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箪笥の中のネタバレと感想です!結末ってどうなる?

箪笥の中

この記事は約 5 分で読めます。
タイトル 箪笥の中
原作・漫画 宮脇明子
出版社 集英社

父方の祖母の葬儀が怖くて、
場に馴染めなかったケイコが、
留守番の際に見たのは、

箪笥の中に入った、
野辺送りになったはずの
祖母の姿だった……!?

王道で定番な物語を基盤にしつつ、
強烈な情念をうかがわせる描写が
非常に鮮烈で印象にも残る、

身に迫ってくるようなお話満載の、
傑作ホラー短編集です。

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箪笥の中のあらすじ紹介

病気で長い間入院していた詩織の母は、
退院し体調が回復してくるとともに、
お気に入りの舶来品を扱う店に、

詩織を伴って頻繁に足を運んでいました。

「舶来品の店」と母が呼ぶその空間には
各国出身の幻想的な調度品が並び、
店主もエキゾチックな魅力がありました。

店主と母は、詩織にここで待つようにと
言い残して二階に上っていきました。

店に並ぶアイテムが珍しく、大人しく
その場で待つつもりの詩織ですが、
ふと猫の姿につられ階段を上ると、

そこには裸で絡み合う、
店主と母の姿がありました。

もちろんその時のことは聞けず、
母も間もなく再入院しましたが、
孤独になった詩織を、

モモコという、
詩織が保育園の時の先生が、
色々と世話をしてくれました。

しかしある日、母の妙な指示が
詩織に対して下ったタイミングで、
モモコ先生と詩織の父が、

不幸に見舞われることになります。

(「舶来品の店」)

箪笥の中のネタバレと今後の展開は?

ケイコはまだ幼い頃、
父方の祖母のお葬式に出席しました。

身近な人が死んだという意識が
まだ薄い年頃ですので、
悲しみ泣くことはありませんでしたが、

全ての儀式の何もかもが怖く、
祖母が飼っていた猫が死んでいたことにも
恐ろしさを感じていました。

まだ幼すぎるからと、野辺送りには
参加できず留守番していたケイコは、
弟と一緒に駆け回る最中に、

タンスの中からうめき声が
聞こえていたのを聞き取ります。

もしかしたら猫のミーコが
入っているのかも知れないと、
根拠なく予感したケイコは、

迷わず引き戸を開けますが、
そこで見たのは、野辺送りに
行ったはずの祖母の遺体でした。

しかし気が付くとケイコは
眠っていたらしく周りから覗き込まれ、
祖母の姿はもちろんありませんでした。

夢でも見たのだろうと親族に言われ、
その話は一旦終わったのですが、
十年後、叔父がケイコを訪ねてきます。

元々叔父はロクデナシと、親族から
悪い噂を立てられていた人でしたが、
邪険にも扱えず家に上げます。

するとその叔父は、ケイコの祖母が、
亡くなる直前彼に向かって、
毒を盛られて死んだと告白したと、

また猫のミーコが死んだのも、
祖母の食事を盗み食いしたからだと、
ケイコに告げてきたのです。

ケイコの両親は、借金を抱え、
評判が悪かった叔父の言葉を
まったく信用しませんでしたが、

時は流れ、母の死を目前にしたケイコは、
そんな親戚からの妙な話と被るような
ある告白を母からされたのでした。

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箪笥の中の読んでみた感想・評価

王道的な導入や物語ですが、
その内部には他では見られない
暗く深い「情念」を感じる、

隠れた名作と言って良い
短編集だと思います。

涼を求める夏場にはもちろん、
人の集まる場においては、
何かと怪談話が語られますが、

本作に収録されたお話は、
概ねその王道ラインに
乗った感じだと言えます。

親族の葬儀や入院によって
その人たちの情念が
一気に噴き出るといった構図ですが、

本作は細部にわたって、
その暗い情熱が徹底的に、
描き抜かれているんですね。

多くのパワー系のドロドロ物語では
大ヤマにはならないような状況、
しかしそうした中でも彼女たちは、

恐ろしいほどに「エネルギー」が
満載された表情を
ふいに見せたりもするんですね。

今まで慕っていた母親や親族が
ふとした時にあんな表情を
しているのを見てしまったらと思うと、

ただ背筋がぞっとするだけでなく、
精神的な部分にも、かなり
刺さるものがありましたね。

しかし現実問題、信じられないような
事件やトラブルが秘められているのも
ままあることだけに、

本作で感じる恐ろしさは、ある面で
真実の一端なのかも知れず、
だからこそリアルを感じました。

箪笥の中はこんな方におすすめな作品!必見

妖怪変化が出てくる話は良くありますが、
自然としている彼らよりも、
人間の方が本当に怖いというのも、

案外良く聞く話ではあります。

しかし、実際問題現実はもちろん、
創作上においても、妖怪より怖い人間を
描き抜くことは簡単ではありませんね。

それは当然妖怪が、恐ろしさにおいては
長年の「専門家」であることもあり、
さらには人を設定上だけではなく、

真に恐ろしく描くには、人間自身に
深く踏み込む勇気と「目」の確かさが、
どうしても必要になるからです。

その点本作は、家族の葬儀や病気などの
ごくありふれた状況を起点にしつつも、
人の情念を強く感じさせる描写や、

美しい中にえげつなさを秘めた表情、
全体の構成などが非常に巧みであり、
極めて説得力を保っています。

短編集ということで、テンポ良く
話が進んで良かったと思えるほど
人間の深みに迫ったお話を、

満喫していきたい方には
非常にオススメできる一作です。

超能力や念力、霊能力など、
漫画作品にはありがちな「装置」が
一切出てこないだけに、

まったく逃げ場がない、そもそも
逃げていいのかも分からない怖さは
本作独特のものだと思います。

質の高いホラーは、派手な展開や、
グロテスクなシーンがなくても
十分に成立することを改めて学べる、

非常に質の高い短編集と言えます。

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