タイトル | 憂鬱くんとサキュバスさん |
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原作・漫画 | さかめがね |
出版社 | 集英社 |
サキュバスさんが訪れた部屋の主は、
ブラック企業のために完全な
うつ状態に陥っていました。
サキュバスさんは
青年と一緒に暮らしていくことに。
厳しいうつ状態の現実を描きながらも、
決してのんびりと暖かな
毎日を忘れることはない、
ハートフル四コマ作品です。
憂鬱くんとサキュバスさんのあらすじ紹介
サキュバスさんが狙いを定めた青年、
憂は、超ブラック企業に所属し、
過労死寸前の日々を送っていました。
これはまずいと思ったサキュバスさんは、
非人道的な会社にマジギレし、
退職金などのお金を貰ってくると同時に、
憂との同居生活をスタートすることに。
憂はとても働ける状態ではなく、
それどころか、サキュバスにとって重要な
性行為が望み得ない状態ではありますが、
サキュバスさんは一進一退する
憂の状態を見守りながら、
温かな生活を作っていくのでした。
憂鬱くんとサキュバスさんのネタバレと今後の展開は?
強烈なブラック企業で、来る日も来る日も
労働一色の日々を送っていた青年、憂。
フラフラになって帰宅した彼の前に、
スレンダーでノリの良い
サキュバスさんが現れます。
しかし憂は完全なうつ状態に陥っており、
大人の営みができないほどの状態に。
これは何とかせねば
と思ったサキュバスさん。
会社から退職金など多額の
お金を支払わせるとともに、
一緒に暮らすことにします。
一進一退を繰り返す病状と
付き合っていく中、ゆっくりと温かく
流れる憂とサキュバスさんの時間。
とても静かではあるものの、
幸せな空気が流れていきます。
とは言え、日々を過ごすということは、
何らかの変化がある
ということでもあります。
ある日サキュバスさんが家に帰ってみると、
部屋の中に見慣れぬ天使の姿が。
彼女は極端なほどにポジティブで、
憂に対して「頑張れ!」的な
キラーワードを連発しまくってきます。
当然のように拒絶する
サキュバスさんでしたが、
天使さんも根が悪いわけではなく、
生活に困っている様子でもあり、
何となく家に来る常連に
なってしまったりするのでした。
憂鬱くんとサキュバスさんの読んでみた感想・評価
元々人の夢に入り込んだりできるという
サキュバスが登場する作品となると、
どうしてもエッチな感じが
全面に出がちです。
それはそれで必然なのですが、
恋の駆け引き等々を脇に置いて
ゴリゴリ攻めてくる系の方が多い
サキュバスさんたちの話を読むと、
疲れてしまうものです。
しかし本作に限っては、とても活動的な
サキュバスさんではあるものの、
人を一切急かしたりしないために
疲れを感じたりするようなことはなく、
作品全体もとにかく疲れない
雰囲気作りに力点を置いています。
このらしくないサキュバスさんと
憂鬱君の温かいやり取りは、
ありそうでなかなかないものであり、
今後もゆったりとした展開を
読みたいという気になってしまいました。
また、二人の脇を固める天使さんや
サキュバスさんの後輩(メタ助)も
とてもいいキャラで
ひねくれていないのがいいですね。
特にサキュバスさんとは何もかも真逆な
天使さんは、物語の良いスパイスに
なっている感じがしました。
全体として、とにかく読み手の
ストレスが溜まらないような有形無形の
配慮を感じる点はありがたく、
疲れている時にもスイスイと
読み進めることができました。
憂鬱くんとサキュバスさんはこんな方におすすめな作品!必見
生活に追われているという面はもちろん、
自分がやらなければ会社や
部署が回らない、といった状況に
常に直面しやすいのが社会人です。
だからこそ少々無理をしてもやらなきゃ、
と思ってしまいがちなのですが、
昨今のブラック企業問題や
過労死などの事件を見ても、
明らかに「無理は禁物」です。
少しでも動けるなら働かなきゃ、
と考えがちな方にとって、本作は
根本的な部分を変えうるものが
あるかも知れません。
何しろ家にやってきたサキュバスさんは
ブラックな仕事を辞めさせてくれた
だけでなく、絶対に働けとは言いません。
そこにいるということだけで価値を見出し、
いつくしんでくれます。
基本的に常に男性の「精力」を
欲しがる系の、どこか
ノルマに追われている形の
サキュバスさんの言葉だけに、
不思議な説得力と癒しの効果があります。
もちろん、ただ癒すというだけでなく、
常にノリ良く活動的なサキュバスさんを
軸にしているため、大爆笑できるようなネタは
少ないにも関わらず、スパスパと
実にキレが良く、最初期から数十本、
あるいは百本以上にのぼるような
四コマを一気に読み進めても
全然飽きや疲れを感じさせないほどの
パワーもあります。
お色気系の四コマは多いですが、
これだけの下地を備えた作品は少なく、
四コマ好きにも必見、
と言えるのではないでしょうか。