タイトル | 軽井沢シンドローム |
---|---|
原作・漫画 | たがみよしひさ |
出版社 | 小学館 |
軽井沢の別荘地を舞台にした若者群像劇。
ある日、東京で活動していた
若手カメラマン「耕平」と
イラストレーター「純生」が
故郷、軽井沢の別荘に転がり込んで
きたことで、その二人を中心に様々な
恋愛模様などが繰り広げられる。
軽井沢シンドロームのあらすじ紹介
高校を卒業したあと家出をして
東京で活動していた
若手カメラマンの相沢耕平と
イラストレーターの松沼純生。
しかし会社を独立してフリーになったものの
生活費が無くなり、軽井沢の別荘に澄む
「薫」(純生の姉)の家にやってくる。
やたらにもてまくる耕平を中心に
登場人物それぞれの恋愛が絡む。
また、実は耕平は元暴走族「Deep」の
総長であり、ストーリーの中では
暴走族の対立が要因の激しい
カーバトルも繰り広げられるが、
その中でも深い信頼関係が構築されていく。
軽井沢シンドロームのネタバレと今後の展開は?
主人公の「耕平」は恋愛に節操が無く、
登場人物のほとんどの女性と
一時恋愛関係や肉体関係を持つが、
ほかの登場人物どうしの恋愛については、
その応援役になる。
その意味でも飄々とした人柄ながら
信頼を得ている。
実はこの「耕平」と「純生」。
軽井沢で安穏と恋愛にあけくれて
いるように見えるが、
実はもともと大きな夢があって
軽井沢にやってきた。
それはフリーで活動するには
しがらみだらけで若手にチャンスが
回ってこない日本を捨て、
アメリカ、ロサンゼルスで、
それぞれプロカメラマン、
プロイラストレーターとして成功すること。
しかし耕平は幼馴染で恋人(のちに結婚)
の薫には隠していた。
純生も隠していたが物語の序盤で
それが薫にばれてしまう。
自分の夢か、それとも軽井沢で築いた
仲間や恋人との暮らしか。
物語の中にはその葛藤が
いつもどこかにある。
最終回には実際にロスに渡るが、
人間関係が崩れることはなく、
後年、続編の
「軽井沢シンドロームSPROUT」では
軽井沢で薫と暮らし、昔の仲間とも
良い関係を保っている。
この続編では主人公の子供たちの
世代がまた、新たなドラマを
展開していく。
軽井沢シンドロームの読んでみた感想・評価
人物の語り口が洒脱で含蓄があり、
時が流れても色あせないこと。
軽井沢の風土もリアルに描かれていて、
時に台詞回しにも
文学的な表現があり味わい深い。
登場人物は話の展開によって
シリアス調になったり
3頭身になったりするが
その表現が斬新であり、主人公らの
心情のニュアンスを受け取る上で
わかりやすい。
非常に長編であるが、いくつもの物語が
次々に語られるので
途中であきることがない。
また、漫画の枠外に作者の「ぼやき」が
頻繁に登場する「楽屋落ち」的な
演出があるが、
それも作者の人物像が読み取れて楽しい。
物語のあちこちに作者が好きな、
あるいはリスペクトするSF作品の
パロディなども出てきており、
ネタになったそうした作品も
読みたくなる。
のちに文庫化されたり
アニメ化されたのもわかる気がするが、
やはりたがみよしひささんの筆致で
描かれた原作が最高。
後に仕事で舞台となった軽井沢の近くに
住んだことがあるが、
登場人物に合えるような気がした。
軽井沢シンドロームはこんな方におすすめな作品!必見
どちらかというと大人向け。
現在の40代から50代のかたのほうが、
あの時代のニュアンスに共感できると思う。
大胆でありなおかつ
繊細な恋愛群像劇であり、
男性でも女性でも楽しんで読める作品。
また軽井沢ゆかりの詩人や
小説家のエピソード、地元に伝わる
伝説なども登場するため、
文学好きにもお勧め。
また、登場人物が乗る車や
バイクは当時の内外の名車であり、
車やバイク好きにもおすすめ。
この作品が好きになったかたには、
たがみよしひささんの別の作品
「NERVOUS BREAKDOWN」
もおすすめ。
こちらは「たがみ作品」最大の
ボリュームのある探偵もの。
推理小説が好きな作者だけに
小説の手法が取り入れられている
本格推理作品となっている。
この作品のエピソードの中には
「夏色軽井沢」という
ストーリーがあり
「軽井沢シンドローム」の登場人物たちも
「ゲスト出演」する。
また続編「軽井沢シンドローム
SPROUT」では主人公らの
その後の人生がが描かれており、
こちらもおすすめ。