タイトル | 機動戦士ガンダム短編集 新MS戦記 |
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原作・漫画 | 富野由悠季・矢立肇・近藤和久 |
出版社 | KADOKAWA / アスキー・メディアワークス |
宇宙世紀0092年……
ハマーン・カーンによる
第一次ネオ・ジオン抗争から
4年が経過した時代。
地球圏では新たなる
戦争の火種が生まれようとしていた。
新生ネオ・ジオンの総帥として
シャア・アズナブルが暗躍する。
地球粛清への準備を進める中で起こる
偶発的な戦場に再び
目を覚ます事となるガンダム。
それと対峙するジオン兵士達の戦いの物語。
人々は戦争を捨てる事はできないのか?
機動戦士ガンダム短編集 新MS戦記あらすじ紹介
ジオン公国における英雄的パイロット
シャア・アズナブル指導の下。
モビルスーツパイロットとして
素養を高めていたハマーン・カーン。
アクシズを拠点にザビ家の正統後継者である
ミネバ・ラオ・ザビを総統とし、
摂政としてジオン公国残党組織を指揮。
ネオ・ジオンとして軍備を
復活させる事に成功する。
地球圏支配に向けて軍事行動を開始した。
のちに第一次ネオ・ジオン抗争と呼ばれる戦争。
地球連邦内部を二分派した
エゥーゴとティターンズの決戦である
グリプス戦役で疲弊した地球連邦政府を
さらに追い詰めていく。
しかしネオ・ジオン内部の一部勢力の
離脱と離反により、ハマーン体制下の
ネオ・ジオンは内部抗争を勃発させてしまう。
そしてネオ・ジオンは自滅の道を歩んでしまう。
指導者ハマーンの死によるネオ・ジオン消滅後、
地球圏ではいくつかの武装組織による
地域紛争の懸念が遺る。
またジオン・ズム・ダイクンの遺児である、
キャスバル・レム・ダイクンこと
シャア・アズナブル。
自身のカリスマ性を利用し、
ネオ・ジオンを再編成していた。
勃発するジオン残党兵力が引き起こす
地域紛争が激化する新たなる戦争の時代の中。
歴戦の古参パイロットである
フレデリック・F・ブラウンは
ジオン兵士として再び連邦へと挑んでいく……
これはそんな宇宙世紀の戦乱に
戦い生き抜いてきた英雄達の物語でもある。
機動戦士ガンダム短編集 新MS戦記ネタバレ・今後の展開
シャア・アズナブルによって再編成されつつある
ネオ・ジオン軍との偶発的な局地紛争を続ける
混沌とした宇宙世紀0092年。
そんな終わりなき動乱の時代を舞台に
描かれる地球連邦政府とネオ・ジオンの
新たなる戦乱を予期させる時代を描く今作。
各時代ごとに描かれるMSと
パイロット達の物語が描かれます。
一年戦争終結後の時代を舞台にした
シャアとハマーンの物語。
そしてジオン残存勢力であり、
歴戦の戦いを生き抜いてきた
フレデリック・F・ブラウン大尉。
彼らを主人公にした物語で、
今作は進んでいきます。
この作品の代表的な物語となるのが、
第2話と第3話。
ニュータイプでは無くても、多くの激戦を潜り抜け、
一年戦争からグリプス戦役に
ネオ・ジオン抗争などを転戦。
シャアの率いるネオ・ジオン軍
第66MS小隊として編入された
フレデリック・F・ブラウン大尉。
彼の戦場での活躍が
最大の見せ場となっています。
フレデリック大尉はシャアが計画する
地球粛清計画の為の核弾頭を確保するために、
地球降下作戦へと挑みます。
目標地点は、地球連邦軍管轄となった、
かつては旧ジオン軍の
重要資源施設であったオデッサ。
本作戦の重要目標であるのは、オデッサに存在する
マ・クベ鉱山基地跡にある核兵器の確保が
彼らの任務となります。
長く続く戦乱と紛争により、
疲弊した地球連邦政府。
しかし幾度なく続く混乱と動乱の中で
ようやくに軍備体勢を整えます。
しかしいかんせんパイロットが不足し、
少数精鋭のジオン軍相手に
苦戦を強いられる事となります。
はたして彼は生き延びる事ができるのでしょうか?
機動戦士ガンダム短編集 新MS戦記読んでみた感想・評価
今作品は大友克洋先生や『小林源文先生』
などの漫画作品に強い影響を受けた作者
である近藤和久先生の作品です。
「機動戦士ガンダム」の世界を濃い画風に
しているのが特徴。
またSF作品でありながらもミリタリー色の強い
リアルな戦場の描写へと表現されている事が、
当時話題を呼んだ。
後の映画作品となる
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」。
これへの布石ともなる、
ネオ・ジオン紛争後の空白の間を
独自解釈によって構成しています。
また原作のイメージを崩さない様に、
宇宙世紀の歴史を踏まえながらアレンジされた
物語になっています。
この作品で最も楽しめるのは、
近藤先生による独特なMSデザインが施された
モビルスーツの設定です。
また機動戦士ガンダムを下地に
している作品の中では珍しく、
ガンダムではありません。
ジオン側のモビルスーツであるギラ・ドーガが
主人公の愛機として登場。
ニュータイプの素養もない、
歴戦を潜り抜けてきた
エースパイロットとして戦い抜いていく。
そんな歴戦の勇士である彼が、
シャアやハマーンなどと
どのように関わってきたのか。
原作を壊さずに描かれている事に、
その面白さがあります。
またそれぞれ短編集の意味合いがあるも各話が
しっかりガンダムの設定を活かしています。
物語構成が成され演出されているのが
見どころとなります。
独特な軍事テイストと
それをリアリズムで表現する、
新しいガンダムの世界観。
それを楽しみたい方に
おススメできる内容の作品です。
また今作の第1話となる
宇宙世紀0083年を舞台にした物語は、
ハマーンがシャアに戦闘の指導を受けています。
またあのパプテマス・シロッコが、
ガンダムタイプのモビルスーツに
搭乗しているなど、
後のZガンダムの前日談とも言える内容。
それに加え、第2話となる物語では、
フレデリック大尉がマ・クベ鉱山基地地下に眠る
核ミサイルを巡り戦う内容です。
第3話は敗走しながらも、再び宿敵と合間見える
フレデリック大尉の奮闘。
ガンダムテイストを深く盛り込みながらも、
戦場を戦い抜く英雄の矜持が熱く描かれています。
他には「機動戦士ガンダム」をさらに
登場人物の深みから見つめなおした作品
『機動戦士ガンダム The ORIGI』も見る価値ありです。
ファーストガンダムの世界観が好きな方におすすめ
1989年代のガンダムブームを体感した人や、
またファーストガンダムの
世界観をこよなく愛する人。
そういう人に読んでもらいたいのが、
この「新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集」。
この作品はガンダム漫画の中では
知る人ぞ知る名作として
知られている漫画作品でもあります。
各話を短編として描き、
宇宙世紀の戦争に搭乗したMSを駆り、
戦場を戦い抜く兵士達の物語が熱く。
そして戦場のリアリズムが、
SFの世界観を現実感のある戦場へと
書き現しています。
これが、今作品の最大の見せ場
とも言うべき場面となっています。
ガンダムシリーズがSF作品として挙げられるも、
リアリズムが少ないとも言われました。
当時のマニアの間では機動戦士ガンダムは
リアル路線のSFではないと言われていた時代。
そんな時代において、
近藤先生はその中に合えてこう書いています。
ミリタリー色の強い演出などを盛り込み、
空想兵器の産物であるMSをリアルに描く。
またディテールなどを独自デザインで書き現し、
ガンダムの世界観の中に
リアリズムを創り出しました。
また近藤先生がデザインしたMSが
独特性のあるデザインになっています。
ミリタリー色の強い武骨な
兵器を彷彿させています。
しかしMS独特のデザインセンスが活かされるなどで
モデラ―の高い評価を受ける等、
多くの支持を受けた今作品。
ガンダムの新しい魅力を模索する人や、
かつてファーストガンダムに惹かれた
あの頃を思い出させてくれる内容の作品です。