タイトル | 坂道のアポロン |
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原作・漫画 | 小玉ユキ |
出版社 | 小学館 |
九州の高校に転入してきた薫は、
転校の回数の多さからくるストレスから
屋上に駆け込むが、そこには
不良生徒の仙太郎がいた。
仙太郎がジャズが好きでドラマーで
あることを知り、薫はクラシックとは
また違ったジャズの世界に
だんだんのめり込んでいく。
坂道のアポロンのあらすじ紹介
律子の実家であるレコード店の地下室を
借りてジャズの演奏に勤しむ仙太郎と
薫だったが、薫が律子に、律子は
仙太郎に、仙太郎は海で出会った百合香に、
百合香は演奏会で招待されたバーで
見かけた淳一にそれぞれ恋愛感情を
抱いたあたりから、薫・仙太郎・律子の
すれ違いが増えていくようになる。
しかし、ジャズに対する思いが薫と仙太郎を
引きつけ、高3の文化祭の出し物で
ジャズを披露することが決まり、熱を
入れて練習するが、文化祭当日に
仙太郎がバイク事故を起こしてしまう。
坂道のアポロンのネタバレと今後の展開は?
バイクの後ろに実妹を乗せて
意識不明の重体にさせてしまったことに
責任を感じ、出稼ぎから父が九州で
戻ってきたこともあり、行先も告げぬまま
失踪してしまう。
律子と薫は両想いになるものの、薫の
仙太郎に関する不用意な発言が律子を
深く傷つけ、卒業するまで
疎遠になってしまう。
薫は高校卒業後、東京の大学に合格が
決まり、九州を離れる際に律子に再会し、
和解をする。
大学在学中も文通のやりとりを細々と
続けていたが、手紙に記載されていた
電話番号に電話をかけると知らない男が
出て、手紙のやりとりが律子にとって
迷惑になっていることを告げられ、
電話を切られ、自分の中でだけ時間が
止まっていたことに気付く。
東京で再開した母の鼻歌を聴き、
ジャズに触れたいとおもうようになり、
ジャズ研やバーでジャズに打ち込む
時間ができた薫はサークルのメンバーとの
セッションを楽しむ。
バーで演奏のアルバイトをしていた際、
偶然にも疎遠になった淳一と再会し、
飛び入りでセッションをする
機会に出くわす。
坂道のアポロンの読んでみた感想・評価
薫の高校生活に潤いもたらしてくれたのは、
仙太郎や律子の存在とジャズです。
しかし、その中で最も薫にとって
大切だったのは仙太郎の
存在だったように思います。
高校3年の文化祭前に仙太郎が
失踪したことを契機に、彼の日常は
受験勉強、大学への進学、
ジャズ研への入部、研修医として
過ごす日々が淡々と
描かれていきます。
その中に仙太郎と共に過ごした日々の中で
見せた感情の高まりや笑顔といった
描写が見られず、薫は機械的に
今自分がすべきことを行ってきたように
見えました。
しかし、最終巻で偶然百合香に
出会い、仙太郎が神父見習いとして
教会にいることを知り、薫は九州へ
戻ることを決めます。
その後、仙太郎との再会・律子との
結婚と進んでいくのですが、
やはり、その中でも、仙太郎に
対して向けられる飾らない
生きいきとした表情が強く
印象に残ります。
つまり、薫の心の中では
紆余曲折を経ても、仙太郎が
人生を大きく変えた象徴的な
人物としてゆるぎない存在で
あるように作品全体を通して
感じられました。
坂道のアポロンはこんな方におすすめな作品!必見
過去の学生生活の背景を
知ることができます。
作中に出てくる学生運動やセクトなど、
取り上げにくく聴き馴染みのない言葉は、
自分の知らない過去の日本の学生生活の
様子を垣間見ることができます。
ジャズを聴くきかっけになる、または
ジャズ好きな人に勧められる。
仙太郎や薫がどの曲を演奏するか話したり、
レコードの奪い合いをしている姿を見ると、
ジャズを聴く機会があまりない人にも
興味・関心を持ってもらえるようになると
感じました。
また、その曲がどのような曲なのか実際に
聴いてみたいなという気持ちになり、
ジャズが好きな人なら、自分だったら
何の曲を演奏しようか一緒に
考えてしまうと思います。
恋愛漫画というより青春群像劇を読みたい方
仙太郎失踪後は、律子と恋愛関係の
掘り下げにシフトチェンジしていくのかなと
思いましたが、卒業から研修医になるまで
あまり紙面を割かずに時が
過ぎ去っていくことから、
坂道のアポロンのは、ジャズを通して
築かれた友情関係に焦点が
当てられていると考えられます。