タイトル | 波打際のむろみさん |
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原作・漫画 | 名島啓二 |
出版社 | 講談社 |
釣り好きの少年拓朗は、
しょっちゅう人魚の
むろみさんを釣り上げる。
しかしむろみさんは
とても明るく楽しく
友好的な人魚だった。
可愛らしくしかも考証的に
非常にしっかりとした
「擬人化」、「萌え」が楽しめる、
アニメ化もされた、
ハートフルドタバタコメディーです。
波打際のむろみさんのあらすじ紹介
釣り好き少年向島拓朗が、最近
しょっちゅう釣り上げるのは、
むろみさんという人魚。
博多弁を操る彼女は
とても快活で明るく、
可愛らしい女の子ですが、
一方、超長命にも関わらず、
バンバン人に釣られたりと、
おっちょこちょいな感じです。
しかしむろみさんや他の人魚、
あるいは河童やクラーケンなど
「想像上の生物」の方々は、
海中で謎の文明を発展させ、
携帯なども使いこなすなど
現代社会にも完璧に対応。
そうしたこともあって、
むろみさんは拓朗たちと
さほどのズレを示すこともなく、
至って平和かつ明るく
人間たちと仲良く
絡んでいくのでした。
波打際のむろみさんのネタバレと今後の展開は?
釣り好きの高校生向島拓朗。
ごく普通のどこにでもいる少年、
ではあるのですが、彼には
他の人とは違う部分がありました。
それは釣りをしていると、
しょっちゅう人魚の女の子が
釣れてしまうということ。
その女の子はむろみさんと言い、
博多弁と明るい表情が特徴の
可愛らしい人魚さんですが、
実はとても長生きであり、
魔女狩りに報復したことも
あるという実力者でした。
とは言えむろみさんたち
「異生物」たちの多くは
とても人間に対し友好的で、
二日酔いになるまで
飲み騒いだりと、とにかく
付き合いやすい存在でした。
もっともむろみさんも
長生きしているだけあって、
元彼に冷たくされたために、
鯨やイルカなどの海生哺乳類に
恨みを持っていたりもしていますが、
拓朗たちには関係ありません。
むしろ、ドタバタと明るく楽しく
むろみさんたちと過ごすうちに
彼女たちの「先輩」としての
スタンスや意見を見聞きすることで、
少年の心にも微妙な変化が
あったりするのでした。
波打際のむろみさんの読んでみた感想・評価
一発ネタのようでいて、
案外とても奥が深く面白い、
ギャグの見本のような作品でした。
今やあらゆるものが擬人化され、
「萌え」的になっている昨今、
お魚やあるいは人魚のような、
想像上の生き物に関しても
それはあてはまります。
となると、単に擬人化された、
可愛くなっただけではなく、
その「内容」が大事になり、
問われていくわけですが
本作むろみさんは、
その濃密さが素晴らしいです。
まず、ヒロインたるむろみさんが
非常に明るく可愛く、
しかも面白いのがいいですね。
何かと言うと鱗をくれたり、
尻尾が傷ついても気にせず、
とにかく大らかなのに、
怒ると意外と怖かったりと
二面性があるのが楽しく、
またリアクションも豊かです。
また、作品の世界観自体が、
割と当たり前に人と人魚たちが
共存していたり、
海の中にも謎の技術があったりと
良い意味での適当さがあり、
肩の力が抜けるのも良いですね。
本作は出世魚さながら、
短期連載からレギュラーとなり、
アニメ化されるまでに至った、
大ヒット作なのですが、
それも納得の「根幹的」な
面白さがあります。
魚類に対する愛を感じる描写など
細部にわたるこだわりも強く
何度も読み返したくなる一作です。
波打際のむろみさんはこんな方におすすめな作品!必見
動物、想像上の生き物、そして無機物……、
あらゆるものが擬人化され、あるいは
「萌えキャラ化」されている昨今ですが、
実際に可愛くなってしまうためか、
設定が甘くても許される的な
風潮が垣間見えることもあります。
しかし本作「むろみさん」は、
とにかくハチャメチャで明るい
人魚さんを主人公にしながら、
魚類全般に関するディティールが
非常に繊細で丁寧であり、
そこが楽しさにも繋がっています。
もちろんむろみさんを筆頭とする
人魚さんや河童さん、
あるいはクラーケンさんたちは、
空想上の生き物ともされているので、
「実在はしていない」わけなのですが、
そうした部分へのこだわりもあります。
きっちりとした「土台」があってこそ、
「萌え化」もいっそう魅力的になると
考える読者の方にもオススメの一作で、
しかも長年生きているむろみさんが、
とにかく可愛らしく面白く、
キャラとして「強い」特徴があります。
友好的に人間に接したかと思うと、
お酒を飲みすぎて二日酔いになり、
KO寸前の状態になったり、
はたまた釣り上げられるだけでなく、
マグロのように打ち上げられたりと
まったく予想がつきません。
しかし予想がつかない中でも、
悪い意味での「裏切り」はなく、
読者の心がほっこりするような、
いい感じの仕掛けが多いのも
読んでいて嬉しいところですね。