タイトル | 夢の雫、黄金の鳥籠 |
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原作・漫画 | 篠原千絵 |
出版社 | 小学館 |
16世紀初頭。
北の寒村から奴隷として売られてきた
サーシャは、オスマン帝国の
皇帝・スレイマンの側近イブラヒムに
買われ、知性を身につけさせられ
ヒュッレムと名をあらためて高級へ
献上されることになる。
皇帝の寵愛をうけるようになった
ヒュッレムの半生を描く。
夢の雫、黄金の鳥籠のあらすじ紹介
16世紀初頭のオスマン帝国の皇帝
スレイマンと、その側近であり小姓から
皇帝の重用をうけ低い身分から
大宰相にまで上り詰めるイブラヒム。
そして、売られてきた奴隷の身から寵妃、
第二夫人としての地位を
築いていくヒュッレム。
三人の人間模様を描いた作品です。
稀代の悪女として語られるヒュッレムと、
イブラヒムの報われない恋心と、忠義。
そして、女ばかりの後宮で
生き抜こうとしていくヒュッレムの
変化を繊細な心理描写を
言葉だけでなく、絵で語られる漫画です。
夢の雫、黄金の鳥籠のネタバレと今後の展開は?
ギュルバハルという第一夫人がいて、
第一王子もいる状態で、最初は控えめに
していたヒュッレムが徐々に自分の
思う通りに、生き残るために
権力をつけていく様子を
描いています。
最初は戸惑いをみせ、イブラヒムの
手を借りないといけなかったヒュッレムは
やがて、彼の手を離して自分の力や
思惑で後宮の中を渡っていきます。
人の生死を平然と決めて奪って
しまえる中世の後宮の怖さ、壮絶さを
知って行きながらも、ためらっていれば
自分がやられると知り徐々に
変わっていくヒュッレム。
捨てきれない恋心や、皇帝の寵愛を
失えない立場など、さまざまなことに
気を配らなくてはいけないヒュッレムと、
彼女に確実にハレムの実験を
奪われていき追いつめられる
第一夫人側の攻防が描かれます。
後宮だけではなく、ストーリーは
男性側のイブラヒム・スレイマンという
国を動かす側の忠義や
見据えているものなども
描かれるので、その中で小さな
ハレムの中で生きるヒュッレムが
どう生きていくのかが描かれます。
夢の雫、黄金の鳥籠の読んでみた感想・評価
歴史の壮大なストーリーが得意な
篠原先生の作品です。
今回の作品も丁寧に登場人物の心理を
描かれていて、実際には伝わってこない
ヒュッレムの心情というものを
どうこれから描いていくのか
とても楽しみな作品です。
中世オスマン帝国という大きな
帝国の中で、後宮という閉じた
場所のなかで、なにも持たない
ヒュッレムが寵愛を、子を、そして
権力を手に入れていく様子が
描かれています。
そのなかで、自分を後宮へといれた
イブラヒムへの捨てられない想いを
抱えたまま、皇帝の子を身ごもった
ヒュッレムの子を守るためにしてく変化、
そして自分でさし出した寵妃に向ける
思いとスレイマンへの絶対的な忠誠を
同時に抱き躊躇しているイブラヒム。
そんな二人や、周りの心理が丁寧に
書かれているので最後まで、
飽きることなく読める
作品だと思います。
心理描写を、セリフやカキワリだけでなく、
表情や身体の一部を使って描かれる
表現力はさすが、としか言えない
繊細さと、その伝わり方が
とても共感できます。
夢の雫、黄金の鳥籠はこんな方におすすめな作品!必見
歴史ものが好きな方には
まずオススメです。
女性主人公で、恋や彼女の心理を
描きながらも、男性の目線である政治や、
国というものを織り込まれているので
飽きることなくよむことができます。
もちろん、女性の繊細な気持ちの
揺れなどを丁寧に描かれているので
恋愛ものとしてもとても魅力のある
作品です。
日本で言うところの大奥にあたる、
ハレムを描いているのでこういった女の
戦い的なものを読まれる方にも
オススメかもしれません。
ハレムという特殊な環境の中で
あがいてのし上がっていくストーリーは、
女性だけでなく男性も面白いかも。
篠原千絵先生の作品にはもうひとつ
「天は赤い河のほとり」という
ヒッタイト帝国を描いた作品があります。
歴史好きな方にはこちらもお勧めです。
現代からトリップしてしまった15歳の
ユーリが、ヒッタイト帝国の皇帝になる
カイルの傍で生きていくストーリーです。
こちらは、トリップものという特殊な
設定がつきますが、ユーリをはじめとする
心理描写が丁寧なので
とてもおもしろいです。