タイトル | 絶望ベイビー |
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原作・漫画 | 桜田雛 |
出版社 | 小学館 |
高校でぼっち生活を送っていた香澄。
人生に希望が持てない彼女を
一変させたのは、ヤンキー的で
獣のような迫力を持つ、
富豪の息子瀧千からの
予想できない告白だった。
定番のシンデレラ物語ながら、
パワー系のギャグが豊富で
重い設定もカラっと笑える、
面白系の真摯な恋物語です。
絶望ベイビーのあらすじ紹介
高校に入学したものの、
まったく周りとは馴染めず
ぼっち生活を強いられていた、
地味系少女の香澄。
しかし彼女の辛いが平凡な日常は、
ヤンキーな風貌と不良的な態度を
全開させる瀧千により一変。
有名な石動グループの子息であり、
学校にベンツを乗り付けてくる彼は
とにかく強引に香澄に告白しますが、
今までぼっち生活だった香澄は、
告白を受けるか否か以前に、
パシリにされるとしか思えません。
もっとも瀧千は不器用ながらも
一生懸命にアプローチを続け、
香澄にも影響を与えますが、
なかなか恋愛にまで発展する、
歯車のうまい絡み合いは
見られないのでした。
絶望ベイビーのネタバレと今後の展開は?
高校に入学して三ヶ月、
彼氏どころか友達もできず、
完璧なぼっち生活を
余儀なくされていた香澄。
しかしそんな学校生活が、
学校に不自然に停まったベンツから、
出てきたヤンキー系の男により、
急激に一変することになります。
そのヤンキー系男子の名は石動瀧千。
有名な石動グループの子息であり、
アプローチしてきた女子が
気に障ったからとクラスを替えるほどの、
超強力な俺様キャラでしたが、
ハンカチを畳む香澄の姿に一目惚れ、
俺の女に、と追いかけられてしまいます。
幸い香澄の足は遅くなく、加えて
しつけのために廊下では走れないという
石動の「体質」もあって、
その場はどうにか逃げ切りますが、
お花の世話をする香澄に追いつき、
さらに声をかけていきます。
一方、あまりに展開が急過ぎる上、
瀧千の見た目と態度が強烈過ぎたため、
香澄の方はと言うと、
告白されたどころか、
パシリにさせられると、心底、
彼に恐怖を覚えます。
さらに香澄は、瀧千と話したことで
周りからの注目を浴びますが、
パシリ扱いということで見下され、
またも辛い状況に
追いやられてしまいます。
その時現れたのが当の瀧千ですが、
彼は自分で反論しようとしない
香澄の態度に怒り、
トイレの個室にこもる香澄の
心を開かせようとしますが、
誤解は延々と解けないのでした。
絶望ベイビーの読んでみた感想・評価
定番のシンデレラ物語と思いきや、
王子が予想以上にヤバい上に
かなりのポンコツだったりで、
非常に笑いのツボを押さえた
爽快な作品でしたね。
本作のポイントは何と言っても、
獣のような存在感を放つ
「王子」である瀧千です。
しかし単にちょいワル系の
オラオラした若者ではなく、
ファッションはまるでヤクザ全開、
肉体はゴリゴリのマッチョと
危険な匂いが全開の男です。
しかし、優しさを見せる
地味系女子の香澄に
一目惚れしたりと、
案外可愛らしいところがあるので、
パワー系のギャグもハードでなく、
カラっとした笑いになっています。
また、瀧千は子供の頃からの
しつけのためか廊下は走れず、
自転車にもロクに乗れないなど、
謎と思えるほどのお坊ちゃんぶりと
ひ弱さを併せ持ってもいますので、
「人間味」もまた強烈なレベルです。
しかし、ここまで強力な個性を持ち、
自分を不器用に押し通す彼が
そばに来たことで、今まで
まったく冴えることがなかった
香澄さんの人生が変わるのも
また納得といったところです。
ドタバタ激しく笑えるような
展開の中でも、香澄や瀧千の
若者らしい真摯さが、
グッとくる部分も多く
思わずグイグイと引き込まれて
読み進めてしまう一作でした。
絶望ベイビーはこんな方におすすめな作品!必見
学校やクラスで馴染めない、さらに言えば、
いじめられてしまっている状況では、
彼氏や彼女を作ることなど、
まったく想像もできなくなるものですが、
そうした作られた殻を壊すには
強烈なパワーが必要です。
もっとも普通は他人にそれほどの
パワーを提供する人は少なく、
だからこそ自力が大事という、
当たり前の話にもなっていきますが、
本作の瀧千はまったく違います。
一目惚れした香澄に対し、
異様なほどに泥臭く強烈な
「愛情」をぶつけてきて、
特に必要がなくても権力を
行使するような勢いで
全力で対峙してくれます。
しかしゴリゴリのマッチョで
ヤンキーと言うよりは
ヤクザ的な風貌ながら、
しつけのため廊下は走れない、
自転車には補助輪必須など、
妙なヘタレさが笑いを誘います。
冴えない女の子を王子様が
助けに来るという定番ながら、
予想がしにくいほどの、
強烈かつ個性的な展開を
満喫したい方にはオススメです。
また、香澄目線では結構
重い話でもあるのですが、
瀧千の個性が強烈過ぎるので、
面白系方向へと中和が働き、
いい感じに仕上がってもいて
ストレスなく読み進められます。