タイトル | 戦国自衛隊 |
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原作・漫画 | 半村良・田辺節雄 |
出版社 | 世界文化社 |
近代兵器で武装した自衛隊が突如として
戦国時代へとタイムスリップしてしまう。
秩序と法律が存在しない、
混沌とした戦国時代を生き抜くために
ただ戦い抜く。
自衛隊員達の戦記作品の
元祖SFタイムスリップサバイバルの原点!
戦国自衛隊!!
戦国自衛隊あらすじ紹介
昭和の時代のある夏の日に、
日本において大規模な自衛隊の
演習が行われようとしていた。
北海道と能登半島に敵勢力が
軍事侵攻を開始した想定で行われた。
その大演習は陸空海の自衛隊の
垣根を越えて総動員されていた。
東部方面隊と中部方面隊の守備境界である
新潟県及び富山県の県境──
境川河口にて臨時の補給所が
設けられる程の規模に発展。
その補給所に第十二師団と第一師団の
陸上自衛隊が集結しようとしていた。
大量のガソリンと弾薬と
爆薬などが運ばれ、実戦さながらの
緊張感に包まれた演習の中。
30名の自衛官を指揮する
伊庭義明(いば・よしあき)三等陸尉。
補給地海域を警備する哨戒艇の
不調なエンジン音を聴き、
様子を見ようと沿岸へと近づこうとしていた。
伊庭三尉の姿を確認した
海上自衛隊の哨戒艇が不快なエンジン音を
立てながら補給地へと近づこうとする。
空にはKV107IIバートルが旋回する中で、
それは突如として発生した。
空間を歪ませ、軌道を乱す。
時間をずらす「時震」によって、
補給地と共に、
そこに置かれていた現代兵器と共に。
自衛隊員30数名は、
昭和の時代から姿を消してしまう事となる。
そして消えた自衛隊員達は、
戦国時代へと流れ着く。
意識を失った自衛隊隊員達を呼び起こす
伊庭三尉の声の下、彼等が見たのは、
違う時代の景色に包まれた補給地。
無線の通じない、
昭和ではない世界だった。
そしてそこに現れたのは、
まげを結わえた現地人の姿。
かつての古い時代の、
戦国時代の出で立ちの人間だった。
そして後の上杉謙信となる
長尾景虎と邂逅していく事となる自衛隊達。
彼等は時代に何を遺す事になるのか、
それを知らぬままに動いていく事となる……
戦国自衛隊ネタバレ・今後の展開
突如として戦国時代にタイムスリップ
してしまった30名の自衛隊隊員達。
装甲車に輸送ヘリや哨戒艇に、
大量の実弾や砲弾に爆薬などの近代兵器。
後の上杉謙信となる長尾景虎と共に
戦国の乱世を戦い抜く事になってしまいます。
平和な昭和の時代とは違い、
明日も知れぬ戦国の世に突如として
巻き込まれてしまった自衛隊員達。
最初は戦う事に躊躇してしまいます。
なにせ今まで相手と戦う事の無かった
自衛隊員達です。
突如として直面した初めての実戦。
また歴史に介入してしまえば
どうなってしまうのかと解らない不安など、
問題は様々にあります。
が、このままいても何も変わらない現状と、
戦わなければ殺されてしまう現実。
また戦わなければ生き残れない事実に直面し、
戦国時代に挑む事を決意していきます。
もしかしたら戻れるかもと、
微かな希望に望みをかけ、
また生き残る為に自衛隊員達は動きだします。
歴史を知るが故に、また数百年後の知識を持ち、
また最大の強みである近代兵器などを使います。
景虎を越後の長へとする為に
工作を開始し、越後の民を味方につけ
クーデターに成功します。
そしてその後には、日本各地の国々を攻め落とし、
日本統一への足かがりにしていきますが、
容易には進みません。
まず近代兵器の弱点である弱さ、
ガソリンや弾薬の補給が出来ない事があります。
最初は負け知らずに勝ち進んでいきます。
戦国最大の敵となる武田信玄との戦において
ヘリを失います。
また無敵の筈のトラックなどの
車両を破壊される等、
戦国の世を平定するのは容易ではありません。
また自衛隊員達の流れ着いた時代には、
いるべき筈の織田信長や徳川家康に
豊臣秀吉などがいません。
それが物語の重要なキーパーソンに
なっている等と見どころも十分です。
戦国自衛隊読んでみた感想・評価
日本の架空戦記の元祖とも言える自衛隊隊員達が、
近代兵器と共に戦国時代にタイムスリップ
してしまったら、どうなってしまうのか?
──と、そんな発想の下で創られた、
小説作家の半村良氏が描く仮想戦記。
それを漫画家・田辺節雄による劇画漫画として
描かれた今作。
後の数多に出る空想戦記作品に
多大な影響をおよぼす事となる名作となった、
あの「戦国自衛隊」の漫画化作品。
また軍事もの好きな自衛隊ファンには
たまらない内容になっています。
戦国武者VS自衛官と奇想天外な
組み合わせに、銃火器や現代兵器で
荒れ狂う時代を生き抜く躍動感。
現代の軍事知識を使い戦略的な構想を持ち、
戦国の世に治安を築いて治めていく
自衛隊隊員達の活躍。
心底楽しめる内容に仕上がり、
またSFの考証であるタイムパラドックス
の定義などにも忠実に再現。
SFファンタジーとして
何の狂いの無い表現を、劇画タッチで描く。
独特の面白さを演出し、
かつて読んだ歴史漫画に抱いた、
物足りなさを満足させてくれます。
歴史の漫画シリーズを読んだ時に感じた、
物足りなさ──
戦記漫画の圧倒的爽快感を見事に演出。
機関銃で戦国武者を薙ぎ払い、
装甲車やヘリで敵を圧倒していく、
あの独特の爽快感。
仮想戦記ものや自衛隊員の活躍する戦記物を
読もうとする前に、必ず読んだほうが良い、
そんなSF戦記入門とも言える本作。
タイムスリップした自衛隊の活躍に
満足できる内容になっています!
日本の歴史と軍事関係が好きな方は必見です
日本の歴史と軍事関係が好きな人には
おおススメな漫画作品「戦国自衛隊」。
仮想戦記とSF戦記の両方から見ても
楽しめる内容になっています。
もし戦国時代に近代兵器があったのならば、
その光景はどうなっていくのか。
また戦闘はどうなるのかと、
見ていて実に興奮できる内容になっています。
劇画の戦争漫画と実に漢くさい
内容ではあります。
しかしかつて昭和漫画のテイストを
じっくりと堪能し、
これぞ戦争漫画と楽しみたい方には必見です。