タイトル | 陵子の心霊事件簿 |
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原作・漫画 | 篠原千絵 |
出版社 | 小学館 |
87年から少女漫画雑誌
「ちゃお」にて不定期連載
されていた作品。
FC単行本では全4巻、
文庫本では全2巻発売。
強い霊能力を持ち、
霊を引き寄せてしまう女子高生・
翠川陵子。
その愛猫にのりうつった、
記憶と肉体を失くした青年・
日下部拓。
二人が出会った事件をきっかけに、
強大な力をもつ悪霊と
戦っていくサスペンスホラー。
陵子の心霊事件簿のあらすじ紹介
真っ赤な夾竹桃が咲いた庭。
その根元に可愛がっていた
ペットの白猫・ポウを埋葬してから、
不思議な現象が起こり始める。
強い霊能力を持つ
女子高生の翠川陵子。
霊を感知することはできるが、
対抗する力のない彼女の元に、
死んだはずのポウが現れる。
違う…ポウじゃない!?
恐怖と違和感を覚えた陵子の頭に、
直接声が響く。
そこには記憶を失い、
肉体を失くした青年・日下部拓の精神が
とりついていた。
霊を撃退する力を持つ彼は、
陵子を霊から守る代わりに、
自分の体を捜して欲しいと
交換条件を突き付けた。
早く解放されたい陵子は、
仕方なく拓に協力し始めるが、
次々と奇怪な事件に巻き込まれていって…。
陵子の心霊事件簿のネタバレと今後の展開は?
霊感が強い女子高生の翠川陵子。
無意識で霊を引き寄せてしまう
体質だが、最初はそのことに
全く気づいていなかった。
引っ越してきて一年が経ったころ、
可愛がっていたペットの白猫・ポウが
お風呂場で溺死しているのを発見する。
普段から水を嫌い、
お風呂場には近づこうともしなかった
ポウの死に疑問を抱くが、
家族は誰も取り合ってくれなかった。
悲しみの中、真っ赤な花をつけた
夾竹桃の根本にポウを埋葬する。
その日から不可解な現象が
起こり始める。
この家は何かがおかしいと
思い始めた陵子。
そしてポウそっくりの白猫が現れて。
違う、そっくりじゃない、
あれは本当にポウの体だ!
ポウの体には、日下部拓という
青年がのりうつっていた。
記憶と肉体を失くしたという拓は、
自分の体を捜してほしいと
話かけてきたのだ。
ポウが死んでから身の周りに
起こっていた心霊現象は、
すべて拓のせいだと思った陵子。
肉体を捜してほしいと言う拓を
遠ざけようと、ポウの体を段ボールに詰め、
通りがかったトラックに乗せ捨ててしまう。
その日の夜、湯船に浸かっていた
陵子は急激な寒気に襲われる。
ふと視線を落とすと、
足元から現れた女性の霊が
こちらをじっと見ているの気づく。
驚愕しながらも抵抗するが、
お湯の中に引きずりこまれ
霊の怨念を聞く陵子。
あわやというところをテレポートして
現れた拓に救われるのだった。
霊の声を聞いた陵子は、
庭の夾竹桃の下を掘ってと
うったえる。
そこから以前の住人だった女性の
遺体が発見され、事態は収束していく。
夾竹桃はその女性を養分に、
見事な花をつけていたのだ。
感知能力は高いのに対抗する
力がない陵子の霊能力を、
非常に不安定だと指摘する拓。
陵子は、ポウにのりうつった拓に
守ってもらう代わりに、
拓の肉体捜しに付き合うことを
渋々了承するのだった。
この最初の事件をきっかけに、
お互いに助けあい
次々と奇怪な事件を解決していく二人。
徐々に惹かれあっていく中、
次第に強大な力をもつ
悪霊の存在に気づいていく。
陵子の心霊事件簿の読んでみた感想・評価
とにもかくにもストーリーが
抜群に面白いです。
そうくるかという展開が続いて
最後まで目が離せません。
13年間も一緒に暮らしていた
ペットの白猫ポウが、ある日突然
見知らぬ異物に変わる感覚は、
日常の中の非日常感を
よく表現していて、これから起こる
不吉な出来事を彷彿とさせます。
作品としては、おどろおどろしい
心霊現象がこれでもかこれでもかと続く
ホラーものではなく、
全体を通してきちんとした
背景があり物語性があります。
それでいてひやっとする怖さも
ちゃんとあり、恋愛要素も加わって、
いつの間にか主人公の陵子に
入り込んで、物語にぐんぐん
引き込まれています。
篠原先生の描くキャラクターは
とても魅力的で、男性でもどこか
しなやかで艶があり、華があります。
今回の拓も例にもれず、
半分以上猫の姿なのに
匂いたつような色気があります。
陵子の兄にのりうつった時の
艶っぽさは秀逸です。
唯一、消化不良だったのは、
拓が記憶や肉体を失くす直前に
付き合っていた彼女「みのり」の存在です。
陵子と同じく霊を呼んでしまう
体質だった彼女は、拓がいなくなった
ことにより、随分弱っていました。
悪霊に襲われた時、なぜ拓が
みのりを選ばなかったのか。
その時のみのりや拓の心情を
もっと描いてほしかったなと思います。
それにしても、どうしてあんなに
ぞくぞくするのでしょう。
ピーンと張りつめた空気や、
静まり返った部屋、
ひたひたと忍びよられる感覚や、
じわじわと追いつめられる感覚。
心霊現象の描写が
毎回ぞくりとさせられます。
何度読んでも面白く、
ドキドキする大好きな作品です。
陵子の心霊事件簿はこんな方におすすめな作品!必見
篠原先生の作品を読んでみたい方の
入門編にはぴったりです。
先生の作品が気になるけど、
長編ものが多くて中々手がでないという
方には、単行本4冊分と
ちょうどよい長さだと思います。
不定期連載だった為、
ほぼ1話完結型のお話なのも
読み進めやすいポイントです。
イラストも綺麗なのでドロドロした
心霊描写が苦手な方や、
ただ怖いだけのホラーものではなく、
サスペンス要素や恋愛要素のある
物語性の強い作品を求めている方には、
ぜひ読んでいただきたいです。
この作品を読んで面白いと思った方には、
篠原先生の初期作品
「闇のパープル・アイ」や
「海の闇、月の影」もおすすめです。
最近執筆されている歴史ものも
面白いですが、こちらは不思議な能力を持つ
面々が登場するミステリー色の濃い作品で、
切なくて甘い艶やかなお話ばかり。
絶対に気に入ると思います。
綺麗な絵だけどしっかりホラー漫画という
点では、小野不由美先生原作・
いなだ詩穂先生作画の
「ゴーストハント」や松本洋子先生の
作品もおすすめです。
ちょっとラブコメ要素が入った
「すくらんぶる同盟」は
ホラー漫画としてはそこまで
気を張らずに楽しめます。
人外のものが登場する作品としては
花田陵先生の「デビルズライン」も
おすすめです。
ストーリーとしてはダークで重い
内容ですが、恋愛要素ありの吸血鬼もので、
女性でも読みやすく面白いと思います。
普通のラブストーリーものではなく、
ちょっと変わった要素が欲しいという方には
いずれもおすすめの作品です。