーキや
爆発するケーキを作ってしまいます。
ですが、めげずにコンクールに参加。
コンクールの審査員に
キーロックス氏というケーキ作りで
有名な人物が登場する予定が、
別のキーロックスという
4人組が現れます。
にせもの呼ばわりされる4人組の前に、
もう片方のキーロックス氏が登場し
騒動になります。
そんな中、ルルとミミが作った
爆発する風船ケーキが宙を漂い、
騒ぎのど真ん中で弾けてしまいます。
4人組のキーロックスの一人が倒れ、
ポケットの中からいつの間にか
盗まれていた参加者の財布が飛び出し、
捕り物劇に。
見開き2ページに渡る
ケーキの投げ合いが始まります。
ルルとミミが通報したことにより
警察が到着しますが、すでに
泥棒4人組はケーキまみれで動けぬ状態。
あっさり捕まってしまいます。
翌日、新聞に載った泥棒4人組を
見ながら話をしていたルルとミミですが、
クッキーのコンクール開催の
記事を見つけます。
2人は次のお菓子作りに挑戦する
素振りを見せ、物語は終わります。
ルルとミミの読んでみた感想・評価
萩尾先生のデビュー作は
とても可愛らしく、動きや表情が豊かです。
キャラクターの仕草が女の子らしく、
どこか繊細で時に大胆なタッチで
描かれています。
他の作品も、現在の萩尾先生の作品と
同じ繊細な雰囲気を感じさせます。
初期はコメディタッチのものが
多いように思いますが、
「ポーチで少女が子犬と」や
「かたっぽのふるぐつ」などの
シリアスなものは鮮烈で、
ある種、衝撃すら覚えました。
サスペンス色の強い「モードリン」は、
内容を膨らませることが出来れば
2時間ドラマになるのではないかと
思わずにはいられません。
そして内容とは関係ありませんが、
表紙の女の子のイラストが
メルヘンチックかつ自然的で美しいです。
淡い水彩による着色で
少女の肌が透き通り、
幼さを感じさせます。
巻末にもイラストがあります。
吉田拓郎さんの「雪」をイメージした
イラストなのですが、
女性の憂いを帯びた顔が
また美しいのです。
萩尾先生の作品は全て好きなので、
評価はもちろん100点満点です。
ルルとミミはこんな方におすすめな作品!必見
現代の少女漫画とは少し雰囲気が違い、
恋愛に特化しているわけではないので
幅広いジャンルをまとめて
読みたい方にオススメです。
年齢層で言うなら少し年齢を重ねた
40代~50代の方、
また私の希望も入っているのですが、
20代の方にも新しいジャンルとして
読んで頂けたらと思います。
人生を真剣に、楽しく、
時に理不尽な現実にも真っすぐに
目を向けながら生きていく。
そんな物語を求める方々に
オススメできるのではないでしょうか。
特に女性には読んでもらいたいと思います。
おそらく共感でき、雰囲気が
理解できる点が女性の方が多いのでは
ないかと考察します。
ですが、男性が読んではダメという
ものではありません。
ジャンルに富んでいるので
ストーリーを楽しむことが
出来るはずです。
萩尾作品が好きな方なら
読むべき本と言えるのではないでしょうか。
現在の萩尾作品に通じるところが
必ずあるので、そういう点を見てみたい、
読んでみたいという方に
是非オススメします。