タイトル | 最近この世界は私だけのモノになりました…… |
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原作・漫画 | 唯登詩樹 |
出版社 | 集英社 |
朝起きたら、自分以外の人が
「消滅」していた!?
大学生、美希は極限状態で、
どうにか食いつなごうと
動き続けるが……。
災害とも違う奇妙な状況の中、
しかし逞しく生きていく美希の、
適度なドキドキ感も堪能できる、
新感覚サバイバル漫画です。
最近この世界は私だけのモノになりました……のあらすじ紹介
夜遊びを繰り返す
大学生、美希。
しかしある朝彼女が目覚めると、
その世界には美希以外の人類が
確認できなくなっていました。
テレビはもちろん、水道も電気も
まるで動かない状況で、
死体さえも見つかりません。
この状況の中で、お菓子や水を見つけ、
何とか食いつなぐ美希でしたが、
将来に対する不安はもちろんあり、
誰にも会えない孤独感も
深刻なものがありました。
そんなある日、自分以外の
生き残りである小太りの男性と
出会った美希は、
うっかり彼を撃退して
逃げてしまいますが、
結局は行動を共にします。
最近この世界は私だけのモノになりました……のネタバレと今後の展開は?
自由気ままに暮らし、
友達と遊んだりするような
人生を満喫していた美希。
しかしある朝目を覚ますと、
電気もテレビも水道も、
電話すら通じない状態に。
どうやら自分以外の人間が
突如として消えてしまい、
そのため美希は、
完璧な孤独の状態に
陥ることになってしまいました。
カップ麺やお菓子などを食べ、
水を調達してしのぐ美希。
都市部にいた上に何かの
災害が起こったのとも
違う状態なために、
幸い食料や水を調達するのは
難しくなかったのです。
さらに、ソーラーで
自宅の電気をまかなうタイプの
住宅を見つけた美希は、
そこで羽を休めますが、
もちろん寂しさや
将来の不安は払拭されません。
そんな中、階段を下りていると、
小太りの若者が声をかけてきました。
しかし、あられもない姿だったため、
反射的に踏みつけてしまい、
彼を階段から落としてしまいます。
太った人が苦手な美希は、
彼と離れてまた動き始めますが、
普通の人は見つからない一方、
美希をつけ狙い、襲ってくる
不審な存在だけは、しっかりと
認識してしまうのでした。
最近この世界は私だけのモノになりました……の読んでみた感想・評価
一見快適な割に、じわじわと
怖さが迫ってくる
作品だとも言えます。
普通に暮らしていたはずが、
ある朝目覚めてみると、
自分だけしかいないという
極限状態に置かれていた
美希さんですが、
精神的にはかなりタフですね。
もちろん落ち込む時もあり、
先行きの暗さにパニックに
なってしまうこともありますが、
極限状態をあえてエンジョイする、
「余裕」も感じられます。
そのため読んでいる側としても
追い詰められ過ぎることは
少なくて済みます。
むしろ誰もいなくなった街の
普段とは違う雰囲気を
満喫してみたり、
色々な意味で魅力的な
美希さんを堪能したりと
様々な楽しみ方ができますね。
反面特に冒頭序盤は、
他人と接することはなく、
敵が頻繁に襲来することもないので、
変化に乏しくなりがちですが、
その部分も魅力的な美希さんで
カバーがなされています。
そして序盤の舞台は都市部で、
しかも被災してもいないので、
従来のパニックもののように、
すぐに死んでしまうかもな
緊迫感を味わわずに済むのは
個人的には嬉しいところです。
さらに付け加えるならば、
発電所の人がいなくなっても、
電気を使えるという意味で、
ソーラー系の設備の
ありがたさが骨身に染みました。
地球から石油がなくなったら的な
シミュレーション番組でも、
最近では即座に人類滅亡、
あるいは文明崩壊のような
悲劇的な結論には
至らなかったりします。
その理由は太陽光を軸とした
自然エネルギー技術の
進展だったりするのですが、
本作を読んだことで改めて
新エネルギーの重要性が
理解できたような気がします。
最近この世界は私だけのモノになりました……はこんな方におすすめな作品!必見
世界を独り占めにしたい、征服したい、
そんな欲望を形にした作品は
最近では結構目にしますが、
実際に「本当に」独り占めしてしまうと
征服感を味わうどころではなくなります。
社会的なインフラはまるで機能しませんし、
指示を下せる部下を探せるかどうかも
かなり怪しくなってきます。
本作ではかなり徹底的に美希さんを
孤独に追い込んでしまうので、
サバイバル的な孤独感を嫌でも
味わってしまうレベルに
仕上がっています。
ただその一方で、平和な日常から、
人間だけがいなくなったという
ファンタジックな状況でもあり、
絶望的な状況であっても、
それを楽しめるだけの余地が
残されているのは斬新ですね。
状況からして仕方がないにせよ
ツラ過ぎるサバイバル物の描写や
争奪戦の状況がきついという方や、
いつも住んでいる街を
時には一人で満喫したい方には
非常に向いている作品かと思います。
また、ソーラー設備やレトルトなど
文明の利器の素晴らしさを
ドキドキしつつ再確認できるという
都市ならではの一面もあります。
男性向けの作品であり、
エンタメと割り切っても
面白い一作と言えるでしょうね。