タイトル | 王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ |
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原作・漫画 | 大河原遁 |
出版社 | 集英社 |
イタリアを舞台に日本人の仕立て屋が
様々な依頼人の問題を、服飾を通して
解決していくハウツーを兼ねた
ストーリー漫画。
紳士服を中心に小物やアンティークの他、
歴史・文化なども交えて生活に
必要不可欠な『衣』を多彩な
キャラクター達が読者に伝えていくお話。
王様の仕立て屋~サルト・フィニート~のあらすじ紹介
伝説の仕立て屋である師匠
『マリオ・サントリヨ親方』の
唯一の弟子である日本人職人
『織部悠』は、師匠の莫大な
借金を返済する為、ナポリの
泥棒市でサルトを構えている。
20代後半から30代前半に見える
風貌と、日本人という人種から
客に不安を抱かれるが、
彼の仕事は完ぺき。
どんな難しい依頼も、持ち前の力量と
幅広い服飾の知識、ナポリで仕事をする
彼の度胸と価値観が着ることの
満足だけでなく、時には関わる者の
人生観すら変えてしまう。
そんな彼はある日、
靴磨きの少年と出会うが…
王様の仕立て屋~サルト・フィニート~のネタバレと今後の展開は?
師匠の残したマフィアの借金である
日本円にして1億円ほどの金額を、
織部は様々な依頼を時に強引に
こなすことで少しずつ返済していった。
その中で出来た繋がりが、やがては
貴族や上流階級、ひいてはフランスや
イギリス、アメリカなど他国での実績も
評価され、彼の生活は以前ほど
荒んだ状況ではなくなっていく。
そんなある日、ナポリ屈指の
実力者であるベリーニ伯爵に
織部の仕事は独自性がなく
猿まねに過ぎないと看過される。
他人から初めて指摘された己の
弱点に意気消沈してしまい、
店を閉める決意をする織部。
だが、それまでの仕事で出会ってきた
人々が彼に協力し、ベリーニ伯爵の
結婚記念日用の一着を仕立てる
依頼を見事完遂させ、
信頼と自信を取り戻す。
織部を認めたベリーニ伯爵は
彼の持つ技術を絶やしてはいけないと
考え、マフィアからの借金を肩代わりし、
裏社会から手を切るよう手筈を整えた。
さらに追加融資として自宅兼
作業場とは別に店舗を借り、
織部に店を出すことを提案する。
これを受け入れた彼は
『サルトリア・オリベ』を開店し、
新たなスタートを歩み出した。
王様の仕立て屋~サルト・フィニート~の読んでみた感想・評価
人間に不可欠な食べること、住む場所。
そういう要素を主軸にした漫画は
多々あれど、着ることをメインにした
漫画はそうそうないと思う。
本来ならうん蓄がほとんどを
占めてしまいがちな題材を、
ここまで読み物として面白いと
思わせることはなかなか
できることではない。
それは主人公である織部の魅力も
当然ながら、多種多様な
キャラクター達が織りなす、問題ごとの
解決方法とそれに
たどり着くまでの過程だろう。
どんな格好がカッコいいのか、
どんな方法なら着こなせるのか、
こんな場面ならどういう
格好をすればいいのか。
誰もが一度は迷うTPOや着こなしを、
説得力のある知識と意外性のある考え方で
提示していくから、ページをめくる手が
止まらなかった。
オーダーメイドが当たり前の
世界観において、日本人のスーツ文化とは
また違うところがあるのも新鮮で面白い。
圧倒的な上流階級の着こなしから、
靴下や鞄など誰もが持っている小物にも
言及していく身近さも
面白さの一つだと思った。
王様の仕立て屋~サルト・フィニート~はこんな方におすすめな作品!必見
服に興味のある方はもちろん、
普段はジャージやスウェット、
健康サンダルしか着ない人にも
お勧めできる漫画だと思う。
前者は言わずも、うんちくや
実用的知識が学べるという点で
読む価値があり、後者に至っては
こんな世界が実際にあるんだと
思わせる構成になっている。
特に、ブラックジャックや
美味しんぼなど、独特の価値観を
持った天才が活躍する物語が
好きな方ならば間違いなく
面白いと感じるだろう。
さらにこの漫画はかわいらしい
キャラクターが多く、絵の安定感も
あることからキャラクター重視で
読んでみても面白いと思う。
一話完結とある程度話をまたいで
展開されるストーリーで、最初は
ぶっきらぼうな主人公が技術と
内面共に成長していく様も
見ていて飽きない。
小ネタも豊富で、随所にわかる人には
わかるような要素が入っているのも
マンネリになりがちな職業モノの
清涼感である。
オシャレをしてみたいなと思ったら
一度読んでみると色んな発見が
できる漫画だと言えるだろう。