タイトル | 貧乏神が! |
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原作・漫画 | 助野嘉昭 |
出版社 | 集英社 |
容姿、スタイルとも抜群で、
しかも家は大富豪。
幸運を独り占めしているような市子に
貧乏神の紅葉さんがやってきて……。
主人公が高慢な富豪キャラという
非常に珍しいドタバタコメディー。
紅葉さんのキャラもテンポも良く、
アニメ化もされた大ヒット作品です。
貧乏神が!のあらすじ紹介
容姿に恵まれ、才能を持ち、
その上大富豪の家に暮らしている
桜 市子。
根っからの幸運体質の彼女ですが、
その幸運量は異常なレベルで、
しかも他人の運気を吸い取るなど、
社会全体のバランスを崩すものでした。
そのため異世界から、貧乏神の
紅葉さんが派遣されてきて、
幸福エナジーを吸い取ろうとしますが、
あらゆる面で強い市子は、
貧乏神にもまったく屈せず、
もの凄い力を発揮したりして、
様々な紅葉さんの策略をも
跳ね返していくのでした。
貧乏神が!のネタバレと今後の展開は?
生まれつきもの凄い美貌と財産、
様々なジャンルへの才能がある、
桜 市子。
あらゆるものを持った彼女は、
周囲の嫉妬さえも意に介さない、
豪快な生活を送っていましたが、
実はそれは、半ば手違いなほどの
「幸福エナジー」が原因で、
そのバランスを正すため、
異世界から貧乏神の紅葉さんが
市子のもとにやってきます。
市子さんの幸福エナジーは
他者より異常に多いだけでなく、
他人のエナジーを吸い取ったりする
有害な一面も持っており、
そのために市内全体の幸不幸のバランスが
非常に崩れており、是正が必要とのこと。
しかし、市子もはいそうですかと、
今までの充実した生活を
手放す気にはなりません。
そのズバ抜けた身体能力により
紅葉さんたちを撃退し、
エナジー吸引は免れます。
しかしその翌日、市子の誕生日に
ずっと身近にいてくれた、
執事の諏訪野さんが倒れてしまいます。
今や唯一の身近な存在である彼の窮地に、
市子は涙を流すほど動揺し、
貧乏神の紅葉さんをなじりますが、
紅葉さんは市子が原因だと断言します。
単に量が膨大なだけでなく、
他人の幸福力をも吸い取ってしまう
性質を持つ市子の近くに、
ずっといたことが原因なのだと、
紅葉さんは核心に迫ります。
自分の「幸運」のために
諏訪野が不幸になると知った市子は、
あっと驚く行動に出るのでした。
貧乏神が!の読んでみた感想・評価
新感覚の主人公像に、
思わず大爆笑の作品でした。
何らかの事情で主人公に
強力な存在からの呪いが、
という展開は多いですが、
この桜 市子は、あまりに幸福力が強く、
それが他者への害にもなるために
エナジーを吸収というわけで、
最初から優遇された位置にいますが、
にも関わらず性格がいいということはなく、
とにかく高慢で空気を読まず、
しかも無自覚系のイヤミを
してしまうタイプの少女です。
しかもエナジーが超強力なので、
貧乏神の力をもってしても
没落したりはせず、
逆に天然素材な実力で
神を撃退してしまうような
超強力な実力の持ち主。
そんな事情があるため、
ちょっとしたピンチが訪れても
基本的には切迫感はなく、
むしろ市子がどうやって
相手をメチャメチャにして
切り抜けていくのかが、
段々楽しみになってきます。
一方の、彼女のエナジーを狙う、
貧乏神の紅葉さんも、
常に面倒くさがりである一方、
強力な実力を持つ上、
かなり手段を選ばない
ヤバい意味でナイスな性格で、
「龍虎相打つ」的な
ワクワク感が楽しめました。
貧乏神が!はこんな方におすすめな作品!必見
全ての人に当てはまる問題だからか、
「お金」に関する話は創作でもつきもので、
しかも現実よりも誇張されがちです。
とは言え、貧し過ぎればチャンスに乏しく、
豊か過ぎれば話としてメリハリに欠くため、
そうした「お金持ち」、「貧乏」キャラは
ライバルや脇役だったりするのが常ですが、
本作の市子はガッツリお金持ちであり、
その高慢な姿勢や苦労知らずなところなど、
テンプレ的な「嫌な金持ち」像を
フル装備している珍しい主人公です。
そのために色々と他人から敵意を向けられ、
あるいは直接的にキれられたりと、
かなり主役っぽくない感じなのですが、
そのことがむしろ、「持っている不幸」を
示してもいるとも言え、市子からは
自動的に人が離れていったりもします。
「外見だけはいい」タイプの裕福キャラで、
仕事のためにやってきた貧乏神も、
思わず私情からキれてしまうような
そんな強烈な内面を持っているのですが、
心底からのゲスではなかったりして、
目が離せないタイプのキャラではあります。
また、こうした怪異で問題解決系の
作品ですと、主人公と周りの関係が、
常に良好だったりするのですが、
市子の色々とキツい性格のために、
周囲の仲間や同級生とも、
殺伐感漂う関係なのも斬新です。
どうしても主人公サイドが
優遇されやすい設定の中、
「甘さ」が見えない作品であり、
意外とかなり突き抜けている市子と
貧乏神の馴れ合いなしのドタバタを
楽しめるなら非常に面白い作品です。