タイトル | 約束のネバーランド |
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原作・漫画 | 白井カイウ 出水ぽすか |
出版社 | 集英社 |
近未来の孤児院を舞台にした
子どもたちの脱出劇。
一緒に育った仲間たちを見捨てられない、
という心理的制約が課された
頭脳&心理ゲーム。
生存を賭けた
天才少年・少女と
狡猾な大人のだまし合い――
絶望と希望が交錯する
白熱のサスペンス!
約束のネバーランドのあらすじ紹介
元気いっぱいな子どもたちが
優しい「ママ」の下で
幸せに生活する孤児院。
その中でも最年長のエマは
面倒見の良さと快活な性格で
みんなから好かれていて、
同い年のノーマン、レイと共に
「学校の代わり」で実施されるテストでは
高度な難問も常に満点を取る秀才。
孤児院の子どもたちは
遅くても12歳までには
里親の家へ移されることになっており、
そこでの幸せな暮らしが
憧れにもなっていた・・・が。
約束のネバーランドのネタバレと結末(最終回)は?
新たに孤児院を巣立つ
のんびり屋の少女・コニー。
ママのような優しい母親になりたい、
と願うコニーの宝物は
ママからもらったウサギのぬいぐるみ。
ところが出発の夜、
その宝物はベッドの上に忘れられていて、
エマは急いでコニーを追います。
夜の孤児院は施錠されていて、
規則上でも建物を出るのはアウト。
「コニーの気持ちを考えたら
早い方がいい」
それは
エマの優しさとノーマンの頭脳、
そしてレイの観察力が生んだ偶然――
まだコニーが近くにいると確認し
ドアのカギを難なく解錠して
宝物を届けに行くのですが・・・
エマたちが見たものは
瓶詰めにされたコニーの死体と
それを食べようとする異形の化け物。
さらに化け物たちに追従し
子どもたちの「出荷」を約束する
ママの冷徹な顔・・・
幸せな生活がすべて偽りだったことに
激しく動揺しながらも、
エマは孤児院からの脱出を決意します。
しかしながら相手は
長年、天才少年たちをだまし続けた
ママという最強の頭脳。
表面上は何も気付かないフリをしながら
着実に脱出に向けての準備を重ねる、
エマたちの長い戦いが始まったのです。
約束のネバーランドの読んでみた感想・評価
悲壮な設定の割には
そこまでグロくはなく、
楽しんで読める印象です。
登場人物の大半が子どもだからか、
表情もコミカルで楽しく
微笑ましいシーンも多数。
――しかしそれは表面上。
お互いに平常を装いながらの
だまし合いという戦いなので
笑顔なのは当たり前。
真意を気付かれないために
無邪気な演技をしている、
独特の緊迫感が伝わってきます。
特にママの追及をかわすシーンなど
読んでいるこちらまで
胃がキリキリしそうでした!
物語が進むにつれて
エマたちの個性が次第に深まるのも
大きな見所のひとつ。
エマ・ノーマン・レイという
3人の天才児たちは
共通点が多い印象が最初あったのですが
クライマックスに近づくにつれ
三者三様の性格や背景の違いが出る、
そのドラマがすごいのです。
ですが、よくよく考えれば
命が脅かされる状況で
性格が急変していくなど当たり前。
もし普通の世界で生きていたなら
みんな子どもらしい
幸せな笑顔でいたんだろうな・・・
と、感じさせるシーンが
ちょっとした回想とかで出てきて。
これがもう、ずるい!
と言いたくなるぐらい
胸を打って泣きそうになりました。
本当に、最後はみんな
ハッピーエンドになってほしいです。
こんな方におすすめな作品!必見
脱出ゲームが好きな方なら
物語の展開に入り込みやすいでしょう。
『リアルアカウント』に少し
似ている部分もあります。
序盤の展開など、まさにそれで
・孤児院内の既存の道具から
脱出の仕掛けを作る
・本の出版記録や窓からの景色から
大まかな脱出ルートを探る
・発信機や警報があるため
決行の日までは下見にも限界がある
などのように、
ゲームっぽい話が多いです。
しかし単なるゲームっぽい話では
終わらないのが本作品の魅力。
途中から参入する
「シスター」の登場を切っ掛けに
高度な知能戦が展開されます。
本来なら敵となる人間どうしが
利害関係のために一時共闘、
利害関係だけでつながっていた者に
ほんの一瞬
本気の情がわく・・・
こんな展開が大好物な方も
多いのではないでしょうか?
頭脳戦を描いた作品だと
人間関係があまりにドライだったり
トゲトゲしい気分になることも多いですが
そういうのとは違い
キャラたちの感情がしっかり描かれて
読み味もちょっと明るくなっています。
気分が暗くなるから
頭脳戦の話は嫌、と敬遠していた方は
この機会に
天才たちの高度な戦いを
楽しんでみてもいいかもしれません。