タイトル | 愛だけ くれない |
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原作・漫画 | 刑部真芯 |
出版社 | 小学館 |
柾と水穂の二人は
同じ学校に通う「兄妹」、
しかし実は夫婦関係でもあり……、
「身代わり結婚」という、
今時ではありえなそうな状況から、
十代半ばでの夫婦生活と、
ダイナミックな展開と
すれ違いのモヤモヤが強烈な
ハード系恋愛物語です。
愛だけ くれないのあらすじ紹介
水穂と柾は同じ高校の、
先輩と後輩にして兄妹、
それ故に恋の仲介を、
周りから頼まれる水穂ですが、
実は二人は「夫婦」でした。
しかし、その婚約には
明確な愛はなく、特に柾は、
水穂の姉に思いを寄せており、
二人で夫婦生活を始めても
一切笑顔を見せず、
心を開こうともしません。
しかし水穂は元々柾に
憧れの念を抱いており、
かつて助けられたこともあって、
思いを抱き続けていましたが、
そんな彼女にもまた、思いを
寄せてくる人が現れるのでした。
愛だけ くれないのネタバレと今後の展開は?
小早川柾とその「妹」水穂。
二人は対外的には兄妹でしたが、
その実態は「夫婦」でした。
名門小早川グループから
水穂の姉に対して
見合いの話が来たものの、
姉が断固として拒否したために、
その妹である水穂が
身代わりに立てられたのでした。
柾は姉の方が好きだったはずが
代わりに妹をという無茶にも
拒否反応を示さず、
二人は「偽装夫婦」になりましたが、
柾は水穂に対して一向に愛を示さず、
ただ激しい好意を続けるだけでした。
元々柾に憧れており、
過去に助けられたこともあって、
柾への思いを抱く水穂としても、
対外的には「妹」ということで
「兄」への仲介を任されるなど
思うようにはなりません。
しかし、そうしたすれ違いを
繰り返していく中で、
柾の友人である影王からも、
声をかけられるなど、
中学時代とはまた違うような
人間関係を体感します。
しかし柾とは結局のところ
なかなか心を通い合わせず、
一方姉は元々のお相手と、
堂々と結婚式を挙げてしまい、
柾の心はますます、
複雑な思いに乱れていくのでした。
愛だけ くれないの読んでみた感想・評価
オラオラ系恋愛物かと思いきや、
予想以上に圧力がキツかったです。
本作のポイントは何と言っても、
「政略結婚」的な設定ですね。
小早川家の御曹司である柾と
水穂の家が、何と「政略結婚」を
熱望しているということですが、
水穂の姉は断固として拒否、
そのため父親は、水穂を
身代わりにしました。
この戦国時代的と言うか、
戦国時代でもちょっと
珍しそうな状況から、
夫婦生活が始まるのですから、
当然二人の仲が
ラブラブになるはずはありません。
当然水穂は「夫婦生活」をタテに
いいように弄ばれるのですが、
かなり胸にくるものがありました。
柾は超絶美形でスタイルもまた
抜群なのですが、
それだけにむごさが際立ちました。
もっとも、水穂の方には
嫌悪ではない思いもあり、
色々と板挟みになりますが、
柾の態度が態度だけに
簡単にはロマンスになりません。
もちろん年齢的なこともあり、
他の少年たちとの接点もありますが、
柾の仕打ちが強烈なだけに、
彼を裏切った的な罪悪感は
読んでいてほとんどありませんでした。
むしろハッキリしない柾の方に、
苛立ちと言うかモヤモヤを
感じてしまうほどですので、
水穂に対してイヤな気持ちを
抱かずに済んだのは良かったですね。
画力も極めて高く、柾の強烈な
オラオラ気質をうまく緩和し、
同時にドキドキ感を増していましたね。
愛だけ くれないはこんな方におすすめな作品!必見
仲良く会話をしたり一緒に食事をしたり、
あるいは手をつないだりキスをしたりと、
関係が近くなれば「する事」は増えます。
それは友情だったり、恋人としての
証のようなものだったりしますが、
行為が増えても心が通じ合わない関係が、
確かに存在することもまた事実です。
そうなってくると、「遠い」場合より
むしろ距離を感じてしまうものですが、
本作はそんなシチュの究極系で、
水穂はある意味姉の身代わりとして
柾の「妻」になったために、
夫婦としてあらゆることをします。
しかし心はなかなか通じておらず、
意中の女性を射止められなかった柾は、
むしろ苛立っているという有様で、
中途半端な救いがなく、完璧に
厳しい状況を描いた作品を
読んでみたい方にはオススメです。
もっとも、ずっとギスギスが続いて、
深刻な対立になったりするような
嫌な面でのリアルさではなく、
徐々に冷たいだけではない柾の姿や
水穂を「身代わり」に立てた家族の
本音を見ることもできます。
とことん辛口だけれども、
シビアなだけではなく、耐えた先に
いい展開が待っていると期待できる、
そうした「見返り系」の作品でもあり、
だからこそ水穂の側に立って
ハラハラ物語を追いたい感じです。