タイトル | 三日月と流れ星 |
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原作・漫画 | 椎名あゆみ |
出版社 | 集英社 |
年上好きで大人っぽい充希は、
入ったカフェで素敵な店長と会い、
どんどんと仲を深めていくが……。
若いからと一気にいくのではない、
落ち着いた恋愛の流れと時間経過が、
実に登場人物にマッチした、
ハートフル系カフェ恋物語です。
三日月と流れ星のあらすじ紹介
女子高生の充希は、
難しい本が好きだったり
年上の男性を好きになったりと、
ちょっと周りとはズレた感じが
魅力的な女の子でした。
ある日、素敵なカフェで、
イケメンで落ち着いた店主隆聖に、
出会った彼女は、
結婚指輪の存在には気付くものの、
優しく趣味も合う彼とはすぐに
仲良くなることができました。
そして充希はそのカフェに
バイトに入ったりと、
徐々に距離を詰めていき、
思いを募らせていくのですが、
隆聖には「秘密」があったのでした。
三日月と流れ星のネタバレと今後の展開は?
高校生の充希は、昔から
同級生よりも年上の男性に
ときめく傾向があり、
カフェの素敵な店主に
その時もまた一目惚れします。
もっとも彼の薬指には
結婚指輪がはまっていることに気付き、
即「失恋」ということになりますが、
店主の隆聖は明るく優しく、さらには
池内京太郎の本を読んでいたために、
顔を覚えてもらうことにもなりました。
どうやらその店主隆聖はかなりの
読書好きであり、昔から父親の
難しい本を読んでいた充希とは、
趣味もバッチリ合う形でした。
隆聖とすっかり仲良くなり
本やDVDを貸し借りするまでに
関係を深めていった充希は、
実は隆聖にはとても大きな
息子、玲於がいることも知りますが、
それでも変わらず仲良くし続けます。
やがて店員としてそのカフェで、
働き始めることになり、
同じく店を手伝う玲於には、
色々と憎まれ口を叩かれつつも、
楽しく仕事を続けていた充希は、
隆聖のさらなる秘密に触れます。
それは、彼の「師匠」が開いている、
「古書カフェ」で、充希にとっても
素晴らしい場所であり、
嬉しさに押されるように充希は
隆聖に対しての思いを
打ち明けるのでした。
三日月と流れ星の読んでみた感想・評価
一目惚れの恋と言うと
急展開がつきものですが、
本作は非常に落ち着きがあり、
物語をしっかりと追いながら
微妙な心境の変化を楽しめる
余裕も感じられました。
本作のポイントはやはり充希と
隆聖のコンビだと思います。
同年代の子たちを好きにならず、
同性の友達も作りにくい充希は
完全に大人びた感じであり、
難しい小説などをずっと
読み込んできたからか、
実際の目線もかなり大人です。
そのため隆聖の薬指に指輪があり、
子供がいることを知っても、
決して離れようとはせずに、
むしろ同僚として友達として
距離を縮めていくわけですが、
これはなかなか凄いことですね。
隆聖からすれば充希はもはや
単なるお客ではなく、
仕事から実像を知っているわけで、
本当に能力というか人間性を
対等に評価しなければ
無理な選択肢だと思います。
しかし隆聖は充希を遠ざけず、
むしろ何かと目をかけていたわけで、
年齢を考慮に入れても、
実子の玲於よりもずっと、
大人として信頼していたのが
見て取れる描写が多くありました。
もっともそういう充希ですから、
ルックススタイルの割には、
なかなか恋愛対象には引っかからず、
枯れている感じとも見られましたが、
それが一転改めて、隆聖との
縁がという局面で長所となるんですね。
そのあたりの両面性や、
成長したとしても変わらない本質、
人前には出ない部分などなど、
人間心理の細かい機微が
きっちり表現されていて、
思わずドキドキしてしまいました。
三日月と流れ星はこんな方におすすめな作品!必見
政略結婚や玉の輿といったような、
仰々しく大層な話でなくても、
将来的な事を色々と考えると、
結婚する相手は同年代の人がいいなと
結論してしまう人は多いですね。
ただその一方で、特に青春時代は、
同年代よりもむしろ大人な人に憧れて、
恋心を抱くことも少なくありません。
もっともそうした思いは、瞬間的に
パッと盛り上がっては消える、
花火のような感情であり、
「失恋」してからずっと先まで、
その思いを抱き続けることはまれです。
しかし本作では、充希と隆聖の出会い、
交流、そして充希の失恋と、
これだけで独立した話としても、
通用するようなエピソードを冒頭の
導入部分に設けることで、
思いの深さを示しているんですね。
淡い若々しい恋とは少し違うような
確かな「思い」を乗せた初恋を
堪能したい方には最適ですし、
相手が徐々に成長し、
子供だからとあしらえない状況で、
「大人」がどう出るかも楽しめます。
すぐに決着がつかないが、
しかし男性側がウロウロしない面も、
ラブコメが苦手な方にオススメですね。