タイトル | 我が名は狼 |
---|---|
原作・漫画 | たがみよしひさ |
出版社 | 秋田書店 |
野枝高原の彩湖畔に建つペンションに
ふらっと現れた主人公「狼」が、
このペンションを訪れる女性客と
関わることで、それぞれに過去や事情を
持った女性の心を救っていく物語。
一話完結で読みやすく、
コメディタッチの中にシリアスな
展開もあって読み応えがあります。
我が名は狼のあらすじ紹介
ペンション「たかなし」に
ふらりと現れた主人公、
犬神内記こと狼。
ペンションの経営者一家と遠縁の狼は、
無類の女好き。
ペンションの女性客に次々に
夜這いをかけます。
しかし、その女性客のひとりひとりに
悩みや過去があり、狼との接触の中で
癒しを得たり心を解き放たれたりします。
一方。
このペンションの三人娘である
誠・静・聖は狼の夜這いをとめにかかるが
全く効果がありません。
三人娘と狼もそれぞれに
心を通わせていきます。
我が名は狼のネタバレと今後の展開は?
女に見境の無いように見える狼ですが、
女性に対する想いは優しく暖か。
その背景には悲しい過去がありました。
内記は血のつながらない姉
「犬神水無美」を慕っていましたが、
その想いが強くなることで家を出ます。
作品中には明確に書かれていませんが、
肉体関係もあったとにおわせています。
しかし狼が家を出た次の年に
姉は車にはねられて死去。
以来、実家には近寄らなくなり、
心の奥に傷を抱えるようになりました。
ペンションたかなしの三姉妹も
その過去に触れ、狼に対して
それぞれの思いやりを持ちます。
長女の誠は結婚暦があり、連載中盤で
内記と関係を持つほどになります。
次女の静は婚約者がいますが、
その婚約者との関係が不安定に
なったときに狼に助けてもらいます。
三女の聖は活発な女性で狼を慕っています。
しかし狼もその想いを知りながらも、
最終的に結婚することはできないと
思い応えられずにいます。
一見、コメディ調に見える展開でも
その背景にはそれぞれの登場人物が
抱えている事情があり、
物語に深みを与えています。
我が名は狼の読んでみた感想・評価
たがみよしひささんの代表作
「軽井沢シンドローム」に通じる
雰囲気を持っており、
主人公の犬神内記が無類の女好きなのも、
主人公を慕う女性らの在り方も、
軽井沢シンドロームと共通しています。
軽井沢シンドロームとの違いは
一話完結でありどこからでも
読みやすいことでしょうか。
登場人物が限られているため
ストーリーが複雑にならないことも
あげられます。
軽井沢シンドロームと同様、
「長野県の避暑地」の空気が
よく描かれているほか、
登場するバイクや車もリアルで、
迫力があります。
時折出てくるアクションシーンでは、
狼の腕っ節の強さが
わくわくさせてれます。
また狼の台詞まわしは
「たがみ節」といいますか、
文学的でおしゃれ、
尚且つ説得力があります。
どこかシニカルな価値観も
ただよっていて、
狼の人間に対するやや屈折した
姿勢もあらわれています。
それぞれの登場人物の持つ魅力が、
この作品の最大の魅力でしょう。
単行本にもよりますが、全二巻、
もしくは三巻で終わってしまうので、
良い意味で「もっと読みたい」
感じは残りました。
我が名は狼はこんな方におすすめな作品!必見
たかみよしひささんの作品の
良いところが凝縮された作品であり、
同時に初心者にも入りやすい
作品だと思います。
むしろ軽井沢シンドロームより、
こちらを先に読んだほうが、
たがみよしひささんの世界に
入りやすくなるかもしれません。
一話完結であることから
時間のない忙しい方にもお勧めです。
またバイクや車が好きな方にも
その特徴が詳しく書き込まれており、
楽しんでいただけるかもしれません。
時代を超えて伝わる
人間模様が描かれており、
エッチなシーンが多いものの、
女性でも十分に共感できる
作品だと思われます。
このほかたがみよしひささんの作品では
「Nervous breakdown」
などをお勧めします。
10巻を超える大作ですが質のよい
本格推理サスペンスになっています。
意外なところでは「お江戸忍法帖」という
時代劇ものもありますが、
こちらもたがみワールド全開で
おすすめです。
ベテラン作家だけに作品数が多いのが
うれしいところ。
新作に期待したいところです。